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前田昌弘『津波被災と再定住 コミュニティのレジリエンスを支える』京都大学学術出版会 2016年2月29日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(4月ー6月)
書籍紹介 岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』 彰国社 2016年1月10日/前田昌弘『津波被災と再定住 コミュニティのレジリエンスを支える』京都大学学術出版会 2016年2月29日/応地利明『トンブクトゥ 交界都市の歴史と現在』臨川書店 2016年1月31日/いるか設計集団編著『よみがえった茅葺の家』建築ジャーナル 2016年1月31日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(4月ー6月)
『建築討論』008号 ◎書籍紹介 布野修司 書籍紹介008号(2016年夏号(4月-6月))
── By 布野修司 |
2016/04/05 | 書籍紹介, 008号:2016年夏号(4月-6月)
前田昌弘『津波被災と再定住 コミュニティのレジリエンスを支える』京都大学出版会、2016年2月29日
本書のもとになっているのは、学位請求論文『津波被災者の再定住地への移住関係の再編に関する研究―スリランカのインド洋津波からの復興を事例に』(京都大学、2012年1月)である。そして、この論文の執筆の最中に発生した東日本大震災の復興支援に論文執筆を中断して関わったその後の経験を踏まえて、大幅に加筆、修正したものが本書である。
本書が焦点を当てるのは、スリランカのインド洋大津波(2004年12月26日)の被災地と被災者の再定住地、その後の復興過程である。著者は、インド洋大津波後の2005年4月に最初にスリランカを訪れて以来、10年以上通い続けて、10次にわたる臨地調査と支援活動を行ってきた。本書が迫力を持って、復興計画論を展開し得ているのは、フィールドでの経験の厚みである。
全体は、序論の第1章から結論の第7章までの7章と補章1,2からなる。また、topics-1~6ということで、東日本大震災の問題も含めた議論が挿入される、立体的な構成をとっている。
本書が依拠する重要な概念とされるのは、副題が示唆するように、レジリエンスである。東日本大震災の復興とともに、国土「強靭化」などという脈略で盛んに用いられるのであるが、著者が着目するのは、レジリエンスの基盤としての「社会関係」である(序論)。
課題1 被災者の生活・仕事の継続に影響する物的環境要素の解明(第2章、補償)、課題2 被災者の生活・仕事、社会環境、物的環境の関係を捉えるフレームの構築(第3章、補章2)、課題3 被災者を取り巻く社会的環境に対する物的環境の規定性の解明(第4章、第5章)、課題4 被災者の生活・仕事の継続における社会環境の役割の解明(第6章、補償2)という4つの課題を明らかにするとする。課題2のフレームの構築というのは、いささか次元が異なるように思えるが、「暮らしの再建をはかるフレームの構築」(第3章)という意味である。また、課題4の「社会環境の役割」も一般的に思えるが、具体的に論じられるのは、マイクロクレジットの活用である。
結論の最後には、自然災害後の再定住計画の原則が的確にまとめられている。
遅々として進まないかに思える、東日本大震災の被災地の復興をさらに考えるために、読まれるべき多くの示唆を含んでいる労作と言っていい。(S.F.)
前田昌弘:1980年奈良県生まれ。2004年、京都大学卒業。京都大学大学院工学研究科博士過程、京都大学グローバルリーダーユニット養成研究員、日本学術振興会特別研究員を経て、2013年~、京都大学大学院工学研究科建築学専攻助教。
2025年8月8日金曜日
岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』 彰国社 2016年1月10日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(4月ー6月)
書籍紹介 岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』 彰国社 2016年1月10日/前田昌弘『津波被災と再定住 コミュニティのレジリエンスを支える』京都大学学術出版会 2016年2月29日/応地利明『トンブクトゥ 交界都市の歴史と現在』臨川書店 2016年1月31日/いるか設計集団編著『よみがえった茅葺の家』建築ジャーナル 2016年1月31日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(4月ー6月)
『建築討論』008号 2016年4月1日刊行
◎書籍紹介 布野修司 書籍紹介008号(2016年夏号(4月-6月))
20160110 著者:岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』彰国社
オランダ植民都市研究を展開するなかで、スリランカには随分通った。主要なターゲットとしたのはコロンボであり、ゴールGalleである。その成果は、布野修司編(2005)『近代世界システムと植民都市』(京都大学学術出版会)にまとめたが,その直前のインド洋大津波当日(2004年12月26日)にはゴールに居て危うく難を逃れ、さらに復旧支援ということでしばらく通った。京都大学で同僚であったモラトゥア大学のサミタ・マナワドゥ教授との縁である。ジェフリー・バワの作品は、従って、折に触れて見る機会があった。ゴールには「ライトハウス・ホテル」(1995~97)があり、コロンボからゴールまでのインド洋沿岸には、ベントータ周辺などにいくつかホテルがある。特に、遺作と言っていいブルーウォーター・ホテル(1996~98)には行き帰りに度々依った。インド洋と一体化するような水の扱いが巧みなホテルである。「熱帯建築家」というレッテルが貼られるが、いずれも、自然と一体化する実に素直な良質の心地いいモダニズム建築という印象がある。
本書は、石窟寺院で著名なタンブッラ近くの「カンダラマ・ホテル」(1991~94)でダワ作品に出会ったという著者による独自のジェフリー・バワ論である。
バワはもともと建築家を志したわけではない。ケンブリッジで学んで弁護士となり、その後、AAスクールに入学するのは35歳である。断面図も描けず、いわば素人建築家として出発するのであるが、そのバワを支えたのが10歳年下のパートナー、デンマーク人建築家ウルリック・ブレスナーである。本書をユニークなものとしているのは、第一に、現在テルアビブに住むウルリックへのインタビューをはじめ、バワ事務所の関係者へのヒヤリングを試みていることである。
中心となるのは、著者が選定する25の作品である。ジェフリー・バワ財団から入手した図面は貴重である。その作品リスト、年表なども添えられ、バワへのアプローチのための基本資料は得ることができる。
バワのAAスクールの同級生には、K.フランプトン、C.プライス、D.S.ブラウンが要るという。遅い学生だから一回り以上歳は違う。世代を異にし、スリランカをホームグラウンドとしたバワをどう位置づけるかは興味深いテーマである。
著者は、「バワ建築を理解するための10の視点」として、その位置づけを試みている。総括すれば、サブタイトルにいう「スリランカの「アミニズム・モダン」」ということであるが、読者もまたバワ建築の位置づけを試みることになる。そのための情報は本書に充分を用意されている。
著者紹介
岩本弘光:1954年和歌山県高野山生まれ。建築家。岡山県立大学デザイン学部教授。1978年、日本大学理工学部建築学科卒業。1980年、同大学大学院修士課程修了。1982年-1985年、石井和紘建築研究所。1987年-1988年、イタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学留学。1989年、ロータリー財団給費留学生としてミラノ工科大学留学。2010年、現職。主要作品 「casa100」(2001年 旭硝子DESIGN
SELECTION 2000 優秀賞)、「太田市立休泊小学校」(2001年 第10回BELCA賞)、「静岡ガス研修センター」 (2003年グッドデザイン賞 第35回中部建築賞入賞 建築学会作品選集)、「静岡ガス研修センター」( 2004年 グッドデザイン賞)、「静岡八幡SS」 (2004年 グッドデザイン賞 第36回中部建築賞入選)、「富士山荘」 (2005年 東京ガス第7回あたたかな住空間最優秀賞)など。
布野修司 履歴 2025年1月1日
布野修司 20241101 履歴 住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14 1949 年 8 月 10 日 島根県出雲市知井宮生まれ 学歴 196...
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