取材協力
木の上に小さな秘密基地をつくり、遊ぶ。そんなツリーハウスを子供の頃夢見た人は多いだろう。木と共に過ごすワクワク感は大人になってもなくならない。増え始めた「泊まれるツリーハウス」は日常を忘れさせ、自然と一体になったような時間を与えてくれる。木のそばで少しひと休み、してみよう。
鳥の目線で過ごす時間
うだるような暑さが続いていた8月、神奈川県箱根町の山中を訪れると、涼やかな雑木林にひっそり浮かぶ小さ...
福山絵里子さま
お手紙拝受。
お訊ねに簡単に応答します。不明の点があれば、さらにメールいただければと思います。
樹上住居tree house tree-dwellingが東南アジアに一般的にあったということはないと思います。
世界のヴァナキュラー建築については、第一人者Paul Oliverが編んだ以下の百科事典3巻がありますが、tree houseについては、①Kati dobo houses, Mamberano River, Irian Jayaと②Mannubo house, Mindanaoの2事例をP.Oliver自らが執筆しています。添付します。
Oliver, P. (ed.), “Encyclopedia of Vernacular Architecture of the World”, Cambridge University Press, 1997
①については、以下のAに引用していますが、福山さんの言うコロワイ族の住居です(イリアンジャヤ(西ニューギニア))。Wikipediaなどでは、敵対関係にある他の種族から身を守るためと説明されますが、実際は未婚の女性用で、襲われた時に投げ落とす石が置かれていたといいます。P.Oliverは、イリアンジャヤの西南にあるカイ諸島にも樹上住居があったと書いています。
②のミンダナオ島南のダバオ湾周辺で見られたものですが、太い樹、そしてそれを切った切り株上に本格的な住居を建設しており、系統は別ですね。
東南アジアの住居は高床式住居が一般的ですが、例外もあります。
全容については、以下を参照ください。
B 布野修司編:世界住居誌,昭和堂,2005年
D 布野修司監訳:生きている住まいー東南アジア建築人類学(ロクサーナ・ウオータソン著,アジア都市建築研究会,The Living House: An Anthropology of Architecture in SouthーEast Asia,学芸出版社,1995
中国では、伝説上最古の建築師を有巣氏といいます。鳥が巣をつくるのをみて、人類に家をつくることを教えたという聖人です。
チンパンジーは毎夜樹上に巣をつくるといいますが、シェルター(覆い)はつくりません。昆虫、動物などの巣作りは遺伝子的にプログラムされているのですが、樹上住居は住居の原型とはならなかった(樹上生活を放棄して二足歩行を開始した)、高床式住居をつくる能力を身に着けたのがホモ・サピエンスだと思います。
イギリスのヴィクトリアン時代に貴族たちの間でツリーハウスを自然生活のシンボルとして建てることが流行ったとP.Oliverは書いています。
P.Oliverには以下があります。
Oliver, P., “Dwellings: The House Across the World”, London, Phaidon, 1987
Oliver, P., “Dwellings: The Vernacular House World Wide”, Phaidon Inc Ltd, 2003『世界の住文化図鑑』、藤井明訳、東洋書林、2004年
Oliver, P., “Shelter and Society”, London, Barrie and Rockliff, 1969
Oliver, P., “Shelter in Africa”, London, Barrie and Jenkins, 1971
Oliver, P., “Shelter Sign and Symbol”, London, Phaidon, 1975