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2021年11月13日土曜日

05 コートハウス-都市文明とともに登場,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,読売新聞社,19920325

 スペ-スspace16回 読売新聞家庭欄1992020519931229 151992020519920325 2111993~19931229

 

05  コートハウス-都市文明とともに登場スペ-スspace読売新聞家庭欄読売新聞社19920325

 

 コートハウスというのはコート(コートヤード)をもつ住居である。コートとは何か。本来、四周を建物で囲まれ閉じた外部空間をいう。コートハウスは、メソポタミア、エジプト、インダス、中国の四大文明のいずれにも見ることができる。都市文明の登場と同時にコートハウスは出現した。またその形式は世界中いたるところでみることができる。その事実は、少なくとも近代以前の世界において、コートハウスが都市住居の一般的な形式であったことを示していよう。

 コートは、光や風など自然を保証する。そこは部屋を繋ぐ通路でもあり、作業場でもあり、居間でもある、多様な場所であった。高密度に集まって住もうとする場合、コートを配することはひとつの解答であった。

 コートの名称は、もちろん、国によって異なる。コートハウスの伝統の薄いわが国では、中庭、壷庭、坪庭、壷などと呼ばれるのがそれに当たる。中国では、院子(インツ)あるいは天井(テンチン)だ。フランス語ではクール、スペインではパティオ、ドイツではアトリウムである。アトリウムというのは、古代ローマに遡る言葉である。ギリシャではペリスタイルが支配的であった。

 現代の日本ではコートハウスという形式は極めて少ない。敷地に余裕がないのである。しかし、本来、コートハウスというのは一戸建てではなく集合形式にふさわしいものであった筈だ。日本に限らず、いま求められているのは立体的コートハウスとでもいうべき新たな形式ではないか。

 コートハウスは、もともとは平屋か二階建てなのだけれど、現代都市においては、中高層の集合住宅がどうしても必要である。中高層になるとコートの形はどうなるか。中高層の集合住宅でも、多様な機能をもった中庭を立体的につくれないか。これは世界共通のテーマだと思う。


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