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2023年10月15日日曜日

2023年6月30日金曜日

公開コンペになぜ応募がない,日刊建設工業新聞,19970221

 公開コンペになぜ応募がない,日刊建設工業新聞,19970221

公開コンペに何故応募がない 9701

布野修司


 ある県の公共建築の公開コンペ(設計競技)の審査委員を引き受けて、不思議な思いをした。あるいは、不思議でも何でもないかもしれない。もし不思議でないのなら、誰か解説して欲しい。

 このコンペは二段階で、まだ、一段階目を終えたところだ。一段階目は、条件付き公開コンペで五社を指名する。二段階目は、五社が競う。二段階ともプロポーザル方式である。一段階目は参加表明書、二段階目は技術提案書の審査で、それぞれ実績、組織形態等の他、一段階目はA4二枚、二段階目はA3三枚の範囲内で提案内容を示すことが求めらる。

 プロポーザル方式については多くの議論が残されているように思う。人を選ぶというのであるが、実績に差がないとすれば選びようがないではないか、と基本的に思う。具体的な土地の具体的なプログラムについての提案がなければ、その建築に最も相応しい建築家は選びようが無いというのが意見である。それに、プロポーザル方式ということで、報酬が少ないことも問題だと思う。設計入札に替わって、プロポーザル方式のコンペが広まるのはいいけれど、実施に当たっては工夫が必要である。行政手間や設計手間の簡素化といった観点からのみの発想でなく、すぐれた公共建築をつくりあげるための多様な手法が選択さるべきだ。プロポーザル方式については、いつか具体例に即して問題にしたいと思うけれど、今回はそれ以前の問題である。

 参加資格は、一級建築士が三人以上、五〇〇〇平米メートル以上の実績である。指名願いは提出していなくても、同等の事項を参加表明書に記載してもらうことで選定後指名願いを出してもらうという条件である。従って、オープンである。といっても、一級建築士の数と実績の条件があるから条件付きである。

 参加表明書を提出したのは二九社であった。多いのか少ないのか分からない。不思議に思ったのは、いわゆる組織事務所の参加がほとんどなかったことである。大手設計事務所となると二九社中二社のみだったのである。

 いったいどういうことか。

 要項には、地域との関係を重視することが唄われていた。当該地域での実績、地元設計事務所とのJV(ジョイント・ヴェンチャー)の可能性などについての記載項目が設けられていたことが大きな制約になったのであろうか。しかし、そうとも思えない。地域の気候風土への理解と実績を重視するのは極自然である。また、地元設計事務所への配慮もある意味では当然だと思う。公開コンペということで、すぐれた県外設計事務所の能力を借りるにしても、地域の建築家が切磋琢磨する経験の機会は与えられるべきだからである。応募したのは、いわゆるアトリエ派事務所と地元事務所とのJVの形が目立った。これからのひとつの方向かもしれない。

 しかし、それにしても実績十分の大手組織事務所が公開コンペに応募しないとはおかしな話である。例によって、単年度予算の枠のせいで、周知期間が短かったことは事実である。それが二九社と公開コンペにしては応募数が少なかった理由かもしれない。しかし、知らなかったから応募しなかったということは考えられないことだ。忙しすぎて人員を割けないというのであろうか。建設業界がそんなに景気がいいとは聞こえてこない。

 もしかすると審査員の構成が影響するのであろうか。審査委員の顔ぶれによって求められる提案と当選可能性を読むというのは当然のことである。しかし、組織事務所が敬遠する審査委員会の構成とは一体なんだろう、と他人事ではない。建築界に奇妙な棲み分けがあるのだろうか。



2022年12月28日水曜日

エスキス・ヒヤリングコンペ公開審査方式,雑木林の世界36,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199208

 エスキス・ヒヤリングコンペ公開審査方式,雑木林の世界36,住宅と木材,(財)日本住宅・木材技術センター,199208

雑木林の世界36

エスキス・ヒヤリングコンペ・公開審査方式

加茂町文化ホール(仮称)

 

                         布野修司

 

 七月に入って、飛騨高山木匠塾の第二回インター・ユニヴァーシティ・サマースクールが近づいてくる。準備は例によって、藤澤好一先生にお任せなのであるが、今年も賑やかになりそうである。京都大学からは十人が参加、これだけでも昨年の規模を超えるが、一人、二人と問い合わせがあるから、反響もまずまずである。足場組立実習、屋台模型(1/5)製作が楽しみである。

 しかし、それにしても六月は忙しかった。手帳を見直すといささかうんざりする。

 六月一日 中高層ハウジングコンペ、ヒヤリング(長谷工コーポレーション) 東京

 六月三日 日本建築学会近畿支部発表会 大阪

 六月四日 アジア都市建築研究会題 京都

 六月五日~六日 松江市景観シンポジウム「まちの景観を考える」基調講演 松江

 六月一二日 中高層ハウジングコンペ、ヒヤリング(旭化成工業他) 東京

 六月一三日~一四日 NHK教育テレビ特集「C.アレグザンダーの挑戦」収録 東京

 六月一五日~一六日 加茂町文化ホール(仮称)設計者選定委員会。 加茂町(島根県)

 六月一八日 二一世紀日本の国土を考える研究会(建設省官房政策室) 東京

 六月二〇日 東南アジア学研究フォーラム 京都

 六月二三日 特別講義「東南アジアの木造デザイン」(神戸芸術工科大学) 神戸

 六月二五日 アジア都市建築研究会「インドネシアの伝統的民家」(佐藤浩司) 京都

 六月二六日 シンポジウム「バブルが創る都市文化」(中筋修 隈研吾他)コーディネーター 大阪

 六月三〇日 松江市景観対策懇談会 松江

 一体何をやってるんだと叱られそうである。もう少し腰を落ちつけてと思うのであるが、何か得体の知れない流れに流されているというのが実感である。まあ、走りながら考えるしかない。秋にはまた東南アジアのフィールドへ出かけてこの間を振り返る時間をとろうと思う。

 

 さて、加茂町の文化ホールである。

 出雲建築フォーラム(IAF)については、これまで何度か触れた(雑木林の世界09「出雲建築フォーラム」一九九〇年五月、雑木林の世界28「第一回出雲建築展・シンポジウム」一九九一年一二月)。京都には、京都建築フォーラム(KAF)が既にあるし、今年は沖縄建築フォーラム(OAF)とか、東北建築フォーラム(TAF)とかが発足するという。各地域で面白い試みが展開されていく期待があるのであるが、出雲は想像以上の展開である。

 岩國哲人(出雲市長)効果であろうか、出雲では、次々に若い首長が誕生しつつある。加茂町の速水雄一町長もその一人だ。四〇台半ばである。「遊学の里・加茂」をキャッチフレーズに果敢にまちづくりに取り組み始めたところである。

 その一環として、文化ホールの建設を核として新しい何か試みができないか、という相談を受けたのは五月頃のことであった。きっかけは出雲建築フォーラムである。首長が文化施設を施策の目玉にする、というのはどこでもあるパターンである。だから、それだけでなく、その運営も含めて、また、建設のプロセスも含めて、ひとつのイヴェントとしてまちづくりにつなげられないか、というような意欲的な話だった。

 同じく相談を受けた錦織亮雄(JIA中国支部副支部長)、和田喜宥(米子高専)の両先生と相談してやることになったのが、エスキス・ヒヤリングコンペの公開審査方式である。

 いま、建築界では、コンペ(設計競技)のあり方をめぐって、様々なガイドラインが設けられようとしている。日本建築学会や新日本建築家協会(JIA)、建設省で独自の指針がつくられつつあるのである。そうした中で、例えば、林昌二(日建設計)による「採点方式」の提案もある。環境への配慮、使いやすさ、安全への配慮、魅力の度合い、維持費と寿命といったクライテリアで各審査員が採点し、総合点で決めようというのである。若い審査員が他の委員の顔色をうかがわずに採点できるメリットがあるという。

 私見によれば、何をクライテリアにするか、果たして点数化できるか、単に足し算でいいのか、等々、採点方式にはかなりの疑問がある。建築はなによりも総合性が一番だと思うからである。問題は公開性である。公開性の原則さえ維持されれば、異議申し立ても可能になる。審査員も厳しくチェックされる筈である。今回の加茂町文化ホールでは、とにかく審査のプロセスを公開してしまおう、せっかくすぐれた建築家にアイデアを出してもらうのだから、町の人にもどんな文化ホールが欲しいのか一緒に考えてもらおう、というのが素朴な主旨である。うまくいくかどうか、これからの問題である。審査員も大変な能力が要求されるが、とにかくやってみようということになった。当事者ながら、興味深々である。

 エスキス・ヒヤリングというのは、建築家にできるだけ負担をかけないように、最小限のプレゼンテーションのみでいい、という方式であるが、実際は、模型やビデオを用いたプレゼンテーション競争になりがちである。建築家の熱意はそうしたプレゼンテーションに自ずと現れるものであるが、プロの審査員としては当然、実現する建築そのものをきちっと評価できる目が必要である。一方、裏の事情としては、小さな自治体としては指名料をそんなに用意できないという事情がある。今回は、A1版の図面2枚程度で八〇万円という設定になったのであるが、どうであろう。

 加茂町といっても知る人は少ないのだが、宍道湖に面した宍道町に接し、奥出雲の入り口に位置する。その名が暗示するように、京都の上加茂神社の荘園があったところであり、宇治、嵯峨といった京都を見立てた地名がある。それに町内の神原神社から、全国二番目に景初三年銘三角縁神獣鏡が出た土地柄である。すぐ裏は、銅剣が一挙にこれまでに出土した数を超える三百数十本出土して考古学会を驚かせた例の荒神谷である。

 とにかく、出雲と京都に縁のある、出雲建築フォーラムのメンバーおよび第一回出雲建築展への出展者から選んだらどうかというのが僕の意見であった。結果として、指名建築家と決定したのは、亀谷清、高松伸、古屋誠章、山崎泰孝、山本理顕、渡辺豊和の六人である。みな快く引き受けて頂いた。公開ヒヤリングは、十月初旬である。




 


2022年10月15日土曜日

第69回 日本大学全国高等学校建築設計提案、最終審査、20221012

 第69回 日本大学全国高等学校建築設計提案 20221015  

 日本大学全国高等学校・建築設計競技審査委員会  審査員長 布野修司


テーマ

集まって住むかたち Covid-19以後

 


課題主旨

Covid-19は、私たちの住まい、街、都市、国土そして世界のあり方について、実に大きな課題を突きつけているように思われます。ウイルスは、われわれホモ・サピエンスの100万倍のスピードで進化すると言います。疾病の世界史を振りかえっても、われわれとウイルスとの遺伝子レヴェルの戦いと共存は繰り返されていくと考えられます。

Covid-19以後、身近な居住環境はどう変わっていくのでしょうか。第1に、在宅、オンラインによるコミュニケーションのウエイトは確実に大きくなっています。新たに体を動かしたり、リラックスする空間が必要になるかもしれません。第2に、家庭内感染に対して、住居内の分離と結合を見直す必要があります。第3に、単身者、障害者、エッセンシャルワーカーなど、家族を超えて近隣、地域社会のサポートも必要になるでしょう。・・・・

日本の限られた現実的条件を前提として、Covid-19以後の新しい「集まって住む形」を求めたいと思います。

 ■視点      

家族のあり方は多様化し、流動化しつつあります。核家族を想定したnLDK住宅は、その多様化の流れに対応していません。最新の国勢調査(2015年)によれば、夫婦のみが1072万世帯(20.1%)、単独世帯が1842万世帯(34.5%)にのぼります。夫婦と子供という本来の核家族は1429万世帯(26.8%)にすぎません、片親と子供世帯が475万世帯(8.9%)あります。一方で1000万戸もの空き家が出現しています。Covid-19を契機としなくても、新たに集まって住むかたちが必要とされる切実な背景があります。多世代が、多様な家族が集まって住む、そういう集住モデルを期待したいと思います。













2022年7月12日火曜日

岡山・都市・空間ー21世紀の都市づくりに向けての空間活用提案-、岡山建築士、199601

岡山・都市・空間ー21世紀の都市づくりに向けての空間活用提案-、岡山建築士、199601

シンポジウム:地方の時代と建築文化,岡山のまちづくりフォーラム実行委員会, 建築技術普及センター,建築文化・景観問題研究会,岡山,19951110 







2022年4月5日火曜日

公開ヒヤリング方式の定着へ,ギャラリー間,コンペ・アンド・コンテストNO49,199611

公開ヒヤリング方式の定着へ,ギャラリー間,コンペ・アンド・コンテストNO49199611 

公開ヒヤリング方式の定着へ

 布野修司

 

 「鹿島町立体育館公開コンペ」「建築専門委員 結果に不満」「町側委員に押し切られた」「運営方法に問題 在り方に疑問の声」という見出しが山陰中央新報の一面を飾った(1996年8月9日)。リード文には、「決定した島根県鹿島町の町立総合体育館の設計案をめぐって、審査した建築専門委員がそろって「町側委員に押し切られた」とし、審査結果に不満を評している。決定案は町側委員が強く支持、建築専門委員は「管理しやすい以外、何の評価もない。他案とのレベルの差は歴然」と主張したが、聞き入れられなかった。」

 建築専門委員のひとりが筆者である。審査委員長を務めた。恥ずかしい限りである。審査については、報告書に述べる通りである(興味を持たれる向きは鹿島町に問い合わせられたい)。審査委員長として報告書以外に言うべきことはない。

 ただ、冒頭のような記事が載ることになったのは、報告書の以下のような付記が公開されなかったからである(現在では公開されている)。

 「付記(審査委員長の個人的見解):審査内容、経過についての報告は上記する通りである。審査が慎重かつ公正に行われたことはいうまでもない。しかし、審査結果は、委員長個人の評価判断とは異なったものとなった。審査結果と個人的評価の違いを説明することは、設計競技への参加者、公開ヒヤリングへの参加者、また町民への委員長としての責務と考えて以下に付記する次第である。

 選定された案は、コンパクトにまとめられていること、従って管理がしやすいこと、また、メンテナンスにかかる費用等が他案に比べてかからない(と思われる)こと等、専ら、管理者側の評価を重視して選定されたものであって、他の点についてはとりたてて見るべきものがない。他案にはるかにすぐれた提案が多かったことは、審査評に示す通りである。最終的には、「夢を取る」か「無難な案」を取るかが争点となったが、長時間の議論の末、町側委員、町長以下事務当局の意向および能力として、選定案以外を受け入れることができない、と判断して多数決に従うことにしたのが経緯である。

 選定案は、以下のような欠点がある。実施に当たっては、可能な限り良い施設となるよう、選定された設計者は、当局、町民と協力し合って努力されたい。・・・(以下、箇条書きの要望事項)・・・以上を検討する中で再度慎重な検討をされたい。」

 実に恥ずかしい話である。こう書かざるを得ない案を選ぶ羽目に陥ったのである。そもそも審査委員構成が問題であった。助役、教育長、議長と専門委員2人の構成である。町側委員に建築関係者を入れるように要請したのであるが、「小さな町で建築の専門家はいない、県庁OBの技術者を嘱託として(投票権無し)事務局につけるから」ということであった。町はじめてのコンペであり、しかも公開ヒヤリングをやることを了解してもらっており、とにかくコンペを行うことの意義を優先した判断であった。結果として墓穴を掘った。自らの非力を感じるばかりである。建築専門家としての判断に徹底して執着すべきだという気も全くないわけではなかったが、多数決には従わざるを得なかったのが経緯である。

 つくづく感じたのは、建築の世界が全く一般に理解されていないということである。教育長にしろ、助役にしろ、議長にしろ、町の中ではすぐれた見識の持ち主である。そうした見識者に、建築のもつ全体として意義がなかなか通じないのである。素朴機能主義的な評価、デザインより機能といった二元論的理解を抜けれないのである。

 もっと問題なのは、行政当局、事務局の管理者的態度、小官僚的発想である。自分たちの仕事が煩雑でないことのみがチェックリストにあげられる。

 さらに痛切に感じたのは、「建築」アレルギーである。スター建築家が、メンテナンスを考えずに「やり逃げ」する。苦労するのは自治体で、「建築家」は責任をとらない。「見てくれだけの建築は要注意!」というのが、常識になっているのである。

  「何のための公開ヒヤリングか」(山陰中央新報 9月5日)脇田祥尚島根女子短大講師がフォローしてくれている。公開ヒヤリングの意義がまさに問われていると、さらなる議論の必要性を訴えている、のである。「島根方式」と呼ばれ出そうとしている公開ヒヤリング方式は、これまで比較的うまく行った例が多かった。今回はそれ以前に問題があった。しかし、それでも建築の世界を外へ開くきっかけにはなったと思う。公開ヒヤリング方式の定着を願うばかりである。

                





2022年3月23日水曜日

2008年度日本建築学会技術部門設計競技 「公共建築の再構成と更新のための計画技術」応募要領

 

2008年度日本建築学会技術部門設計競技

公共建築の再構成と更新のための計画技術 

主催 日本建築学会建築計画委員会

 

21世紀をむかえ、3000以上あった日本の地方自治体の数は、1千数百に再編された。自治体の合併にあたって、各自治体は既存公共建築の統廃合を検討推進している。今後、新築される公共建築は半減することが予想され、また財政上の理由からも、既存公共建築機能の有効な再配置、再構成、更新が求められている。その際、魅力ある建築再生のためには、1)計画技術(住宅系、施設系、基礎系)および2)構法計画技術のコンビネーションが必要不可欠である。

国、地方自治体、公共事業体などが保有する既存の公共建築をとありあげて、上記1)、2)のコンビネーションによる、市民と自治体から支持される持続可能で魅力的な改築の計画技術提案を募るものである。

 

応募要領

 

1|公共建築の再構成と更新のための計画技術

 

2|応募資格

本会個人会員(準会員を含む)、または会員のみで構成するグループとする。なお、同一の個人または代表名で複数の応募をすることはできない。

3|条件

1―公共建築の再構成と更新の設計計画方針と実施過程が具体的に表現されていること。

2―応募者が自由に条件を設定してよい。例えば次のような提案が考えられる。

a)市町村合併に伴って、既存の庁舎をどう再構成、再利用するか。

b)少子化に伴って統廃合される教育施設をどう再構成、再利用するか。

c)建築計画・プログラムと実態との不整合により、うまく機能していない施設をどう再利用するか

d)点在する公共施設を防災ネットワークのサテライトとしてどう再構成するか

e)公共建築として建設された駅舎、郵便局、電話局舎などを、新たな機能を導入してどう活用するか。

3―対象とする建築物は実在のものとする。以下についての革新性、独創性、魅力度などを評価軸とする。

a)地方自治体と市民へのリアリティ b) 計画技術c) 構法技術

 

4|審査員(敬称略、五十音順)

委員長  南 一誠(芝浦工業大学)

幹事   布野修司(滋賀県立大学、建築計画委員会委員長)

宇野 求(東京理科大学、建築計画委員会幹事)

委員  岡垣 晃(日建設計総合研究所)

金田充宏(東京芸大)

加茂紀和子(みかんぐみ)

杉本俊多(広島大学)

宿谷昌則(武蔵工大)

竹下輝和(九州大学)

長澤 悟(東洋大学)

深尾精一(首都大学)

六鹿正治(日本設計社長)

専門委員(第一次審査)

大原一興(横浜国大)/小野田泰明(東北大学)/菊地成朋(九州大学)/清水裕之(名古屋大学)/広田直之(日本大学)/藤井晴行(東京工業大学)/野城智也(東京大学)

 

5|提出物(使用する言語は、日本語または英語とする)

1―応募申込書

下記内容をA41枚に明記すること。書式は自由。

①提案名(提案内容を的確に表す簡潔なタイトル)

②代表者および共同制作者全員の氏名・ふりがな・会員番号・所属

③上記中の事務連絡担当者の氏名・ふりがな・会員番号・所属・電話番号・E-mailアドレス

2―計画提案

A11枚に以下の内容をおさめる。用紙は縦使いとし、パネル化しないこと。

①提案名(提案内容を的確に表す簡潔なタイトル)

②対象とする地域と建築物の概要(地域計画図、建築図など)

③公共建築の再構成と更新の意図と概要(計画方針とその評価、環境、省エネルギー、機能性、経済性、施工性への配慮)

④再構成・更新後の主要建築物のデザイン(再構成・更新過程図、設計図など)

⑤上記図面のPDFファイル

◎注意:提出図面には、氏名・所属など応募者が特定できる情報を記載しないこと。

 

6|提出期限2008620日(金)

(当日の受付締切は17時。郵送の場合は当日消印有効。ただし宅配便は不可)

 

7|審査会

審査は二段階で行う。

1―一次審査会(公開)20087月上旬の予定

入選作品を選定する。

2―二次審査会(公開)20089月の日本建築学会大会

候補者による10分程度のプレゼンテーションを実施し、その後各賞を決定する。

◎詳細は後日、本会ホームページに掲載する。

 

8|表彰

最優秀賞―1点:賞状および副賞50万円

優秀賞―2点以内:賞状および副賞15万円

佳作―若干:賞状および副賞5万円

ただし、審査結果において該当作品なしとする場合がある。

 

9|審査結果の公表等

入選作品は20089月の日本建築学会大会で表彰する。入選作品は講評とともに日本建築学会大会および建築会館で展示し、審査経過とともに『建築雑誌』および本会ホームページに掲載する予定である。

 

10|その他

1―応募図面および関係書類は返却しない。

2―応募作品の著作権・特許権は応募者に帰属するが『建築雑誌』・本会ホームページへの掲載や日本建築学会編の出版物に用いる場合は、無償でその使用を認めることとする。

3―課題に関する質問は受け付けない。

11|提出先

(社)日本建築学会事務局「技術部門設計競技」係

108-8414 東京都港区芝5-26-20

TEL03-3456-2057FAX03-3456-2058E-mail: imai@aij.or.jp


2021年12月9日木曜日

室内室外 01公開してはどうかコンペの審査記録,面白いのは決定までのプロセス,室内,工作社,198901

 室内室外

01公開してはどうかコンペの審査記録,面白いのは決定までのプロセス,室内,工作社,198901

 




02語りのこされた場所「皇居」,昭和が終って浮かんできたもの,室内,工作社,198903

03国際買いだしゼミナ-ル,建築見学どこへやら,室内,工作社,198905

04博覧会というよりいっそ縁日,建築が主役だったのは今は昔,室内,工作社,198907

05山を見あげて木をおもう,どうして割箸なんか持ちだすの?,室内,工作社,198909

06住みにくいのはやむを得ない,そもそも異邦人のための家ではない,室内,工作社,198911

07建築の伝統論議はなぜおきない,日本の建築界にもチャ-ルズがほしい,室内,工作社,199001

08職人不足はだれのせい,室内,工作社,199003

09こんなコンペなら無い方がまし,室内,工作社,199005

10宅地は高いほうがいい,室内,工作社,199007

11秋田杉の町能代を見る,室内,工作社,199009

12再び能代の町に行ってみて,室内,工作社,199011

2021年5月2日日曜日

公共建築は実験しなければ意味がない 『建築雑誌』2018年2月号

 『建築雑誌』20182月号

話者:布野修司 聞き手:藤村龍至 石榑督和 中島弘貴

録音時間:5757秒 実質55分 収録日:2017124日 会場:建築会館



公共建築は実験しなければ意味がない

 

Q1 これまで関わってきた設計者選定について

 

布野 随分やりました。京都大学に着任した当初、続けて頼まれたのは出身の島根の市町村です。島根で二段階の公開ヒアリング方式で、「島根方式」と呼ばれるようになりますが、当時で、二次審査では参加量を各チームに100万円払いましたよ。下手なシンポジウムより面白いし、行政手間も少ないと、すぐ採用されましたよ。最初の事例は1993年の《加茂町文化ホール「ラメール」》です(設計:渡辺豊和、竣工:1994)。2005年に滋賀県立大学へ移って、最近は守山市や滋賀県で同じ方式で4つやりましたよ。

 

Q2 専門家としてどのように関わるべきか

 

布野 東大の鈴木成文研出身で、全国市長会の会長を務めていた森民夫・元長岡市長によれば、市町村レベルの行政には企画力がないと言いますA。したがって、専門家は、自分のいる場所や大学がある地域のいろんな委員会などに参加しているわけですから、公共建築の発注者である自治体とよい関係をつくり、相談があれば専門家の知見から計画全体を把握し、チェックしながら、要求水準書をつくる「コミュニティ・アーキテクト」であるべきだと思います。また、専門家による選定委員会は少なくとも竣工までは解散しない、建設委員会として存続することが大切です。例えば建設費の高騰による入札不調の時などに、選定者側も設計の内容についてフォローすべきなんです。

 

Q3 現在の設計者選定に関わる仕組みが抱える課題について

 

布野 選定委員会は基本的には発注者である行政が委員長を決めますが、委員の選定に口を出したことはありません。意見を求められた場合には、過半は建築の技術的なことがわかる人が良いと言ってきました。半数は建築のことがちゃんとわかって、的確な質問ができる建築の専門家で構成するのがよいと思います。

「島根方式」をやり出した頃、宮脇檀さんが一般市民による住民投票をはじめましたが、それには専門家としてずっと反対してきました。例えば敷地に利害関係があった場合、多数決では関係者の組織票や政治力によって決まってしまいます。やはり専門家が中立的な立場で決定すべきだと思います。判断材料はすべて公開し、議論の経緯や結果、評価を説明すべきです。審査委員も質問等でみずからの考えをオープンに示す必要があります。

 現在のプロポーザル方式は問題だと思います。手間を減らしたことはよいかもしれませんが、実績や一級建築士の人数だけでは決められるはずがありません。特定の敷地に対する提案を含めて審査すべきだと思っています。

 

●専門家である審査員は、新しい価値創出とそのリスクヘッジとの葛藤をどう考えればよいのでしょうか。――中島

 

布野 そもそも公共建築で標準解をつくるのであれば、わざわざコンペをやる必要がありません。例えば学校建築はこの先ずっと今のままの形式でよいのでしょうか。形骸化を防ぐためには、見たことのない形や、誰も経験したことがない技術を用いた実験が必要です。新しい建築の建設技術や計画方法についての経験を蓄積し、誰もが利用できるように可能性を開くのは公共建築の役割です。

 

●実験性を問題視して外部から攻撃する向きもあり、防衛策として客観評価の演出で武装するというケースも多そうですね。――藤村

 

布野 それは評価項目とそのバランスという、フレームそのものの問題です。センター試験のように統計が積み重ねられていれば信頼できますが、評価項目のほとんどが事務局である自治体職員が他の事例を参考にして何となく設定しているだけで、本気で考えられていません。

やはり公開審査で、応募者は隣にライバルがいるから勝手なことは言えないですし、審査委員側も能力を問われるという緊張感のある仕組みをつくっていく方がいい。そのためにも専門家にはまず自分が住んでいるところと大学のあるところで「コミュニティ・アーキテクト」になってもらいたいと思っています。

 

A 「発注者」の責任―プロジェクト運営の多様化と設計の質(『建築討論web014号、2017年) http://touron.aij.or.jp/2017/11/4504