スペ-スspace,16回 読売新聞家庭欄19920205~19931229 第1期5回19920205~19920325 第2期11回1993~19931229
07 ビルの谷間の町家-木造建築,消えゆく運命,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931020
ビルの谷間に埋もれた町屋、こんな光景があちこちにある。京都でも、東京や大阪でも同じである。
この光景をみてどう思うか、見解は二つに分かれよう。ある人は、残された町屋をみっともないと思う。両隣のように後退して建て替えたら町並みはきれいになるのにと。また、ある人は思う。伝統的な町屋の町並みが失われて行くのは悲しい。町並みを壊したのは現代建築の方だと。
この二つの見解のどちらに組みするか、これは日本の町の行方に関わる大問題だ。しかし、それ以前の問題がある。伝統を重んじてきた京都でも木造の町屋は早晩消えざるを得ない運命にあるのだから。どういうことか。
いかに町屋を残したくても、税金のために土地を手放さざるを得なくなるということがある。地価に見合った有効利用が望ましいということがある。しかし、経済原理だけで町ができるわけではない。町屋を残したい、木の文化を保存したいと思う人は少なくないであろう。
問題は、残したくても、建て替えようとすると木造では許可されないという防火上の法的問題があるのである。両隣をビルで挟まれて他に延焼のおそれがない状況でも木造による建て替えは一般的には許されない。
町屋は町屋なりに、うだつを設けるとか、軒高を低くして厨子(中)二階にするとか、虫篭(むしこ)窓にして開口部を少なくするとか、漆喰壁を用いるとか、様々な防災的工夫をしてきたのである。何よりも、火の用心に気をつけてきた。今日だって様々な工夫で木造の町屋は建ち得る筈だ。
しかし、戦後バラックの時代に木造はとにかく駄目ということでやってきた。戦災や震災で痛い目にあってきた経験からである。
木造は駄目ということだから木の文化が廃れるのは当然だ。美しい木造の町屋が建ち並ぶ条件なくして日本の町の行方を占うのはフェアではないと思うのだが。
第1期
01 高床式住居-床下でリサイクル,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920205
02 屋根-民族のアイデンティティ,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920304
03 土間-活用したい床の段差,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920311
04 物の住まい-人との“すみ分け”図る,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920318
05 コートハウス-都市文明とともに登場,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920325
第2期
06 三角の部屋-うらやましい普請道楽,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931013
07 ビルの谷間の町家-木造建築,消えゆく運命,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931020
08 山岳都市-欧州の町へのあこがれ,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931027
09 壁面劇場-自分の家だから自己表現,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931103
10 異文化との共生-ル-ル作りが日常的課題,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19931110
11 生きている広場-部外者お断りで一体感,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931124
12 同潤会の教え-集合住宅の将来を考える教材,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931201
13 成長する家-居住者が増築に参加,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931208
14 共用リビング用途様々,街路の雰囲気,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931215
15 立体街区-各戸が自由設計の集合住宅,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931222
16 環境共生-,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931229
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