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2021年11月21日日曜日

14 共用リビング用途様々,街路の雰囲気,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931215

 スペ-スspace16回 読売新聞家庭欄1992020519931229 151992020519920325 2111993~19931229

 14  共用リビング用途様々,街路の雰囲気スペ-スspace読売新聞家庭欄19931215

 

 各戸のヴェランダの植木の緑に赤瓦の深いひさしが映える。実に印象的だ。インドネシアの低所得者向けのモデルになりつつあるスラバヤの集合住宅である。

 集合住宅というけれどかなり変わっている。ひとことでいうと共用のスペースのウエイトが極めて大きいのである。各階には共用のリビングある。リビングというより廊下がゆったりつくってあり、様々な用途に使えるようになっているのである。

 中央にキッチンがまとめられている。各戸のスペースが決められた共同のキッチンである。また、バス・トイレも中央にまとめられている。水浴びの習慣が違うから理解しにくいかもしれないが、二戸でひとつのスペースを使用し、管理する。さらに、各階に礼拝室がある。ほとんどがイスラム教徒だからである。

 各戸の専有面積は狭いのであるが、共同生活のイメージが優先されているといえるであろう。共用のリビングは、一方で街路の雰囲気をもつ。二階でも、三階でも、作業スペースにもなるし、お店が出たりする。子供の遊び場にもなるのである。ちょっと日本ではイメージしにくいかもしれないのであるが、全体が街のような集合住宅である。

 どうしたこんな集合住宅が試みられるようになったのか。東南アジアでは他の国でもそうなのであるが、当初、日本の団地のようなヨーロッパ・スタイルの集合住宅が沢山建設された。しかし、なかなか定着しない。高くて特定の階層にしか手が出ないということもあるけれど、湿潤熱帯の気候や生活スタイルに合わないということが大きい。

 日本でもそうだったけれど、二階、三階に住むということだけでも抵抗がある。そこでできるだけ接地性のある形が求められた。また、職住近接も大きな必要条件である。ここには地域の状況に合わせた独自の模索がある。集合住宅とはいえ、住宅は本来ローカルなものだと思う。


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