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2026年3月14日土曜日

奥出雲おろち号、第7回しまね景観賞 優秀賞選評、島根県、1999

 奥出雲おろち号

  布野修司 

 出雲横田駅の近くの踏切で待った。紅葉の季節がほぼ終わりかけ、明日には運転がお終いになるという日で、雪も降り出しそうであった。

 やがてゆっくりと奥出雲おろち号が現れた。白とブルーに塗り分けられた車体は後ろの山の緑と紅葉によく映えて見えた。映えると言っても、自己主張をする映え方ではない。適度のスピードで通り過ぎるから、適度に刺激的である。このデザインが賞の対象だけれど、それよりこの企画自体が景観賞に値する。すなわち、景観を鑑賞する仕掛けがいい。

 このトロッコ列車の存在によって鉄道沿線の景観は常に意識されるだろう。旅客たちは奥出雲の自然を楽しむと同時に奧出雲の歴史と伝統を思う。他に同様のアイディアはあるにせよ、いつまでも続けて欲しいと思う。

 寒いから、トロッコ列車に乗っている人はいないのじゃないか、といささか心配であったけれど、やってきた奥出雲おろち号には紅葉を楽しむ少なからぬ客があった。

2025年2月7日金曜日

しまね景観賞 松江宍道湖温泉駅 選評、島根県

 しまね景観賞

松江宍道湖温泉駅

 

なんともちっぽけなターミナル駅である。単線だから世界最小の終着駅かもしれない。でも、とても上品な駅だ。薄い軽快な屋根、細い柱、透明な箱、一見駅には見えない。待合室は洒落たカフェーの趣がある。天井が高くノビノビしているのがいい。継ぎ目がないDPG(ドット・ポインティッド・ガラス)の使用にしても、鉄骨の収まりにしても、とにかく、ディテールが綺麗である。かつての鄙びた駅の華麗なる変身である。と思うと、駅前には何やらほのぼのとしたお湯かけ地蔵があり、足湯に足を浸す人々がいて、宍道湖の北岸をゴトゴト走る一畑電車ののどかな雰囲気が漂ってもいる。どことなく気取った都会風の駅とのんびりとした足湯とお湯かけ地蔵、絶妙のアンバランスというべきか。

駅は、それぞれの場所で、それぞれ別の貌を持つべきではないか。一畑電鉄の試みは楽しい。新幹線の駅のようにどこでも同じじゃあ困る。足湯のある松江宍道湖温泉駅は、どこにもないユニークな終着駅である。(布野修司)

布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...