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2024年1月26日金曜日

日本建築学会建築歴史・意匠委員会 戦後空間シンポジウム04 バブル・震災・オウム教 戦後空間の変質司会)中谷礼仁・山形浩生 バブル経済について・牧紀男「震災」とその後の都市行政・古賀義章(「オウム教」における経済活動システム コメンテーター)・石山修武(建築家・早稲田大学名誉教授)・布野修司(建築史家・日本大学特任教授) 建築会館会議室,2019年11月22日

戦後空間シンポジウム04

バブル・震災・オウム教 戦後空間の変質

中谷礼仁記 2019/03/11,3/28, 08/19改訂

 

趣旨)戦後空間とは戦後に展開する様々な史的シークエンス(クブラー)の束である。その束は流れつつ、時たま伏線が現れ、現象の質を変えていく。第4回目のシンポジウムは戦後空間の変質に目を向け、80年代後半から90年代を扱う。

バブルは戦後空間を駆動させた高度経済資本の成長が、イメージゲームにまで展開した。これは直近の政権が意図的に再現しようとしている方法である。

震災は公共福祉を目的とし邁進してきた建築・都市の法的精神を温存させつつも、安全と従来の生活文化に矛盾(例えば当時の坂本功の二者択一論)を生じせしめ、その後の建築行政のあり方(姉歯事件などにも飛び火)の方向性を決定した。

オウム教は「ユートピア」を目指す組織が、その実現にあたって政治権力のみならず一般市民までをも敵とした事件であった。これは戦後空間が保証してきた自由な表現活動一般に対しての大きな挫折となった。

重要なことは、それらが連動していたことである。

バブルは高度経済成長を基にしたイメージゲームと、その崩壊後の経済活性化政策両方を含む。双方は21世紀の特に大都市・建築の構想から実現までのシステムを大きく作り変える発端となった。

オウムは布教活動をその特権的経済活動と連動させ、コンピューター制作会社、巷のラーメン屋など様々な分野で暗躍し、社会活動のシミュラクルとして深く溶け込んだ。この影にはバブル経済のイメージゲームの手法が効果的に用いられていた。私は当時の秋葉原での彼らの暗躍の様子をよく覚えている。

震災は、その後の長田地区の再開発事例のようにボトムアップのまちづくりを実現させた。同時にその活動を法制的に受け止めるために、合意形成をむしろ官主導内部に展開し、手法化された。この方向のもとに、経済活性化のためにその後REIT、特区制度が導入され、設計手法は客観化、定量化、組織化され、現在の「実体」的イメージゲームのような高層商業施設が屹立し(イメージをサポートするかのように都市実体が作られ)ているが、それがどのように具体的に使われるかの検討は画一化し、希薄化している。またインディビデュアルな建築家による自発的立場は傍流へと追いやられている。

この三つの要素とその余波が絡み合うことで、戦後空間の変質が確固とした流れとして現れてきたと言えるのではないか。第4回目のシンポジウムは以上のような要素の出現がその後、現在までの戦後に与えた空間の特質を導きたいのである。

 

方法)シンポジウム形式、三要素それぞれに報告者を設定し、そのからまり合いが生み出した事象を再確認する。

 

司会)中谷礼仁

登壇者)

・山形浩生(バブル経済について、https://ja.wikipedia.org/wiki/山形浩生、1964-、翻訳・評論家、元野村総研開発コンサルタント、東大都市工学卒)

・牧紀男(「震災」とその後の都市行政報告者、京都大学防災研究所)

・古賀義章(「オウム教」における経済活動システムについての報告、1964-、講談社入社後『フライデー』在籍時に長期にわたりオウムを取材。2005年から『クーリエ・ジャポン』創刊編集長。記録写真を集めた『アット・オウム』出版)

コメンテーター)

・石山修武(建築家・早稲田大学名誉教授)

・布野修司(建築史家・日本大学特任教授)

 

以上


 

2023年10月17日火曜日

2023年9月18日月曜日

シンポジウム:司会:関西建築界の将来,横尾義貫,佐野正一,東孝光,橋本喬之,久徳敏治,日本建築学会近畿支部,1997.11.14

        日本建築学会近畿支部創立50周年 記念シンポジウム

                            関西建築界の将来

                                            

      主催 日本建築学会近畿支部 創立50周年記念事業委員会/記念シンポジウム委員会

                                            

                                            

 関西建築界の50年を簡単に振り返り、現状の問題を鋭く指摘した上で、関西建築界の活力ある未来を展望する。建築基準法等法制度の問題、インスペクター制度、職人問題等、日本の建築界の諸問題をめぐって大いに議論したい。また、関西建築界のルネサンスの方向性を21世紀に向けて宣言したい。



                                                  

                      日 時 11月14日(金)

           13:30~16:30 (開場:午後1時)

                          場 所 綿業会館本館大会議場

          大阪市中央区備後町2-5-8 tel 06-231-4881 定員300

                                      参加費 無料

                              事務局 日本建築学会近畿支部

                  tel 06-443-0538 fax 06-443-3144

              〒550 大阪市西区靭本町1-8-4 大阪科学技術センター内

                                            

                                            

  司会 布野修司(京都大学)  副司会 田渕基嗣(神戸大学) 記録 鵜飼邦夫(日建設計)

                                            

                                        基調講演

            横尾義貫 関西建築界の歴史と課題

        佐野正一 関西建築設計界の歴史と課題

                                            

                                            

                                          討論

                              東 孝光(大阪大学名誉教授)

佐野正一(安井建築設計事務所)

                                  橋本喬行(日建設計)

                                  久徳敏治(竹中工務店)

                              横尾義貫(京都大学名誉教授)

                                            

                                            

                                            

                                            

                                        テーマ群

                          関西と関東、関西と日本、関西とアジア

                      建築基準法等法制度のあり方/性能規定/違反建築

                  建設業界の諸問題/設計入札・談合/コンペ(設計競技)

      建築家の職能/建築士制度/資格制度/インスペクター(検査士)制度/シティ・アーキテクト制

                                      建築技術の未来

                                        職人問題

                                    関西建築界の役割

● 13:30-16:30(3時間)

 第一ラウンド 関西建築界の歴史と問題点(60分)

  まず、基調講演として横尾先生、佐野先生に歴史を振り返りながらの現状分析をお願いします。

  それぞれ25分

 

   1 横尾義貫先生 関西建築界の歴史と課題

   2 佐野正一先生 関西建築設計界の歴史と課題


   質疑 以上に対して、東、橋本、久徳の三先生からひとことづつコメント下さい。 10分


 第二ラウンド  建築界の現状と問題点(45分)

   橋本、東、久徳の3先生から、各15分程度、建築界の問題点をご指摘下さい。

   

      3 橋本喬行先生 建築生産の再定義       

   4 東 孝光先生 設計入札 コンペ、コミッショナー制(仮) 

   5 久徳敏治先生 建設業の展望 時の流れ 時の要請 時を求めて


休憩 15:15~30


 第三ラウンド 関西建築界の将来(30分)


   まず、3~5の橋本、東、久徳の三先生の発言に対してコメント下さい。   それに対し、若干のディスカッション。


 第四ラウンド フロアに開いたディスカッション 30分

 最後に一言

  

 テーマ群

      関西と関東、関西と日本、関西とアジア

      建築基準法等法制度のあり方

       違反建築

      建設業界の諸問題

       設計入札・談合

       コンペ

      建築家の職能

       建築士制度

       資格:インスペクター制度

       シティ・アーキテクト制

      建築教育

      建築技術の未来

      職人問題 

      関西建築界の役割




石田 関西の近代建築 施主の違い 施主に圧倒される 顧問ではなく 技術家 雇い人にすぎない。 一対一の人格的評価 一家言ある施主 人物重視 新しもの好き 

 様式建築     パトロンの消滅 

 モダニズム 論理性を要求 片岡安で終わった


Dr.Shuji Funo

Department of Architecture and Environmental Design

Faculty of engineering

Kyoto University

Yosidahonmati,sakyo-ku

kyoto,Japan

E-Mail i53315@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp

tel.fax 075-753-5755

創立50周年記念シンポジウム



ポスター:グラフィック・デザイナーについて

 西岡勉 京都近代美術館ポスター、建築思潮表紙 10~20

 杉野良子 菊地信義の弟子

 小山・・



5-4 アジアと建築の未来


 会場 京都市国際交流会館

    KBSスタジオ


 後援メディア KBS 京都新聞?


 参加者:関西建築系大学所属留学生・OBおよび指導教官

     阪大/京大/神戸大/奈良女子大/大阪市大/京都工業繊維大学/神戸芸術工科大学/立命館大学/大阪芸術大学/京都精華大学/明石高専・・・・各大学最低5人 最低50人~100人参加

  

 時間 I 10:00~12:00

        Ⅱ 13:00~15:00

    Ⅲ 15:30~17:30

    Ⅳ 19:00~

 

     

 基調講演  高谷好一(滋賀県立大学 京都大学東南アジア研究センター)

      「多文明社会の構図」


 ディベート:徹底討論 21世紀と日本(関西)

       それぞれ5名程度意見発表を行う。

               中国、韓国、台湾、インドネシア、タイ、フィリピン、・・・・・・・

       

 第一部 アジアと日本の未来

          コーディネーター:高谷好一

            A

      B

      C

      D

      E


 第二部 アジアの都市と日本

     コーディネーター:モンテカセム 佐々波秀彦

            A

      B

      C

      D

      E


 第三部 アジア建築の未来

     コーディネーター:重村力

            A

      B

      C

      D

      E



 第四部 日本文化の諸問題

      日本の建築界:教育・職能・資格・・・・研究と実践

     コーディネーター:布野修司

            

      A

      B

      C

      D

      E


●現実的には上のⅡ、Ⅲの時間帯で、ふたつのセッションぐらいか。



  5-5 建築をめぐる人々と建築界の将来

            何より駄目な関西建築界

      建築界の構造転換


 場所 綿業会館


        司会 布野修司


      佐野正一 大阪市中央区島町2-4-7 安井建築設計事務所

           06-943-1371 fax 06-945-4340

      横尾義貫 607 山科区大塚南溝町10

            075-581-2565

           

      久徳敏治  573 枚方市東香里2-21-25

           0720-54-5601

      東 孝光  107 港区南青山3-6-1

           03-3403-5593

      橋本喬行  横浜市港北区下田町1-1-1-117

      03-3408-7125-7129ext 045-561-3086

    ・・・・・・

      建築基準法

      設計入札

      談合

      資格:インスペクター

       違反建築


      関西建築界とは

         

 

2023年8月26日土曜日

国際シンポジウム:環境のグランドデザイン,基調講演C.アレグザンダー,原広司・市川浩・布野修司(司会),19910226:都市のグランドデザイン,基調講演M.ハッチンソン,木島安史・伊藤俊治・山本理顕(司会),19910227:住居のグランドデザイン,基調講演L.クロール,大野勝彦・小松和彦・安藤正雄(司会),19910228:建築フォーラムAF,松下電器産業19910322

 国際シンポジウム:環境のグランドデザイン,基調講演C.アレグザンダー,原広司・市川浩・布野修司(司会),19910226:都市のグランドデザイン,基調講演M.ハッチンソン,木島安史・伊藤俊治・山本理顕(司会),19910227:住居のグランドデザイン,基調講演L.クロール,大野勝彦・小松和彦・安藤正雄(司会),19910228:建築フォーラムAF,松下電器産業19910322









2023年8月17日木曜日

東日本大震災復旧復興支援部会・連続シンポジウム第二回報告,復興の原理としての法,そして建築,建築雑誌201209

 東日本大震災復旧復興支援部会・連続シンポジウム報告

復興の原理としての法、そして建築」 

復旧復興支援部会部会長 布野修司

復旧復興支援部会の発災後1年間の活動については、1周年記念シンポジウムで報告[i]した通りであり、また、本誌9月号「研究年報」においても、その概要はまとめられているところである。2012年度については、北上復興ステーションと15チームの調査研究活動を軸として支援活動を展開しつつあるが、活動の全体と復興計画の方向性を見据えた議論を深めるために連続シンポジウムを行ってきている。本稿では、「復興の原理としての法、そして建築」と題して2012323日に開催したシンポジウムについて報告したい。

『朝日新聞』(○月○日)でその概要が取り上げられるなど反響は大きく、『法学セミナー』(日本評論社)2回(20127月号、8月号)にわたって、その議論の詳細がまとめられた。建築学会が憲法学者を招いてシンポジウムを開催するのは,初めてのことではないかと思う。以下に、経緯、概要と共に、その骨子を記録しておきたい。 

シンポジウムの主旨、目的は次のようである。

「本シンポジウムは、震災からの復興という場面で、どのような過程に基づく、どのような内容の意思決定がなされねばならないか、また、どのような「建築」がなされねばならないか、を考察することを課題とし、建築家・建築学者と法学者との対話を通じて、この課題にアプローチすることを目的とするものである。」

 すなわち、ストレートに言えば、復興の原理としての法、拠って立つべき法的根拠を明らかにしたい、ということである。シンポジウムは2部構成。第1部は「公共建築と民主主義」と題して、「大震災後、「建築」と「意思」の再構築が迫られている。個々の建物はもちろん、街全体、さらには、土地そのものが破壊された中で、私たちは、そこに何を「建築」すべきなのか。また、そのための「意思」はどのように造られなくてはならないのか。このような問題を考えるためには、あきれるほどに根本的で抽象的な問題群を考えなくてはならない。そこで、まずは、公共建築、そして、そのための意思決定、民主主義のありよう、その現状について、考えてみたい。」という主旨で、山本理顕が基調講演、パネリストのコメントを求めるスタイルをとった。第2部は、「地域社会圏・復興のための住宅・プライバシー」と題して、「大震災からの復興のためにやらなくてはならないことは、山ほどある。漁船、港、畑といった産業インフラ、道路や橋、上下水道などの都市インフラの復興はもちろん、町や村などの地方公共団体それ自体を0に近い状態から復興させなくてはいけない地域もある。そういう意味で、復興のために議論しなくてはならない「各論」は、あまりにも多い。ここでは、「復興のための住宅」というテーマで「各論」を展開してみたい。」という主旨で、住宅の問題に絞って議論を展開した。 パネリストは、山本理顕(建築家)、松山巖(小説家・評論家)、内藤廣(建築家)、駒村圭吾(慶應義塾大学・憲法学)、 石川健治(東京大学・憲法学)、モデレートしたのは、気鋭の木村草太(首都大学東京・憲法学)である。総合司会は、復旧復興支援部会の宇野求(建築家・東京理科大学)幹事が務めた。

 議論は極めて興味深い展開となった。

 山本理顕の基調講演は、仮設住宅地の空間構成のあり方を指摘する中で、日本の住宅政策の歴史に遡り、さらに「1家族1住宅」というわかりやすいフレーズで指摘できる日本の空間編成の原理を全体として問うものであった。その主張は『地域社会圏モデル』(2010年)『地域社会圏主義』(2012)にまとめられており、少なくとも私にはよく理解でき、大いに共鳴するところであるが、その基底にあるのは、建築家の役割であり責任についての使命感である。

 憲法学を担う石川、駒村のコメントは実に刺激的であった。単に無知であっただけと言えばそうであるが、憲法学は構築の学として建築学として実に似ているのである。多くのタームを憲法学と建築学が共有しているというのは遅すぎる発見であった。山本理顕が持ち出したノモスnomos(法)とその語源であるネメインnemein(分配、配分、所有)をめぐっては、憲法学における議論の圧倒的な積み重ねの歴史があった。問題の所在が瞬時に整理されるのは驚きでもあり、眼から鱗の爽快感さえ得ることが出来た。

問題は、空間の編成の問題である。

誰が、その権利をもち、どういう秩序を編成するのか、が問題なのである。

焦点となったのは、プライバシーという概念である。プライバシーの概念は、私と共同体、国家の関係に関わって、空間の編成に大きく関わる。完全に議論は同じ土俵で展開しうる、これはとてつもなく大きな発見であった。

パネル・ディスカッションは、従って、真に白熱したものになった。

ひとつは、空間の秩序が憲法論の中で位置づいているかどうか、という問題である。近代法学のカテゴリーとしては、「人」と「物」しかないというのは決定的である。空間の論理を如何に社会化するか、建築学の基盤として空間の編成の問題を如何に法的に担保しうるのかは、実にわれわれの存立根拠に関わるのである。

もうひとつは、国家と空間編成の主体の問題である。復興計画を立案し、実行するのは国家なのか。復興計画の主体は基礎自治体であるとするが、国家や都道府県の憲法学的位置づけはどうなるのか。

さらに、既に基調講演をめぐって議論になったが、地域コミュニティとプライバシーと国家の関係はどうなるのか。

プライバシーの問題は、復興計画に限る問題ではない。社会のあらゆる局面にプライバシーをめぐる議論が関わっていることが明らかになったように思う。当然の確認であるが、それを確認することによって、繰り返し浮かび上がるのが建築家の職能の問題である。本シンポジウムで提起されたなかで建築界が受け止めるべきなのは、「文化専門職」をめぐる議論である。「文化専門職」とは何か。建築家は「文化専門職」たりうるのか。これについては千里とは言わないけれど、経庭があるように思った。そして、もうひとつ、わが国の憲法学が大きな枠組みの中で論点のみを緻密化せざるを得ない状況にあることは、よく理解できた。

詳細な議論は『法学セミナー』に委ねたい。

地べたを這うような復興支援活動に取り組みながらも、大きな問題提起をすべきではないか、できるのではないか、というのがシンポジウム全体から私が受けたアジテーションである。



[i] 布野修司「復旧復興支援活動―東日本大震災復旧復興支援部会の活動(2011.09.1120120311)」東日本大震災1周年記念シンポジウム,201231