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講演:滋賀県立大学平成19年度春季公開講座「カンポンの世界ーアジアの居住問題を考えるー」,5月26日,滋賀県立大学A2ー202
講演:滋賀県立大学平成19年度春季公開講座「カンポンの世界ーアジアの居住問題を考えるー」,5月26日,滋賀県立大学A2ー202
平成19年度 滋賀県立大学春期公開講座
カンポンの世界
―アジアの居住問題を考える―
布野修司
滋賀県立大学大学院環境科学研究科・環境計画学専攻
環境科学部・環境計画学科・環境建築デザイン専攻
世界の総人口は、21世紀半ばには100億人を超えると予測される。人口問題、食糧問題、エネルギー問題、地球問題は、危機的である。少子高齢化社会を迎え、人口減少が確実な日本などと対照的に、人口増加は熱帯地域に集中する。熱帯地域の人々が一斉にクーラーを使用しだすとするとどうなるか。発展途上地域の居住問題は、日本の環境問題と決して無縁ではない。
アジア、アフリカ、ラテン・アメリカなど発展途上地域の大都市は、様々に都市問題、居住問題を抱えている。まず、発展途上地域の居住問題の実態、居住問題に対する様々な取り組みを紹介したい。また、四半世紀以上にわたってフィールド調査を続けてきたアジアの都市、とりわけインドネシアの都市をとりあげて、具体的に考えたい。
インドネシアの都市の住宅地はカンポンkampungと呼ばれる。カンポンとは、インドネシア(マレーシア)語で「ムラ」という意味である。カンポンガンというと「イナカモン」というニュアンスである。都市の居住地なのにカンポンという。カンポンのあり方を紹介する中でアジアの都市の共生原理を考えたい。
このカンポン、実は、英語のコンパウンドcompound(囲い地)の語源である。カンポンは、世界中の居住環境を考える手がかりを与えてくれる。
カンポンの世界
―アジアの居住問題を考える―
布野修司
はじめに
・建築計画→地域生活空間計画→環境建築学
・カンポン調査(東南アジアの都市と住居に関する研究)
・アジア都市建築研究
・植民都市研究
・タウンアーキテクト論 →近江環人(コミュニティ・アーキテクト)地域再生学座
日本建築学会 建築計画委員会委員長 英文論文集委員会委員長
元理事 『建築雑誌』編集委員長 前アジア建築交流委員会委員長
島根県景観審議会委員
Ⅰ アジアの居住問題
1.発展途上国の都市化の特質
発展途上国の都市化
都市化の水準と速度
過剰都市化とプライメート・シティ ランクサイズルール 都市化と工業化
2. 都市の構造的重層性
植民都市
複合社会
二重構造
都市村落
3.都市化理論と発展途上国
都市化の類型 第一次都市化と第二次都市化
系統発生的変容と異種発生的変容
産出的都市と寄生的都市
従属的都市化 低開発の開発 従属の構造 周辺資本主義の社会構成体
諸生産様式の接合 世界資本主義システム
4 東南アジアのハウジング・プロジェクト
○東南アジア各国の住宅政策
○セルフヘルプによるハウジング
○インフォーマル・グループの試み
Ⅱ カンポンの世界
1 カンポンの特性
多様性2.全体性3.複合制 4.高度サービス社会 屋台文化 5.相互扶助システム 6.伝統文化の保持 7.プロセスとしての住居 8.権利関係の重層性
2 カンポンの諸問題
3 カンポン・ハウジング・システム
Ⅲ エコ・ハウス、エコ・ヴィレッジ、エコ・タウン
1 スラバヤ・エコ・ハウス
2 東南アジアの民家
3 本当に豊かな住まいとは 共に生きる:日本のまちづくりをめぐる基本的問題
布野修司(Shuji Funo) 工学博士、1949年島根県生まれ。東京大学大学院博士課程修了後,東京大学助手,東洋大学助教授,京都大学助教授を経て,2005年より滋賀県立大学環境科学部教授。日本建築学会建築計画委員会委員長、英文論文集委員長。元『建築雑誌』編集委員長。日本建築学会賞論文賞(1991年)、日本都市計画学会論文賞(2006年)。
●著書等
単著
[1]:戦後建築論ノート,相模書房,1981年6月15日(日本図書館協会選定図書)
[2]:スラムとウサギ小屋,青土社,1985年12月8日
[3]:住宅戦争,彰国社,1989年12月10日
[4]:カンポンの世界,パルコ出版,1991年7月25日
[5]:戦後建築の終焉,れんが書房新社,1995年8月30日
[6]:住まいの夢と夢の住まい・・・アジア住居論,朝日新聞社,1997年10月25日
[7]:廃墟とバラック・・・建築のアジア,布野修司建築論集Ⅰ,彰国社,1998年5月10日(日本図書館協会選定図書)
[8]:都市と劇場・・・都市計画という幻想,布野修司建築論集Ⅱ,彰国社,1998年6月10日(日本図書館協会選定図書
[9]:国家・様式・テクノロジー・・・建築のアジア,布野修司建築論集Ⅲ,彰国社,1998年7月10日(日本図書館協会選定図書)
[10]裸の建築家・・・タウンアーキテクト論序説、建築資料研究社,2000年3月10日
[11]曼荼羅都市・・・ヒンドゥー都市の空間理念とその変容,京都大学学術出版会,2006年2月25日
編著
[1]:建築計画教科書,建築計画教科書研究会編,彰国社, 1989年, 編著
[2]:見知らぬ町の見知らぬ住まい,彰国社, 1990年, 編著
[3]:現代建築ーーーポスト・モダニズムを超えて,宮内康・布野修司編,新曜社,1993年,編著
[4]:建築.まちなみ景観の創造,建築・まちなみ研究会編(座長布野修司),技報堂出版,1994年1月(韓国語訳 出版 技文堂,ソウル,1998年2月) ,編著
[5]:建都1200年の京都,布野修司+アジア都市建築研究会編,建築文化,彰国社,1994年,編著
[6]:日本の住宅 戦後50年, 彰国社,1995年3月,編著
[8]:Bauen mit Eigensinn Japanische
Architecture Individualism and Idiosyncrasy,Petruschat Verlag, Berlin,1996, 編著
[9]:日本当代百名建築師作品選,布野修司+京都大学亜州都市建築研究会,中国建築工業出版社,北京,1997年(中国国家出版局優秀科技図書賞受賞 1998年) , 編著
[10]東南アジア 風土・生態・環境,古川久雄,高谷好一 布野修司,他編集,弘文堂,編著,1997年
[11]待てしばしはないー東畑謙三の光跡,日刊建設通信新聞社,1999年5月,編著
[12]曽根幸一他:都市史図集、都市史図集編纂委員会編、1999年9月, 編著
[13]布野修司+『怨恨のユートピア』刊行委員会:怨恨のユートピア・・・宮内康の居る場所、れんが書房新社、2000年6月30日, 編著
[19]布野修司編著書:『近代世界システムと植民都市』、京都大学学術出版会、2005年2月25日
[20]布野修司編著、『世界住居誌』、昭和堂、2005年12月20日
共著
[1]:建築調書1960-75,建築文化,彰国社,1978年,共著
[2]:建築 そのプロブレマティーク,建築文化,彰国社,1980年,共著
[3]:建築戦後35年史,新建築,新建築社,1980年,共著
[4]:見える家と見えない家,叢書 文化の現在3,岩波書店, 1981年,共著
[5]:悲喜劇・1930年代の建築と文化,同時代研究会編,現代企画室, 1981年,共著
[6]:新建築学体系1 建築概論,大江宏編,彰国社, 1982年,共著
[9]:日本の住居1985,戦後40年の軌跡とこれからの視座,建築文化,彰国社, 1985年,共著
[11]:建築のパフォーマンス,磯崎新編,パルコ出版, 1985年,共著
[13]:建築作家の時代,布野修司,藤森照信,松山巌,柏木博編,リブロポート, 1985年,共著
[19]:廃虚からポストモダンまでの40余年,建築文化,彰国社,1988年,共著
[22]:作法と建築空間,日本建築学会編,彰国社, 1990年,共著
[28]:寄せ場に開かれた空間を,社会評論社, 1992年,共著
[32]:戦後建築の来た道 行く道, 北代礼一郎編, 東京建築設計厚生年金基金,1995年3月,共著
[34]:東洋建築史図集,彰国社,1995年,共著
[35]:講座 現代居住全5巻 第2巻 家族と住居,早川和男編,東京大学出版会1996年7月,共著,
[45] Shuji Funo: Peter J.M. Nas (ed.):Indonesian
town revisited, Muenster/Berlin, LitVerlag, 2002
[47]:「メガ・アーバニゼーション」、アジア新世紀8 構想、岩波書店、青木保編、2003年7月11日
[48]:建築学がわかる,AERA
Mook新版,朝日新聞社, 2004年8月10日
[49]:「51C」 家族を容れるハコの戦後と現在、平凡社、鈴木成文・上野千鶴子・山本理顕他、2004年10月8日
[51]:『都市とは何か』『岩波講座 都市の再生を考える』第一巻、岩波書店、2005年3月
[52]Shuji
Funo: Peter J.M. Nas(ed.), “Directors of Urban Change in
[53]:『前川國男 現代との対話』、松隈洋編、六曜社、2006年10月、共著
[54]:『都市の暮らしの民俗学3 都市の生活リズム』、新谷尚紀、岩本通弥編、吉川弘文館、2006年12月
[55] Shuji Funo & M.M.Pant, “Stupa & Swastika”,
訳書
[1]:環境の空間的イメージーーーイメージマップと空間認識,M.W.ダウンズ ダビット. ステア共編 吉武泰水監訳,IMAGE AND
ENVIRONMENT---Cognitive Mapping and Spatial Behavior, edited by Roger M, Downs
& David Stea, Aldine Publishing Co. Chicago 1973,曽田忠広 林章 布野修司 岡房信共訳,鹿島出版会,1976年
[2]:生きている住まいー東南アジア建築人類学(ロクサーナ・ウオータソン著 ,布野修司(監訳)+アジア都市建築研究会,The Living House: An Anthropology of
Architecture in South-East Asia,学芸出版社,1997年3月,
[3]:植えつけられた都市 英国植民都市の形成、ロバート・ホーム著:布野修司+安藤正雄監訳、アジア都市建築研究会訳,Robert Home: Of Planting and Planning The making of British
colonial cities,2001年7月
布野研究室 環境設計・生活空間設計学・地域生活空間計画講座・研究テーマ
Ⅰ 計画理論・計画手法・計画技術
A-1 地域計画理論に関する基礎的研究
A-2 ハウジング計画理論に関する研究
A-3 発展途上国への計画技術の移転に関する研究
Ⅱ 生活空間研究-住居論・住居集合論・集落論・空間論
B-1 世界の住居集落の形態とその構成原理に関する比較研究
B-2 地域の生態系に基づく住居システムに関する研究
B-3 発展途上国の居住環境とその整備手法に関する研究
Ⅲ 都市空間研究-都市論・都市史・都市計画論
C-1 京都研究
C-2 地域空間の形成・継承に関する研究
C-3 都市空間論 比較都市論
C-4 不良住宅地の形成過程に関する研究
C-5 地理情報システム(GIS)を用いた都市空間研究
C-6 防災都市計画に関する研究
Ⅳ 保存修景計画-保存論・景観論
D-1
歴史的環境地区に関する調査研究
D-2 保存修景計画論
D-3 都市景観の形成維持手法に関する研究
D-4 景観シミュレーション手法の開発
D-5 保存技術に関する研究
Ⅴ アジア都市建築研究
E-1 アジア諸都市の歴史的建造物に関する研究
E-2 アジアの都城の比較研究:都城論 比較都市研究
E-3 イスラーム都市建築研究
E-4 植民都市に関する比較研究
E-5 東洋建築史研究
E-6 アジア都市形成史研究
Ⅰ 居住環境整備 Ⅱ 日本ー滋賀 琵琶湖 Ⅲ アジア集落 Ⅳ
アジア都市
1 東南アジアーインドネシア都市
2 東アジア都市 中国 台湾 韓国 Ⅴ ヒンドゥー・仏教都市 Ⅵ イスラーム都市
1 インド・イスラーム都市 2 インドネシア都市 Ⅶ 植民都市研究 1 大英帝国の植民都市
2 オランダの植民都市
3 スペイン植民都市
4 日本の植民都市 Ⅷ
田園都市研究
A 街区組織ー都市型住宅 B グリッド C 棲み分け セグリゲーション D 聖祠
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traverse11 2010 新建築学研究11 Ondor, Mal & Nisshiki Jutaku(Japanese Style House):Transformation of Korean Traditional House オンドルとマル,そして日式住宅...