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2021年11月19日金曜日

12 同潤会の教え-集合住宅の将来を考える教材,スペ-スspace,読売新聞家庭欄,19931201

 スペ-スspace16回 読売新聞家庭欄1992020519931229 151992020519920325 2111993~19931229

 12  同潤会の教え-集合住宅の将来を考える教材スペ-スspace読売新聞家庭欄19931201

 先頃、百人余りの建築家たちに日本の集合住宅についてアンケートする機会があった。いささか驚いた。ベスト第二位になんと同潤会アパートが上げられたのである。同潤会アパートと言えば、関東大震災後に建てられた日本の集合住宅の本格的先駆けだ。日本の集合住宅は七〇年の間ほとんど進歩しなかったのか。

 写真は、代官山(東京)アパートである。既に建て替えられたものもあるが今猶いくつか残っている。窓がアルミサッシに変えられたり、出窓が増築されたり、住みこなされてきた歴史が壁の表情に刻まれている。

 同潤会には豊かな表情がある。建築的には評価が高い。社交室や共同食堂などの共用施設が設けられており、単身者も含めた様々な世帯が共に住むのが前提である。同潤会には共同生活のイメージがより強くある。確かに歴史を生き抜いてきただけの魅力がある。

 しかし、住戸面積は極めて狭い。また、浴室はもともとついていない。住み続けるためには様々な障害があった。同潤会の歴史は日本の集合住宅の将来を考える生きた教材である。

 部屋を広げるために増改築がなされた。ヴェランダにユニットバスが置かれたり、一部屋を浴室に改造したりこともなされた。二戸を一戸にしたり、二戸を借りたりする事例もある。全体としても、大規模な修繕を行わねばならなかった。そして、最終的に建て替えられた例もある。集合住宅に居住していく上でわれわれが経験している、またこれから経験するであろうことを同潤会アパートは既に経験してきたのである。

 集合住宅に一生住み続けようという場合、ライフステージに応じて増改築したり、改造したりできないことが大きなネックになる。家族数の変化に応じて変化するそんな集合住宅は考えられないものか。勉強部屋やピアノ室、書斎などを共用にして必要な一定の年数借りるそんなアイディアもある。


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