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2025年6月2日月曜日
2025年5月12日月曜日
米原駅東口周辺整備 まちづくりビジョン(案)、米原市、200701
平成19年1月
<目次>
I. まちづくりの基本方針
米原市の都市ブランドを確立・発信する“シンボルエリア”を形成する
米原駅東口周辺整備によって、米原駅東口周辺地域が米原市の「シンボルエリア」となることが期待される。米原駅東口周辺整備を通して実現していく、まちづくりの基本方針として、以下の6点を設定する。
①
米原の玄関口としてふさわしい都市機能の誘導と都市空間の形成
・
多くの来訪者や乗換客が利用する広域交通の要衝としての機能強化。
・
滋賀県および米原の玄関口としてふさわしい質の高い都市空間の形成。
②
市民と立地企業のニーズに応えた都市機能が集積した米原市の都市核を形成
・
米原市民の利便性、快適性を高める公共サービスや民間サービスの提供。
・
立地企業の満足度を高め、企業進出の根拠となる立地条件を整備。
③
多様な人々の参加と交流を通して、米原の都市力※1を創出する拠点の形成
・
交通結節点という強みを活かし、広域からの参加と交流を促進するハードとソフトの整備。
・
人の交流と新たな挑戦により、米原らしさを形成する新技術や産業、文化を創出する拠点。
・
商業機能など、広域から人を集める事業の誘導。
※1 都市力
市民活動や経済活動、歴史・文化や地域資源、シンボリックなモノ・コトなど、都市の様々な要素があいまって創出される都市の活力。
④
琵琶湖東北部の産業振興、地域活性化に貢献する広域連携の拠点の形成
・
琵琶湖東北部地方拠点都市地域の重点拠点地区としての機能の向上。
⑤
多様な知恵を集めた官民協働のまちづくり
・
都市インフラは米原市等が整備を行い、都市機能は民主導で運営する官民協働のまちづくりの促進。
⑥
すべての人にやさしく、利便性の高い都市基盤の充実
・
上記の①~⑤を支える都市基盤の充実。
・
高齢社会を支え、子育て世代にもやさしいユニバーサルデザインの都市基盤。
・
光ファイバー網等を活用した利便性の高い情報基盤。
米原駅東口周辺地域に関連する上位計画等
○ 新市まちづくり計画
広域観光ネットワークの拠点づくり、産業機能やサービス業の集積など、玄関口にふさわしい交流
拠点の形成を図ることで『ネットワーク型都市の整備』を進めることとしている。
○
琵琶湖東北部地方拠点都市地域整備計画アクションプラン
「米原駅研究交流拠点地区」として位置づけられ、研究機能、交流機能、商業・業務機能、居住
機能の重点拠点地区として設定されている。
図 1 まちづくりの基本方針 6つの柱
○
駅前広場を中心に、米原市の玄関口として駅前空間を整備し、米原市の持続可能な成長を先導するシンボル空間として位置づける。
○
周辺の既成市街地や立地企業との連続性に配慮し、住宅地や企業進出用地としての価値を高め、将来の人口維持や企業進出を誘導する契機とする。
○
米原駅を中心する都市核の形成を視野に入れながら、東口の開発整備とあわせ、これまで分断されていた西口との相互補完を図る。
○
米原駅東口周辺地域は、駅前空間と、西口と東口の市街地を連携する東西軸(連携軸)、鉄軌道に沿った帯状の空間を構成する南北軸(交流軸)により構成される。
なお、こうした米原駅東口の発展に必要な都市インフラは、現在、土地区画整理事業等によって計画的に整備を進めている。
1)駅前空間
駅前空間は、駅前広場を中心する高度利用が図られた質の高い都市空間である。土地区画整理事業で整備する駅前広場は、緑やストリートファニチュアの質を高めることで整備水準の高い公共空間を創出する。駅前広場に面する建築物は、駅前広場と一体となって米原市の玄関口にふさわしい都市空間を形成する。
2)東西軸(連携軸)
東西軸は、自由通路の整備によって実現する、米原駅の東口と西口の連続性を確保する歩行者動線である。これまで分断されていた両地域の交流を促進し、観光バスヤードと路線バス停留所の分担といった適切な機能分担によって、米原駅を中心とした米原市の都市核の形成を誘導する。
3)南北軸(交流軸)
南北軸は、駅前広場から鉄軌道に沿って南に延びる帯状の空間である。米原駅東口周辺整備により立地誘導する多様な都市機能と、これらの都市機能と米原駅をつなぐ歩行者空間とにより構成する。多様な交流を育むよう、ゆとりと賑わいがあり、歩いて楽しい空間として形成する。
4)開発先導エリア
なお、東西軸と南北軸が交差し、駅前空間に面する部分を開発先導エリアと位置づけ、米原市が主導して民間とのパートナーシップを図りながら、以上の「駅前空間」、「東西軸」、「交流軸」の性格をふまえた整備内容を先行的に行い、今後の米原駅東口周辺整備を誘導する。
図 2 米原駅東口周辺地域の構成イメージ
1.
都市機能の基本的な考え方
米原駅東口周辺整備によって導入する、都市機能の基本的な考え方として、以下の3点を挙げる。
1)米原市のシンボルエリアを構成する都市機能
・
米原市の新しいイメージ(都市ブランド)を確立・発信していくため、市民自身が米原市のシンボルエリアとして誇りに思い、対外的に「米原」の存在を訴求できる形で、駅前空間として必要な機能を導入する。
・
特に、米原市のシンボルエリアにふさわしい賑わいを創出するため、市民や周辺の立地企業、米原駅利用者が必要とする公共サービスや民間による生活利便機能(飲食店などの商業機能)を導入する。
・
さらに、米原の地域資源を活用しながら、“米原らしさ”を代表する新しい都市力(新産業や地域に根ざした文化、市民主体の活発な活動や未来の主流となる価値観など)を創出するため、広域からの参加と交流を促進する都市機能(交流インフラ※2)を導入する。
・
民間投資を促しながら、官民パートナーシップによる役割分担で整備を行う。
※2 交流インフラ
フェース・トゥ・フェースの交流に必要な交通機関や会議スペースなどのハードウェアとともに、交流手段の選択肢の幅を広げる情報通信インフラ、異なる価値を融合するイベントや組織などのソフトウェアを含める。
2)交通の要衝であり、かつ米原の玄関口としてふさわしい駅前空間と都市機能
・
滋賀県の玄関口であり、湖北および湖東の玄関口として、単なる通過点としての機能のみならず、来訪者が立ち寄る魅力を創出する形で、“交通の要衝”としてふさわしい駅前空間の整備と都市機能の導入を目指す。
・
米原駅の東西空間をつなぐ自由通路との連続性に配慮し、(これまで東西のバリアであった)米原駅が中心となった都市空間の形成を目指す。
・
都市インフラとして米原市主導で整備および誘導を行う。
3)琵琶湖東北部の地域活性化に必要な全県レベルの都市機能
・
中長期的に、琵琶湖東北部※3において、広域的(全県的)観点から必要となる都市機能の導入を目指す。
・
例えば、技術開発や商品開発、販路開拓、プロモーションなど、琵琶湖東北部に立地する企業の共通課題を解決するため、東京・名古屋・大阪という大規模マーケットと直結する立地を活かし、活発な営業活動に重点をおいた(公設民営の)産業支援機能の導入などが考えられる。
・
滋賀県と連絡を密にしながら、官民パートナーシップによる役割分担で整備を行う。
※3 琵琶湖東北部広域市町村圏
彦根市、長浜市、米原市、愛荘町、豊郷町、甲良町、多賀町、虎姫町、湖北町、高月町、木之本町、余呉町、西浅井町3市10町で構成される。
2.
導入する都市機能
都市機能の基本的な考え方に基づく、具体的な導入機能として、以下のようなものが挙げられる。
1)駅前空間を構成する機能(駅利用者向けのサービス機能)
米原市の玄関口としてふさわしい「米原の顔」を形成するため、駅利用者をターゲットに、その利便性と快適性を高めるサービスを提供する商業機能や情報提供機能、米原の独自性(米原らしさ)を訴求する諸機能の導入を目指す。
<導入機能候補(例)>
◆ホテル
周辺立地企業の従業員や来訪者をターゲットとし、長期出張でも快適な滞在が可能な宿泊特化型のホテル。
商談やビジネス交流が可能な会議室を併設。
米原市のランドマーク(シンボル)として整備。
◆飲食店
複数店舗の集積による賑わい空間の形成。
米原市あるいは琵琶湖東北部の“名物”を提供するレストラン。
◆コンビニ・物販店
米原駅を利用する市民や通勤客、乗換客の利便性を高める物販店として整備。
◆観光インフォメーション
琵琶湖東北部を中心とした広域観光の窓口となる観光案内所。
◆観光バスターミナル
広域連携の一環として、琵琶湖東北部をエリアとする広域観光のコースを造成するなど、広域観光圏を形成する拠点として整備。
◆特産品等展示・販売
琵琶湖東北部にレジャーや観光で訪れた人が、土産物を購入する楽しみを提供できる施設として整備。土産物を企画、商品化するマーケティング機能など、付加価値を創出する仕組みをもたせる。
2)広域からの集客・交流を促進する機能
東海道本線、北陸本線、東海道新幹線、近江鉄道という鉄道網があり、県下で唯一の新幹線停車駅であるなど、京阪神、中京圏、北陸圏を結ぶ交通の要衝という強みを活かし、多くの人が目的地として集まり、多様な交流の中から新しい価値観や文化、技術、組織等を生み出す状況を引き出し、育む機能の導入を目指す。
また、琵琶湖東北部の広域行政の推進に資するため、圏域の共通課題を解決する行政サービスの導入を目指す。
<導入機能候補(例)>
◆産業支援施設
研修所、会議室などビジネス交流にふさわしい交流空間を整備。
大阪・名古屋・東京のマーケットに対して、琵琶湖東北部の企業が必要とする営業活動に軸足をおいた産業支援の拠点として整備。
◆大学関連施設
若者(学生)が集まり、学術交流をはじめ多様な交流の促進を図る拠点として整備。
機能としてはサテライト・キャンパスやTLOなど。
◆市民参加・交流施設
市民参画による活発な活動を支援し、新しい市民文化を形成する拠点として整備。
◆ロードサイド型商業・アミューズメント施設
人が集まる賑わいを形成する空間環境とあわせて総合的、面的に整備。
◆道の駅
車利用者の立ち寄りの拠点として整備。
特産品等展示・販売など、地場産業を振興する機能を併設。
◆健康増進施設
温浴施設やフィットネスなど、米原市周辺地域からの集客を図り、商業施設等の事業環境を高めるサービスとして整備
3)市民の生活利便性を向上する機能(市民向けの生活サービス機能)
米原市に定住する市民や米原市で働く従業者をターゲットに、米原における生活利便性と快適性を高めるサービスを提供する商業機能やアミューズメント機能、居住機能の導入を目指す。
<導入機能候補(例)>
◆米原市の行政サービス相談窓口
各種証明書の発行などの行政サービス相談窓口にくわえ、行政情報を住民に対してわかりやすく発信するサービスを備える。
◆医療施設
市民ニーズの高い医療機能として整備。クリニック・モールなど。
◆スーパーマーケット
生鮮食料品に特化したスーパー。
◆集合住宅
既成市街地から転居を想定した市民向け分譲マンション。
◆賃貸住宅
米原の立地企業の従業員や学生をターゲットにした賃貸マンション。
◆広場・公園
子育て世帯や高齢者が、安心して、楽しく長時間過ごすことができる空間として整備。
大規模なイベントを開催できる屋外空間として整備。
3.
土地利用ゾーニング
都市機能の導入に当たって、米原駅周辺地域に以下の3つのゾーンを設定して整備を進める。
1)駅前エントランスゾーン(主に駅前空間を構成する機能を導入)
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米原市の玄関口としてふさわしい質の高い都市空間を形成するとともに、駅利用者が必要とする都市機能や、周辺企業の満足度を高め、さらなる企業誘致につながる都市機能を先行的に整備するゾーンである。特にマーケットニーズがあり、事業として実現可能な都市機能(ホテルなど)については、自由通路の供用とあわせて、官民のパートナーシップにより早期の整備を図り、米原市のシンボルエリアの目標像を示すことで、次のまちづくりのステップとなる新たな都市機能の誘導を図る。
2)生活サービスゾーン(主に市民の生活利便性を向上する機能を導入)
既成市街地に居住する市民や立地企業の通勤者の利便性を高める都市機能を誘導するゾーンとする。また生活利便性を向上する都市機能の整備とあわせて、集合住宅や滞在型施設の整備を誘導し、人口増により都市としての活性化を図る。
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駅前エントランスゾーンの整備とあわせて都市機能を誘導し、都市空間としての連続性を確保しながら、まちづくりを先導する。
3)広域集客・交流ゾーン(主に広域からの集客・交流を促進する機能を導入)
中長期的に琵琶湖東北部において必要となる都市機能の導入を目指す、県有地を中心としたゾーン。
短期的には、暫定的な土地利用も視野に入れ、多様な参加と交流の効果が期待できる都市機能の誘導を図り、具体的な仕掛けと結果を検証しつつ、適切な都市機能のあり方を見極める段階的整備によるまちづくりを想定している。
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注)アウトカム指標:整備により達成すべき目標の達成度合いを測定する指標。
図 3 土地利用ゾーニング図
4.
段階的整備の考え方
都市機能の円滑な導入を図るため、以下の点に留意する必要がある。
①
段階的整備によりまちづくりを確実に進捗させる
・
「官民協働のまちづくり」をまちづくりの基本方針として位置づけている。しかしながら、米原市の人口規模が3万人強で横ばい傾向にあるなど、米原駅東口のマーケットは大きいとは言えない。したがって、約4.0haの土地を一時期に利活用するリスクは大きく、このリスクを全て民間に委ねることは難しい。
・
そこで、実現可能性を見込める事業規模でまちづくりを進捗させ、「米原」の付加価値を徐々に高めることでマーケットの拡大を図りながら、民間事業者の進出意欲を引き出し、次の事業を取り組む段階的整備を行う。
②
開発先導エリアと自由通路の整備
・
実現可能性を見込める事業規模でまちづくりを進捗させるのが「開発先導エリア」である。開発先導エリアは、駅前広場に面し、かつ駅の橋上化とあわせて整備される自由通路と接続できる位置にあり、コンセプトを先行的に実現することで、「米原」の付加価値を創出・発信することが可能である。また米原市所有の土地であることから、民間の創意工夫を求めながら、米原市が主導権を持ちながら、まちづくりを進めることが可能である。
・
自由通路の整備は、米原市のまちづくりにおいて大きな節目であり、この時期に合わせて開発先導エリアで具体的な方向を示し、整備することは、「米原」を情報発信する観点から意義が大きい。
・
玄関口としてふさわしい駅前空間の整備を視野に入れながら、開発先導エリアの事業化を進めることがまちづくりの最初の一歩となる。
③
県有地と暫定利用
・
県有地は約2.2haと比較的規模が大きく、また中長期的に都市機能を導入すべきゾーンとして位置づけており、本格的な整備には相応の時間を要する。
・
しかしながら、「米原」では、新しい試みが毎年のように取り組まれている状況を作り出すことが、まちづくりのプロセスの観点からも重要であることから、未利用地の状態を放置する選択肢は得策といえない。そこで、短期的には暫定利用を視野に入れながら、必要に応じて民間誘導を図ることが考えられる。
5.
今後のまちづくりの進め方
今後のまちづくりの進め方に関して、今後、特に以下の点が課題として挙げられる。
・
開発先導エリアの範囲を決定し、プロポーザル事業コンペなど、米原市主導で民間誘導を図ることが可能な手法により、事業を進めることが課題となる。
・
あわせて、県有地の利活用の方向について、滋賀県と調整することが課題である。
2025年3月30日日曜日
コメンテーター,くじらの会第1回CA研究会,「住む人が生き生きする家づくり,まちづくり」,東京都しごとセンター,講師黒崎洋二,林泰義,2007年3月14日
コメンテーター,くじらの会第1回CA研究会,「住む人が生き生きする家づくり,まちづくり」,東京都しごとセンター,講師黒崎洋二,林泰義,2007年3月14日
・ 研究会の名称:くじらの会CA(コミュニティーアーキテクト)研究会
・ 第1回の研究会テーマ、タイトル
「まちづくりは、一人一人との対話から」-住民参加型の共同建替え事業の取り組み-
黒崎羊二氏(「まちづくり研究所」所長)+ 林泰義氏
・セミナーの内容
くじらの会ワークショップ「タウンアーキテクトの可能性」の第2弾。
地域に根ざしたアーキテクトがどのように住民参加型のまちづくりを実践していくのか。今回は、住民一人一人の対話から個別事情に対応した柔軟なまちづくりを行っている黒崎羊二氏を迎えます。林泰義氏をコメンテイターに、密集市街地での共同建替え事業の取り組み等の話を聞きながら、住民の内発的な力を引き出すまちづくりについて考えます。
・ 日時: 3月14日(水)18時30分~20時30分
・ 会場: 東京都しごとセンター第1セミナー室
(東京都千代田区飯田橋3丁目10番3号 TEL. 03-5211-1571 )
JR飯田橋駅下車徒歩7分
・ 参加料:
1000円(資料代含む)
・ 定員人数: 30名
・ 主催者: くじらの会事務局、住宅生産性研究会
・ 協賛: 建築ジャーナル
・ 申し込み、問い合せ先:くじらの会事務局 八巻まで
(ht_yamaki@ybb.ne.jp・03-5986-2312)
・申込み方法:メールで「くじらの会事務局」まで申し込み。
(氏名、連絡先電話番号、参加人数を記入)
制度の問題を越えた
都市の住まいのあり方
―まず、布野の先生からコメントをお願いします。
布野 容積率を減らす提案をされた時に、訴訟など起こされなかったのか?住民や地主、外からのディベロッパーの反応は?
黒崎 まず、建築協定をやろうとしたが、結局ダメだった。そこで地区計画ならと提案した。それから1件1件家庭訪問した結果、絶対やめてくれという人が1人いました。その人は「売る土地が値下がりするのは困るから」とはっきり言いました。懇談会で、他の住民が「出て行くのにそんなこと言うな、俺たちは残るんだぞ。」と説得してしまう。ただ、この表の道路側は、商店や企業が多い場所です。経営者が「私は賛成だが、後継者の土地利用の可能性を縛るとはいかがなものか」という意見があって、400%を残す検討を始めました。アンケートでは、「もっと抑えろ」と言う意見も多く、規制に反対する人は全然いなかった。ただ、南側に容積400%という面影を残してしまった。
布野 日本型の街区としてどういう形体がいいのか?
黒崎 コープ愛宕の敷地面積は950㎡です。狭すぎる。せめて2000㎡あれば。ここで3棟です。北側に1棟、他2棟。最低でも3面開放です。コープ愛宕の設計者の杉浦氏(注2)が、建物と建物との間のスリット、中庭、そういった細々した戸建住宅をどう近づけるか、あるいは戸建住宅から集合住宅へのよさをどう出すか、背割り道路が入るために、中庭の連続させる等、検討を繰り返した。ただそれが言葉だけで、デザインとしては残らなかった。デザインよりつくり直すことに夢中になってしまった。
林 都市型住宅のポイントの1つは、ヨーロッパあるいは大陸型のゼロ・ロットです。隣の敷地とぴったり接して建物を建てるということ。そのことで、内部に中庭として安定した空間が出来る。建物の高さは、環境を配慮し4階ぐらいで連続していく。そうすると、パリなどで多くあるような、道路に面する空間と自分の敷地の中でとったオープンスペースの空間が、光庭みたいになり、各部屋が安定した環境を保てる。そういうことをだいぶ議論していた。しかし、それを制度的に確立出来なかったし、戸建住宅というスタイルに偏執狂的になってしまった。
布野 都市計画法の用途地域によって、高さや容積が、段階的にはっきり変わり、街並みをガタガタに乱している。
林 お互いの関係の中で「誰が売るとか、どうなりそうだ」という情報を共有する状況をつくったことが重要で(注5)。ダウンゾーニングの使い方は、地域でネットワークを作っていく方法と、住民の理屈で、「このまちは、これ位にしようじゃないか」と決め、実現することです。
戸谷 今日の話は、基本的な都市計画の矛盾です。例えば既存のものとかけ離れた容積を設定する。また、住居地域では、シングルでもマルチファミリーでも同じ立地であったりする。更に、戦後戦災の影響で防災街区をつくり、最優先するという出発点が狂ってる。(注6)デザインのことですが、通りに立った場合、これがアワーストリートだと思えるデザインになると良かった。デザインディベロップする時のプロセスや、それぞれの段階で何を決めなくてはいけないということが、分らない。道路を作る場合、昔の徒歩の秩序を再現するために車を入れない、という新しいルールを作ればいい。
コミュニティーアーキテクトの役割
―倉澤さんが、住民参加のプロセスについて、聞いていますね。
倉澤 どのようにして住民をまとめていったのか?そのプロセスをお聞きしたいと思います。
黒崎 地域の180所帯の家庭訪問を3チームくらいで繰り返しました。次に、懇談会を開いて「こんな感じでやっていこうよ」という話をする。同時に共同化に賛成のグループを家庭訪問し、頻繁に住まいのやり取りする中で、彼らの本当に言いたいことがわかってくる。「これは住宅設計の作法じゃないか」と気がつきました。力のある住宅の設計者なら必ずできる。
倉澤 私も鎌倉でそういった試みを色々と相談されます。鎌倉の場合相続が多いのですが、その突破の仕方は、なかなか難しい。
黒崎 やはり専門家同士は共同するということがいま問われていると思います。NPO作るのは大変なので、既存の組織を使えないか、こういうくじらの会なんかもいいと思うし、建築家協会や建築士会(注7)など、沢山ある。それでもう一工夫、行政を引っ張り込む。地域の課題が解決する案であれば、バックアップとお金がつく。
岡 私権と公的な利益、個人の生活と周りの人との関係、そういった解けない問題をどうするのか?
黒崎 やはり1人1人の家庭の事情をくみ出すということ。何で共同するのか、隣の利益は自分の利益になるという実感が何処まで持てるかということ。そこで自分たちの現状改善が目標になります。住民は大きな開発メリットは要求していない。(注8)
岡 どのようにしたら、1人1人が対話の関係になるのか?
黒崎 一番困っているのがドアホン、出てこなければ、役所を引っ張り出すのがいい。役所の人にはちゃんと応対しますよ。それと、自分の問題をはっきりしよう、何をしたいのか、を先に立てれば、何回かやり取りするうちに解けます。こちらのやり方次第です。
―長谷部さんは、いくつか独自の提案をされていますが。
長谷部 私は住宅を設計しながら、勝手に用途地域図を書き換えてみました。「コラボレートック」(注9)と呼びますが、特別区で、行政にオール借地権を持ってもらって、新しい建築の姿を考えました。家族という単位と用途地域を疑うことを始めると、住宅も随分変わります。
布野修司 履歴 2025年1月1日
布野修司 20241101 履歴 住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14 1949 年 8 月 10 日 島根県出雲市知井宮生まれ 学歴 196...
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traverse11 2010 新建築学研究11 Ondor, Mal & Nisshiki Jutaku(Japanese Style House):Transformation of Korean Traditional House オンドルとマル,そして日式住宅...