スペ-スspace,16回 読売新聞家庭欄19920205~19931229 第1期5回19920205~19920325 第2期11回1993~19931229
敷地は長細く短冊状になっている。その敷地の端に水回り(バス・トイレ)のついたワンルームが建てられる。コアハウスという。このコアハウスに入居した居住者は、収入に応じて、資力に応じて住居を建設する。住居の核になるという意味でコアハウスである。
コアハウスは道路に面して連続して建設されている。一種の集合住宅、長屋である。バンコクのランシットというところで行われたプロジェクトである。
続けて増築すれば二室になる。中庭をとればコートハウスになる。坪庭をもった日本の町屋の形式である。八つの増築パターンが想定されていた。敷地一杯に増築してもいい。事実、二年後に訪ねてみると敷地一杯に建て増した例があった。
このコアハウスのプロジェクトは、タイのみならず世界中で行われてきた。その形は色々である。フィリピンでは、木造のスケルトン(骨組み)だけのコアハウスが試みられた。壁は居住者が打ちつけるのである。
インドネシアの場合、トラスライム・ブロックという火山灰と石灰でつくったブロックによるコアハウス・プロジェクトがある。田の字型をした敷地の真ん中に四軒分のコアハウスを建てる形もある。
何故、こんなアイディアが出されたかというと、普通の形の住宅だととても手に入れることができないという厳しい状況があるからである。居住者が建設に参加すればそれだけ価格を下げることができるし、それぞれの都合や要求にも合わせることができるというわけである。
確かに、苦肉の策である。発展途上国の場合、建設資材もそう自由ではない。しかし、住居が必要に応じて建設されていくこと自体はごく自然のことである。資金に応じてというのも当然のことである。家族と共に住居も成長するのである。
日本では、住居というのはできあいのものを買うものであって、建てるものではなくなりつつある。
第1期
01 高床式住居-床下でリサイクル,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920205
02 屋根-民族のアイデンティティ,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920304
03 土間-活用したい床の段差,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920311
04 物の住まい-人との“すみ分け”図る,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920318
05 コートハウス-都市文明とともに登場,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920325
第2期
06 三角の部屋-うらやましい普請道楽,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931013
07 ビルの谷間の町家-木造建築,消えゆく運命,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931020
08 山岳都市-欧州の町へのあこがれ,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931027
09 壁面劇場-自分の家だから自己表現,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931103
10 異文化との共生-ル-ル作りが日常的課題,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931110
11 生きている広場-部外者お断りで一体感,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931124
12 同潤会の教え-集合住宅の将来を考える教材,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931201
13 成長する家-居住者が増築に参加,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931208
14 共用リビング用途様々,街路の雰囲気,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931215
15 立体街区-各戸が自由設計の集合住宅,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931222
16 環境共生-,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931229
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