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2024年5月20日月曜日

どうする京都 岡崎,川勝平太(国際日本文化研究センター教授)上村淳之(日本画家)高木壽一(京都市副市長)布野修司(京都大学大学院工学研究科助教授)本多和夫(平安神宮禰宜)藤本圭司 (京都経済同友会事務局長)小原啓渡(アートコンプレックス1928プロデューサー)堀場雅夫(堀場製作所会長),司会 ばんばひろふみ,KBS京都,2005年1月23日放送

どうする京都 岡崎,川勝 平太 (国際日本文化研究センター教授)上村 淳之 (日本画家)高木 壽一 (京都市副市長)布野 修司 (京都大学大学院工学研究科助教授)本多 和夫 (平安神宮禰宜)藤本 圭司 (京都経済同友会事務局長)小原 啓渡 (アートコンプレックス1928プロデューサー)堀場 雅夫 (堀場製作所会長)、司会 ばんばひろふみ、KBS京都、2005年1月23日放送

どうする京都 岡崎メモ2005年1月23日放送)

 

川勝 平太 (国際日本文化研究センター教授)

上村 淳之 (日本画家)

高木 壽一 (京都市副市長)

布野 修司 (京都大学大学院工学研究科助教授)

本多 和夫 (平安神宮禰宜)

藤本 圭司 (京都経済同友会事務局長)

小原 啓渡 (アートコンプレックス1928プロデューサー)

堀場 雅夫 (堀場製作所会長)

 

・様々な施設が立地する岡崎は、京都市を代表する文化ゾーンとして位置づけられている。

・平安遷都1100年を記念して建立された平安神宮及びその一帯で開催された

第4回内国勧業博覧会。これを機に京都は産業、文化の面で発展し近代都市としての礎を

築くことになった。

→当時の人口40万人の京都に115万人が来場

→市民、役人、経済人が一致してがんばった

→単なる祭りで終わらないために、品評会が行われた

・当時の岡崎は「町衆」の気概を国内外に示した「魂のよりどころ」とでもいう場所であった。

・・・しかし今、その岡崎を、市民は「昔の面影がない」「閑散としているし、地味」

「若者はいかない。知らない」と。

 

・21世紀の京都を発信する拠点として再構築し、京都ブランドのひとつとしてその魅力を

発信することはできないか?。

 

 

■岡崎への思い

川勝

 子どもの頃、動物園に行ったが楽しかった。中学生の時は京都会館ができたが、当時はハイカラな印象を受けた。現在は一帯は「重厚」「おとなしい」というイメージになっている。昼は静かで、夜は暗い。動物園のあり方についても、意味づけが変わってきている。全体的に位置づけを再考すべきであると思う。

 

上村

 私も動物園は行った。絵を学ぶようになってからは、美術館に何度も行くようになった。

 

高木

 岡崎は、「日本の都市景観百選」に選ばれている。岡崎のこのような点を伸ばせれば、と考えている。

 

藤本

 一昨年、学生祭典を開催し、倉木麻衣さんにもきてもらったが、10万人も来た。平安神宮は美しいところだし、学生もそれに感激して、ずっとここで開催したいと言っている。

 

本多

 先ほどのVTRには紹介されなかったが、平安神宮の地鎮祭の時には市民が三日三晩踊り明かして祝っていた。市民の思いは、相当強かった。

 

布野

 私はよそ者でもあるので、岡崎について都市計画者としても考えたことはなかった。事前に歩いて感じたことは、空間的にはスケールアウト。間が多い。有名な建築家により設計されたものがいくつかあるが、統一感がとれていない。歩いて楽しい場所ではない。

 

小原

 私は今日、比較的若い世代ということで参加していると思うが、岡崎は何となく「敷居が高い」「格調が高い」という感じを受ける。遊びの要素がかけているし、寄りつきにくいと思う。

 

堀場

 市民がしらけだしたのがあるだろう。何についても燃えなくなった。まずは市民が燃えないといけない。持ち主は京都市が多いと思うが、もっと真剣に考えて、やる気を出す必要があると思う。私たちもよそさんの土地にあれこれ言いにくい。

 

高木

 岡崎は都市公園に指定されており、建蔽率は10/100。この指定のためにあの環境が守られてきた、というのもある。

 市有地については、市民のもの。市民の思いがあれば、変えていく方法はある。市民の中で盛り上がって「こうあればいい」という提案があれば、動く。

 

本多

 明治26年9月3日に平安神宮で地鎮祭を行ったが、当時は京都復興への重いが相当強かった。しかし、次第にその思いは消えていった。当時は、市内中が電気をつけて花を飾ったりして盛り上がっていた。

 

   京都市の事業評価、施設の民営について

 

高木

 この評価は、予算に反映させるために、出したもの。費用対効果の高いものが評価が高くなっている。「C」は効率が悪い、という評価であり、予算を減らす、という評価ではない。

 

藤本

 施設は、管理だけではなく攻めも大事。サービスを考える必要がある。

 

堀場

 運営を民間に任せていく、ということも必要。

 

上村

 岡崎を文化発信の地とするならば、感性を養う場所になればいい。いいものはたくさんあるので、どんどん見せるためのスペースを設ける。しかしそれが欠けている。美術館の常設も狭いので、もっと広げていく必要があるのではないか。

 

高木

 民間に任せるものは増えている。しかし管理のみの委託であり、財団や協会などがほとんどで、純粋な民間か、というとそうではない。今後は、企画の委託も考えていく必要があるだろう。

 

川勝

 当時は「日本の中心は京都だ」という思いと危機感があった。しかし今の京都はおっとりしていて、危機感がない。

 

堀場

 岡崎でうまくいかなかったら、京都はもうあかん!という象徴的なものとしてがんばっていってはどうか。東京出張のため失礼するが、活発な討論を期待している。

 

小原

 指定管理者制度について、京都はどのように考えているのか。公的な文化施設を民間でやっていく方針などはどうなっているか。民営となると、赤字は許されないし、経営努力をする。企画も変わってくるのではないか。

 

高木

 ここ2年のうちにすべて移行していく予定。管理者を入札などで決めていく。

 

藤本

 民間に任せていいものと悪いものがあると思う。例えば、前回の学生祭典は台風に見舞われたが、京都会館の人は対応が素早かった。ほとんど徹夜で対応してくれて、学生も感激していた。要は人の問題なのだろう。使命感を持って取り組めるようにする必要。

 

■空間整備

 

布野

 ソフトの問題は大きいが、都市公園という位置づけも大きい。疎水については、当時は産業的な位置づけであったが、今では文化的な意味合いになっている。意味づけが、だんだん変わってきている。今後、どのような位置づけを持っていくか、というビジョンが大事。歴史上で生じているちぐはぐをどう束ねていくか。

 

本多

 平安神宮は、建設については当時は国は反対していた。予算書を見るとわかるが、予算もほとんど付いていない。そこで市民は全国行脚をして、お金を集めた。平安神宮は、市民の熱い思いが作った、と言っていい。芸術や文化施設については、神社にある「奉納」、つまり今ある最新のものを供える、という意味で作られたと私は思っている。

 

上村

 日本人の感性である、自然との共生を体験できる空間を体現してほしいと私は考えている。そういう意味で、現在の動物園はその趣旨に反する。

 

高木

 岡崎が都市公園に指定されている理由としては、京都は公園面積が少ない上に、広域避難場所がどうしても必要。ハード面では、岡崎はいい空間を保っていると思う。あとはソフト面でどう運営していくか、どんなにぎわいづくりをしていくか、ということが大事なのだろう。

 京都会館をもう少し建て増ししていくことは、可能。しかし新規に別の建物を増やすことは考えにくい。木のライティングなどは、ソフト事業として可能だと思う。

 

布野

 中国では、地下にショッピングセンターを作るなど、今あるものを再利用しながら思いもかけないものを作ったりしている。

 

藤本

 縛りは、人間が作ったものだから変えればいい。まずは位置づけをどうするか。どう生かし、連携し、仕掛けていくか。

 今ある行政の縛りの中でやるか、連携をしながら縛りをなくしてやっていくか。まずはビジョンを明確にしていく必要があるだろう。

   賑わいづくり

 

高木

 例えば、カフェテラスを出すような場所はある。道路に出すのではなく、敷地内で出していくのは可能だと思う。

 

藤本

 部分的にやっていくのはできるかもしれないが、トータルに見て、戦略を立ててやっていく必要があるだろう。公園法の縛り、人の意識の縛りがある。「特区」に指定して、取り組んでもおもしろいのではないか。

 

高木

 みんなで考えて、取り組んでいく必要がある。賑わいを市民が力を合わせてやっていく。広い意味で、ソフト面の賑わいをみなさんの知恵を借りながら作っていく必要がある。

 

小原

 意識の問題として、「行政に頼る」というものがある。今はPFIがあるし、ドイツでは公共事業の30%に導入されている。つまり民間の知識や財力、技術を生かしていく、という意識も必要だと思う。カフェが1件や2件増えるだけではなく、コンセプトを定め、博覧会当時のような先進性を持たせていくことが必要。そのような取り組みに、行政がバックアップするような仕組みと具体策が必要ではないか。

 

■どういうコンセプトで再構築するか

 

ばんば

 京都会館。設備をもっとよくすれば、「来たくても来られない」というアーチストも来るようになるのではないか。

 

川勝

 疎水や電車、動物園などを見ると、岡崎はこれまでの役割は終わったと思う。しかし、これからの新しい役割がある。その姿として、歩ける、若者がたくさん出入りするような賑わいがある、というもの。また、東京のキャッチアップからの脱皮も求められている。そのためには発進力を備え、国際性を備えていく必要。

 京大、祇園、南禅寺は歩ける距離。しかし、歩く気がしない。これらに連続性を持たせれば、歩くようになる。あと夜が暗い。暗いと言うことは、生活がない、ということ。動物園や京都会館は、今の役割にあうように再構築する必要を感じている。

 

上村

 美術館は、面積が小さいし展示数も少ない。もっと満喫できるようにする必要があるだろう。芸術大学は西京区大枝に移動したが、このために京都の文化を体感できないまま卒業する学生が増えている。

 

藤本

 岡崎周辺は、桜が大変きれい。しかし、現状では陳列に終わっている。このために交通対策が必要。そして楽しい場所にしていく。人の温かさがでるようにすれば、人は集まってくるだろう。

 動物園については、従来の役割は終わったかな、と思う。勝手に言うのは簡単だが、動物園をどこかに移動して、その跡地に芸術系の大学を持ってこれば、学生でにぎわうのでは。

 

布野

 土地の記憶をベースに再構築していく必要があるだろう。例えばあの空間に平安時代を再現するとか、かつてあった九重の塔を復元するとか。博覧会は、第4回内国博覧会以前から明治4年以降毎年開催されています。これを現在も連発するとかも考えられる。建都1200年の時、グランドビジョンのコンペがされた。私も審査に関わっていたが、そこででたアイデアに「100年かけて1200年を振り返る」というものがあった。1ヶ月で1年振り返ることになる。そのようなイベントを打つという提案があったが、イベントを開催するのもおもしろい。

 建築家としては、総合地域計画として、エコ・タウンのモデルを整備するなども考えられる。あとは人が歩いて楽しいような工夫が必要。

 

小原

 京都がすでに持っているアドバンテージ、強いカードがある。文化芸術的なことがどうビジネスと結びつくかが大事。

 私が提案したいのは、「国際オークションセンター」。これは新規に施設を作るのではなく、既存の建物内に備えるのも可能。ネットオークションは近年すごく伸びており、現在600万点の出展がある。オンラインビジネスの20%がオークションで稼いでいる現実もある。このような将来ビジョンも含めて、ネットオークションセンターを設置してはどうかと思う。

 京都の技術、工芸品、コンテンポラリーアートをネットで全世界へ発信し、参加してもらう。プレゼントビジネスが重なっている。ネットで若手の作品を公開して、年に数回ライブで実施し、集客をはかる。サザビーでは1回開催すると100億円が動いている。このような取り組みに行政が参加すると、信頼性が高まる。

 このような発送で、新しいビジネスモデルづくりが大事だと思う。

 

ばんば

 弘法さんのようなものが、平安神宮でできないだろうか。

 

本多

 年に一度だけ、「京の朝市」というものを、市が音頭をとってやっている。敷地内で月1回、弘法さんのようなものをするとなると、受け入れ側としては少々しんどいかな、と思う。

 平安神宮の庭は、生態系の受け継ぎ装置にもなっているので、エコタウン的なものをやっていくことはやりたいと思う。

 

   交通問題について

 

高木

 テーマ性を持たせて考えるにあたり、特定のテーマにまず絞って、肩肘張らずに楽しめるものになれば、と思う。

 動物園は来場者が多いし、テーマによっては美術館も観光客数がトップ5に入ることもある。しかし、それぞれがつながっていないのが現在の問題。個人的な夢としては、車が通らないトランジットモール化してはどうかな、と思っている。LRT的で、京都らしい新しいものを作って、地下鉄の東山三条から行き来するようなタウンづくり。

 

藤本

 一番困るのは、交通問題。車を止められれば、歩いて楽しいゾーンになるだろう。車が入るために、思い切ったパフォーマンスもできない。例えば、インクラインを使って、船に乗って琵琶湖にでられるような交通が整備されれば、桜の季節などはいいだろう。

 

布野

 歩いて楽しいための小物は、そんなにお金をかけずともできる。

 

小原

 若い人の興味の対象を考えると、ネットなどは今や生活必需品になっている。若い人だけにあわせるのではなく、将来どのような生活スタイルになるかをにらんだ上でのビジョンづくりが大事で、それを先取りしていく必要がある。

 

上村

 何か一つ、まず手をつけていく。全体的なものは長いスパンをかけてやっていく。縦割りを越えて、例えば植物園と動物園を一緒にしてもいいのではないか。動物も家畜的な飼い方ではなく、自然との共生を実感できる空間として整備していく。そのようなことは、民間の方がうまい。

 

   岡崎のビジョン

 

高木

 岡崎は、軟式野球の発祥の地。使用率は高いので、だいたいの場所は必要になるが、例えばそこを芝生公園にして、大道芸人がパフォーマンスしているのも楽しい。楽しい場所に変えていく必要性は感じている。

 

藤本

 岡崎が、京都市政の縮図のように感じている。今後を占う場所であると思う。やる気があるのかどうか、長期的に考え、計画的に取り組んでいく必要。そのためには、まず岡崎の位置づけが必要。機能を考え、戦略的に取り組み、京都の活性化の拠点としていく。

 

高木

 行政にビジョンがなければ動けない、というのも問題だと思う。市民がみんなで考え、それを実行していくことが大事。今のところ、ビジョンや提案などは何もない。いろんなところで声が出て、今日をきっかけに集まって考えをまとめていこう、という動きになればいいと思うし、可能だと思う。

 

小原

 こういう場があったので、私は先ほど提案したが、もっとこういう場があれば集まるのではないか。

 

高木

 社会実験的なものであれば、経費をかけずにできる。しかし、後ろを向いたら誰もいなかった、というのは困る。

 

小原

 下世話な話だが、そういう取り組みを税金でやるだけでなく、ビジネスとして成り立ち、京都のブランド化、活性化に結びつくおいしい話であれば、人は寄ってくると思う。

 

藤本

 提案は同友会でもいろいろやっているし、方向性を示したりしているが、やはり行政による都市計画は大事だと思う。必要であれば経済界といわず市民クラブで場を作ってもいい。岡崎の今回のような話題性を持たせることが、第一歩であろう。

 

川勝

 京都にしかできないことが岡崎で展開されている。1200年の歴史がすべて集約できる場所。グランドも、当時は新しかった。動物園もそう。今後は今とは違う形で活かし、すべての市民のためになる必要。

 そういう意味でも、車を入れずにトランジットモール化し、市民が来て、歩けるような空間にする。それと遷都祝祭日を設けて、例えば「毎月22日は何をやっている」というような京都にしかできないことをする。

 

本多

 毎月22日、何かを催すのは可能だと思う。倉木麻衣さんや藤井フミヤさんは「奉納」という意味でコンサートをやった。アーティストに奉納する気があれば、コンサートも可能。

 

川勝

 西陣織もそうだが、ファッションを軸にした新しい取り組みもいいのではないか。

 

上村

 アーティスト側からの提案も、もっとやっていくべきであると今反省している。しかし京都では「宣伝するのはちょっと」というのもある。しかしこれを改めていくべき、という感もある。

 

藤本

 経済同友会では「京都100年考」という提言書を出した。現在イスラム教があのようなことになっているが、今後は仏教が世界平和に貢献するかもしれない。そういう意味で、木造の塔を作り、宗教研究所を作ったり、あるいは寝殿造りを再現して体感できるような空間づくりもいいだろう。

 

以 上