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2021年11月23日火曜日

16 環境共生-,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931229

 スペ-スspace16回 読売新聞家庭欄1992020519931229 151992020519920325 2111993~19931229

 

16  環境共生-エネルギー自給の村スペ-スspace読売新聞家庭欄19931229


 写真はフィリピンのモデル漁村である。マニラの南二五キロぐらいのところにある。高床式の住居がペデストリアン(歩行者)・デッキでつながれている。雨期には床下に水が押し寄せて水上住居になるのである。十年以上も前のプロジェクトであるが、その基本理念は今日なお魅力的だと思う。

 手すりは竹。住戸の屋根は椰子の繊維。柱や梁は椰子の幹(みき)である。椰子の樹は硬くて加工がしにくいため、普通、建築用には使われないが、敢えて使われている。熱帯だから椰子はそこら中に生えている。竹はたった一年で成長する。ほぼ無限の材料だ。地域で採れる材料をできるだけ使おうというのである。

 地域資源の有効利用というだけではない。風力発電、バイオガスといった自然エネルギーの利用も考えられている。各戸の床下にはバイオガス発生のためのタンクが設置されているのだ。結果として、風力発電はうまくいかなかったのであるが、驚くほど先駆的試みであった。

 日本でもオイルショック以降、様々な省エネ技術が開発されてきてはいるけれど、こうした具体的モデル・プロジェクトは極めて少ないのではないか。風力発電とか、ソーラー・エネルギーの利用というのはコストがかかり、必ずしも身近になってはいない。

 二一世紀には、人口問題、食料問題、エネルギー問題によって、地球全体が危機的状況をむかえると言われる。特に、発展途上国のエネルギー使用量が現在の先進国並になるとすれば、間違いなく破綻が起こる。そうした事態を前にする時、住宅のあり方も変わらざるを得ない。

 先進諸国のみ現在のエネルギー使用量を維持し、発展途上国にのみ省エネを求めるのは虫がいい話だ。日本の住宅は余りにも人工環境化され重装備にすぎる。あまりにエネルギー浪費的である。地球にやさしい住宅のあり方は日本においてこそ求められていよう。


 

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01 高床式住居-床下でリサイクルスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920205

02 屋根-民族のアイデンティティスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920304

03  土間-活用したい床の段差スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920311

04  物の住まい-人との“すみ分け”図るスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920318

05  コートハウス-都市文明とともに登場スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920325

 

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06  三角の部屋-うらやましい普請道楽スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19931013

07  ビルの谷間の町家-木造建築,消えゆく運命スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19931020

08  山岳都市-欧州の町へのあこがれスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19931027

09  壁面劇場-自分の家だから自己表現スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19931103

10  異文化との共生-ル-ル作りが日常的課題スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19931110

11  生きている広場-部外者お断りで一体感スペ-スspace読売新聞家庭欄19931124

12  同潤会の教え-集合住宅の将来を考える教材スペ-スspace読売新聞家庭欄19931201

13  成長する家-居住者が増築に参加スペ-スspace読売新聞家庭欄19931208

14  共用リビング用途様々,街路の雰囲気スペ-スspace読売新聞家庭欄19931215

15  立体街区-各戸が自由設計の集合住宅スペ-スspace読売新聞家庭欄19931222

16  環境共生-スペ-スspace読売新聞家庭欄19931229

2021年11月22日月曜日

15 立体街区-各戸が自由設計の集合住宅,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931222

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 15  立体街区-各戸が自由設計の集合住宅スペ-スspace読売新聞家庭欄19931222

 

 大阪の都心にNEXT21という実験集合住宅が完成した。野鳥との共生を目指す屋上庭園やエコロジカル・ガーデン、生ゴミのクローズド処理、雨水利用、缶やプラスチックのリサイクル、太陽電池、燃料電池によるエネルギーの効率利用など、自然との共生、省エネルギーをうたう意欲的なプロジェクトである。

 興味深いのは、各戸がライフスタイルに応じて全く自由に設計できることである。配管や間仕切り壁など必要に応じて設けることができるようになっている。一八の住戸は実際全部違う。それぞれ異なった建築家によって異なった家族を想定して設計されている。

 集合住宅というより戸建て住宅が立体的に集合している感じである。用意されているのは立体的な土地と街路でそれに面して自由に設計していいのである。もちろん、ルールがある。例えば、寸法調整の単位は共通である。また、街路の幅なども決められている。

 この立体的なインフラストラクチャー(都市基盤施設)は、店舗やオフィスなど都市機能用(一、二階)、住居機能用(三~六階)、自然庭園機能用(屋上階)の三つに分けられ、全体としてエネルギー的に可能な限り自律することが目指されている。未来の街区のイメージである。

 NEXT21は、実験住宅であり、特殊な条件において試みられたものだ。ひとつの問題は燃料電池や太陽電池によるエネルギーシステムの適正規模である。街区の単位として、何戸ぐらいのコミュニティーが適当かという問題もある。すぐにこうした集合住宅が一般的につくられ出すということにはならないであろう。

 ただ、中高層住宅でも思い思いの住戸が実現できるというのは魅力的である。また、都心に立体的に自然を取り戻そうとする提案も大きな意義がある。このNEXT21に含まれている様々なアイディアが少しづつ一般にも取り入れられていくそんな予感がある。


 

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01 高床式住居-床下でリサイクルスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920205

02 屋根-民族のアイデンティティスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920304

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14  共用リビング用途様々,街路の雰囲気スペ-スspace読売新聞家庭欄19931215

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2021年11月21日日曜日

14 共用リビング用途様々,街路の雰囲気,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931215

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 14  共用リビング用途様々,街路の雰囲気スペ-スspace読売新聞家庭欄19931215

 

 各戸のヴェランダの植木の緑に赤瓦の深いひさしが映える。実に印象的だ。インドネシアの低所得者向けのモデルになりつつあるスラバヤの集合住宅である。

 集合住宅というけれどかなり変わっている。ひとことでいうと共用のスペースのウエイトが極めて大きいのである。各階には共用のリビングある。リビングというより廊下がゆったりつくってあり、様々な用途に使えるようになっているのである。

 中央にキッチンがまとめられている。各戸のスペースが決められた共同のキッチンである。また、バス・トイレも中央にまとめられている。水浴びの習慣が違うから理解しにくいかもしれないが、二戸でひとつのスペースを使用し、管理する。さらに、各階に礼拝室がある。ほとんどがイスラム教徒だからである。

 各戸の専有面積は狭いのであるが、共同生活のイメージが優先されているといえるであろう。共用のリビングは、一方で街路の雰囲気をもつ。二階でも、三階でも、作業スペースにもなるし、お店が出たりする。子供の遊び場にもなるのである。ちょっと日本ではイメージしにくいかもしれないのであるが、全体が街のような集合住宅である。

 どうしたこんな集合住宅が試みられるようになったのか。東南アジアでは他の国でもそうなのであるが、当初、日本の団地のようなヨーロッパ・スタイルの集合住宅が沢山建設された。しかし、なかなか定着しない。高くて特定の階層にしか手が出ないということもあるけれど、湿潤熱帯の気候や生活スタイルに合わないということが大きい。

 日本でもそうだったけれど、二階、三階に住むということだけでも抵抗がある。そこでできるだけ接地性のある形が求められた。また、職住近接も大きな必要条件である。ここには地域の状況に合わせた独自の模索がある。集合住宅とはいえ、住宅は本来ローカルなものだと思う。


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04  物の住まい-人との“すみ分け”図るスペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920318

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