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2024年5月30日木曜日

布野修司 『住宅と木材』 木匠塾・職人大学・SSF関連原稿、1982ー1997 

 

布野修司 木匠塾・職人大学・SSF関連原稿 

 

雑木林の世界

http://blog.livedoor.jp/funoshuji-loach/

雑木林の世界「住宅と木材」連載,(財)日本住宅・木材技術センター

 

[00] 熊谷うちわ祭,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター, 198208

[00] 熊谷木造住宅調査近況,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター, 198301

[00] カンポン調査ノ-ト,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター, 198309

 

 

1989

[01] 雑木林のエコロジ-,雑木林の世界01,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,198909

[02] 草刈十字軍,雑木林の世界02,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,198910

[03] 出桁化粧造,雑木林の世界03,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,198911

[04] 智頭杉「日本の家」,雑木林の世界04,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,198912

 

1990

[05] 富山の住宅,雑木林の世界05,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199001

[06] UK-JAPAN  ジョイントセミナ-,雑木林の世界06住宅と木材,日本住宅木材技術センター,199002

[07] 風水(Feng  Shui),雑木林の世界07,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199003

[08] 伝統建築コ-ス,雑木林の世界08,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199004

[09] 出雲建築フォ-ラム,雑木林の世界09,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199005

[10] 家づくりの会,雑木林の世界10,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199006

[11] ワンル-ムマンション研究,雑木林の世界11,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199007

[12] 地域職人学校,雑木林の世界12,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199008

[13] 中高層共同住宅生産高度化推進プロジェクト,雑木林の世界13,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199009

[14] カンポンの世界,雑木林の世界14,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199010

[15] 「木都」能代,雑木林の世界15,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199011

[16] 「樹医」制度/木造り校舎/「樹木ノ-ト」,雑木林の世界16,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199012

 

1991

[17] 秋田・建設業フォ-ラム,雑木林の世界17,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199101

[18]サイト・スペシャルズ・フォ-ラム,雑木林の世界18,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199102

[19] 建築フォ-ラム,雑木林の世界19,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199103

[20] 地球環境時代の建築の行方,雑木林の世界20,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199104

[21] [イスラ-ムの都市性]研究,雑木林の世界21,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199105

[22] 住居根源論,雑木林の世界22,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199106

[23] 「飛騨高山木匠塾」構想,雑木林の世界23,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199107

[24] 「木の文化研究センタ-」構想,雑木林の世界24,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199108

[25] 第一回インタ-ユニヴァ-シティ-・サマ-スク-ル,雑木林の世界25,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199109

[26] 涸沼合宿SSF,雑木林の世界26,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199110

[27]茨城ハウジング・アカデミ-,雑木林の世界27,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199111

[28] 第一回出雲建築展・シンポジウム,雑木林の世界28,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199112

 

1992

[29] 割箸とコンクリ-ト型枠用合板,雑木林の世界29,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199201

[30] ロンボク島調査,雑木林の世界30,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199202

[31] 技能者養成の現在,雑木林の世界31,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199203

[32] 地球の行方--東南アジア学フォ-ラム,雑木林の世界32,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199204

[33] 第二回インタ-ユニヴァ-シティ-・サマ-スク-ルにむけて,雑木林の世界33,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199205

[34] 土木と建築,雑木林の世界34,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199206

[35] 望ましい建築まちなみ景観のあり方研究会,雑木林の世界35,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199207

[36] エスキス・ヒヤリングコンペ公開審査方式,雑木林の世界36,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンター,199208

[37] 高根村・日本一かがり火まつり,雑木林の世界37,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199209

[38] 京町屋再生研究会,雑木林の世界38,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199210

[39] マルチ・ディメンジョナル・ハウジング,雑木林の世界39,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199211

[40] 朝鮮文化が日本建築に与えたもの,雑木林の世界40,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199212

 

1993

[41] 建築戦争が始まる  第二回AFシンポジウム,雑木林の世界41,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199301

[42] 『群居』創刊一〇周年,雑木林の世界42,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199302

[43] 京都・歩く・見る・聞く,雑木林の世界43,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199303

[44] 日本の集合住宅,雑木林の世界44,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199304

[45] 韓国建築研修旅行,雑木林の世界45,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199305

[46] 飛騨高山木匠塾93年度プログラム,雑木林の世界46,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199306

[47] 北朝鮮都市建築紀行,雑木林の世界47,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199307

[48] 職人大学(SSA)第一回パイロット・スク-ル佐渡,雑木林の世界48,木材技術センター,199308

[49] 東南アジアの樹木,雑木林の世界49,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199309

[50] 空間ア-トアカデミ-:サマ-スク-ル,雑木林の世界50,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199310

[51] 第三回インタ-ユニヴァ-シティ-:サマ-スク-ル,雑木林の世界51,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199311

[52] 現代建築の行方-日本と朝鮮の比較をめぐって,雑木林の世界52,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199312

 

1994

[53] 職人大学第二回スク-リング-宮崎校,雑木林の世界53,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199401

[54] 町家再生のための防火手法,雑木林の世界54,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199402

[55] 木造建築のデザイン,雑木林の世界55,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199403

[56] これからの住まい・まちづくりと地域の住宅生産システム,雑木林の世界56,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199404

[57] 松江城周辺の建築物の高さを規制するべきか,否か,雑木林の世界57,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199405

[58] ジャイプルのハヴェリ,雑木林の世界58,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199406

[59] 町全体が「森と木と水の博物館」,雑木林の世界59,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199407

[60] 東南アジアのエコハウス,雑木林の世界60,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199408

[61] マスタ-・ア-キテクト制,雑木林の世界61,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199409

[62] 木匠塾 第四回インタ-ユニヴァ-シティ・サマ-スク-ル,雑木林の世界62,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199410

[63] ジャワ島横断,雑木林の世界63,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199411

[64] AFシンポ「アジアの建築文化と日本の未来」,雑木林の世界64,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199412

 

1995

[65] 韓・日國際建築シンポジウム,雑木林の世界65,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199501

[66] 新・木材消費論,雑木林の世界66,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センターセンタ-,199502

[67] 阪神大震災と木造住宅,雑木林の世界67,住宅と木材,199503

[68] 戦後家族とnLDK,雑木林の世界68,住宅と木材,199504

[69] 北京・天津・大連旅日誌,雑木林の世界69,住宅と木材,199505

[70] 阪神大震災に学ぶ(2),雑木林の世界70,住宅と木材,199506

[71] かしも木匠塾フォ-ラム,雑木林の世界71,住宅と木材,199507

[72] 中高層ハウジング研究会,雑木林の世界72,住宅と木材,199508

[73] かしも木匠塾開塾,雑木林の世界73,住宅と木材,199509

[74] ア-バンア-キテクト制,雑木林の世界74,住宅と木材,199510

[75] エコハウス イン スラバヤ,雑木林の世界75,住宅と木材,199511

[76] ベトナム・カンボジア行,雑木林の世界76,住宅と木材,199512

 

 

1996

[77] 80年代とは何だったのか、雑木林の世界77,199601

[78] 都市の記憶・風景の復旧,雑木林の世界78,住宅と木材,199602

[79] 社区総体営造-台湾の町にいま何が起こっているか,雑木林の世界79,住宅と木材,199603

[80] 職人大学設立へ向けて・・・SSFの現在,雑木林の世界80,住宅と木材,199604

[81] 台湾紀行,雑木林の世界81,住宅と木材,199605

[82] 明日の都市デザインへ,雑木林の世界82,住宅と木材,199606

[83] 日本のカンポン、雑木林の世界83,199607

[84] 東南アジアのニュータウン、雑木林の世界84,199608

[85] 木匠塾:第六回インターユニヴァーシティー・サマースクール、雑木林の世界85,199609

[86] 住宅の生と死・・・住宅は何年の寿命を持たねばならないのか,雑木林の世界86

[87] インド・ネパ-ル紀行,雑木林の世界87,住宅と木材,199611

[88] 漂流する日本的風景,雑木林の世界88,住宅と木材,199612

 

1997

[89] 京都グランドヴィジョン研究会,雑木林の世界89,住宅と木材,199701

[90] 組織事務所の建築家,雑木林の世界90,住宅と木材,199702

[91] パッシブ・アンド・ロ-・エナジ-・ア-キテクチャ-,雑木林の世界91,住宅と木材,199703

[92] 景観条例とは何か,雑木林の世界92,住宅と木材,199704

[93] パッシブ・ソ-ラ-・システム・イン・インドネシア,雑木林の世界93,住宅と木材,199705

[94] スタジオ・コ-ス,雑木林の世界94,住宅と木材,199706

[95] 木の移築プロジェクト,雑木林の世界95,住宅と木材,199707

 

 

2023年2月26日日曜日

木匠塾:第六回インターユニヴァーシティー・サマースクール、雑木林の世界85,199609

木匠塾:第六回インターユニヴァーシティー・サマースクール、雑木林の世界85,199609

 雑木林の世界85

木匠塾:第六回インターユニヴァーシティー・サマースクール

 

布野修司

 

 「職人大学構想」が急ピッチで展開しはじめた。KGS(財団法人 国際技能振興財団 本部 東京都墨田区両国二-一六-五 あつまビル5F                 )が設立されて半年になるのであるが、その活動が徐々に軌道に乗りだしているのがひしひしと伝わってくる感じである。

 七月二四日には、KGSの「ぴらみっど匠のひろば」(                )が滋賀県八日市市に設立され、そのオープニング・パーティーが一五〇〇人の参加者を集めて華々しく開かれた。驚くべきエネルギーである。

 アカデミーセンターに、ハウジングセンター、ぴらみっどイベントホールに巨大な実試験センター。すぐにでも使える立派な施設群である。もちろん、半年やそこらでこれほど立派な施設ができるわけはない。財団副会長であり、SSF(サイト・スペシャルズ・フォーラム)副理事長、小野辰雄日綜産業社長が私財を財団に提供する形をとったのである。その意気込みには頭が下がる。

 職人パスポートも創られた。年会費四八〇〇円で、教育(一日五〇〇〇円の助成)、施設(「ぴらみっど匠のひろば」の利用)、サービス(国内外ホテル、リクレーション施設利用割引)、クレジットカード(キャッシング・サービス)、安心保障(傷害保険、生命保険への自動加入)、仕事(斡旋、仲介)、登録(職人工芸士名鑑への登録)など七つの特典がある。数の強さ、集まることの力が生かされる仕組みである。

 自民党を中心にした国会議員の諸先生の意気込みもすごい。職人大学設立促進議員連盟が一五〇名もの議員を要して結成され、この九月にはマイスター制度の視察に一〇人もの国会議員がヨーロッパへ出かけることになっている。「ぴらみっど匠のひろば」のオープニングには、八日市出身と言うことで、武村正義新党さきがけ代表も見えた。ドイツに留学経験があるということで、マイスター制度には随分造詣が深そうであった。

 さて、一方、どういう大学にするかも具体化しなければならない。理念は固まりつつあるのであるが、具体的な組織固めを始めなければならないのである。また、職人大学の理念がすんなりと既存の制度の枠内に収まるかどうかは予断を許されない。様々な紆余曲折が予想されるところである。

 「ぴらみっど匠のひろば」をどう使うかも大きなテーマである。とりあえず、ピーター・ラウ(建築家 ヴァージニア州立工科大学副教授)氏が、アメリカの大学の学生を日本に招いて木造の建築技術を学ぶプログラムを決定したのであるが、急いで全体計画を立てる必要がある。一週間程度の短期学習を積み重ねて、やがて恒常化していく必要がある。もっと重要なのは、地域との連携である。地域の優れた職人さんたちの技を学ぶ場を設定したいと考えている。また、木匠塾との連携も大いに追求したいと思っている。

 今年の木匠塾のインターユニヴァーシティー・サマースクール(第六回)は、去年に引き続いて、高根村と加子母村の二カ所で、七月三〇日~八月一〇日の間、開かれた。二カ所になり期間も長くなったのは、参加人数が多くなり、それぞれのグループ毎に独自のプロジェクトが展開され始めたからである。

 東西の学生が出会うメリットが失われることが危惧されるが、今年に限っては全く問題はなかったように見える。各大学の幹事が密に連絡を取り合い、見事な連携を見せたからである。学部大学院と二年三年木匠塾へ来てくれる学生が上下を繋げてくれるのも大きい。

 高根村の「日本一かがり火まつり」(毎年八月の第一土曜日 今年一〇回目)は魅力的である。今年は、京都造形大学と大阪芸術大学が屋台を出した。また、東洋大学、千葉大学、芝浦工業大学の東京組も、その日高山見学などを組み入れて、かがり火まつりの会場に集結してきた。翌日は、加子母村での懇親スポーツ大会で、翌々日のプレカット工場等の見学が共通プログラムである。

 加子母村では、高根村と同じように営林署の二棟の製品事業所の改装が今年は開始された。宿泊施設として使うためである。製品事業所のある渡合地区はすばらしいキャンプ場として整備されつつあるのであるが、電気の設備がない。自家発電装置が必要なのであるが、電気のない自然の中で暮らす経験も木匠塾の第一歩である。

 前にも記したことがあるのであるが、まず問題となるのが虫である。今年は蛾の類の虫の異常発生とかで、夜はたまらない。油断していると口の中に飛び込んできたりする。初めて木匠塾に来るとびっくりするのであるがすぐなれる。また、魚釣りをしたことのない学生が多いのに驚く。それだけ日本から自然が失われているというべきか。嬉々として魚釣りに興じる学生の顔を見ると、複雑な心境になる。とにかく、自然に触れるのは貴重な経験なのである。

 京都大学グループは、三年がかりの登り釜を完成させた。去年は素焼き止まりであったが、今年は釉薬を塗って素晴らしい焼き上がりとなった作品ができた。釜の構造も補強し、ほぼ恒久的に使えるようになった。素人がつくった釜でも一応使えるのが確認できたのは大収穫である。

 もうひとつのプロジェクトは、斜面への露台の建設である。清水の舞台、懸け造りとはとてもいかない。丸太を番線で緊結するプリミティブな手法だ。番線とシノの扱い方は、ロープ結びと並ぶ木匠塾の入門講座である。

 他のグループのプロジェクトは完成を見ていないからその全容はわからない。京都造形大学は、昨年の原始入母屋造りを山の斜面に向かって増築していく構えで、草刈り機をつかっての地業に余念がなかった。大阪芸術大学は、念願の風呂をつくるということで準備ができていた。継続的に、ものが出来ていくのは楽しいことである。

 バンガローの設計組立は、来年になりそうであるが、東洋大グループは、昨年のゲルを改良して移動住居として立派に使っていた。創意工夫もものをつくる源泉である。

 職人大学構想は大反響である。方々の自治体から誘致したいとの声がある。しかし、そんなに簡単なことではないということは、木匠塾の経験からもわかる。とりあえず、条件の整うところから、やっていくしかない。走りながら考えるのみである。