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2024年11月21日木曜日

地域計画、都市地域論 レポート課題 試験問題(大学院含)、問題集、京都大学、1993、1994、1996、1997

  地域計画 1993年度 SCHEDULE       水曜日8:4510:15  建3

布野修司

 

0.オリエンテーション                  4月14日

                        ●レポート課題I出題

Ⅰ.「地域生活空間計画」                                  4月21日 

Ⅱ.地域計画の現在・・・・現代都市の諸問題                4月28日 

Ⅲ.発展途上国と地域計画・・・地球環境時代の地域計画      5月 6日 

Ⅳ.近代都市計画の起源・・・実現されたユートピア          5月12日 

Ⅴ.近代建築家と地域計画                                  5月19日 

Ⅵ.近代日本の地域計画・・・未完の東京計画                5月26日

                                                ●レポート課題I提出                                                                      ●レポート課題Ⅱ出題 

Ⅶ.理想都市計画の系譜                          6月02日 

Ⅷ.都城論                               6月09日 

  ヒンドゥー都市論                           6月16日 

  イスラーム都市論                          6月23日 

ⅩⅠ植民都市論                               6月30日 

ⅩⅡヴァナキュラー建築論・・・住居集落の構成原理          7月07日 

ⅩⅢ地域計画の方法・・・C.アレグザンダー論他            7月14日

                                                ●レポート課題Ⅱ提出

                 ●レポート課題Ⅲ出題

                                                         9月30日

                                                ●レポート課題Ⅲ提出

 

  古代文明の都市  産業構造発展図式 都市の成立 建築の誕生

 古代都市 1   古代文明の都市と古代都市 帝国・帝都の形成

 古代都市 2   Persia Greece-Rome India

          中国・日本

 中世都市 1   西洋中世都市

 中世都市 2    インド・中国・日本・中世都市

 近世都市 1   西洋ルネッサンス・バロックの都市

 近世都市 2    日本・近世都市

 近代都市 1   実現されたユートピア  

 近代都市 2   近代都市計画の理念と現実  

 近代都市 3   近代日本の都市計画        

  近代都市 4   植民都市計画:アジアと日本

 近代都市 5      近代建築家と都市計画      

 現代都市 6   現代都市の諸問題          

 現代都市 7   発展途上国の都市  

 

1994年度「地域計画」レポート課題Ⅰ             布野修司 

 都市のプロブレマティーク

 ・・・以下に挙げる諸外国の都市の中からひとつの都市を選定せよ。その都市について、歴史的形成過程を明らかにし、その地域特性を論ぜよ。また、その計画的課題について論ぜよ。

 A.北京 B.イスタンブル C.トンブクトゥ D.バルセロナ E.上海

 F.ベルリン G.パリ H.モスクワ I.ローマ J.バクダッド

 K.バンコク L.ジャカルタ M.ニューデリー N.シンガポール 

 O.ロンドン P.テヘラン Q.ボストン R.マニラ S.エルサレム

 T.チュニス U.プラハ V.メッカ W.ウイーン  X.ヴェネツィア

 Y.ニューヨーク Z.ホーチミン AA.ブタペスト BB.アテネ

 CC.リオデジャネイロ DD.バルセロナ EE.ソウル FF.ボンベイ

 GG.ブラジリア HH.メキシコ・シティ II.シカゴ JJ.カラチ

 KK.モントリオール LL.カイロ MM.ニューヨーク NN.ホンコン

 OO.シドニー PP.サンパウロ QQ.ブタペスト RR.天津

 SS.アムステルダム TT.釜山 UU.エルサレム VV.ダマスクス 

 WW.グラナダ XX.サラエボ YY.イスラマバード ZZ.グラナダ

  a.ジャイプール b.

  

 1.選択した都市について、文献、資料、地図を可能な限り収集せよ。参考文献のリストはレポートに付すこと。 

 2.選定した都市が以下のどの地域に属すかチェックし、その地域の特性をまとめよ。都市の特性を人口構成、面積などいくつかの指標(オープン・データ)を用いてまとめよ。同じ地域の他の都市と比較し、その共通性と差異についてまとめよ。 

 a.ロシア・旧ソ連邦 b.中央アジア c.中国・東アジア d.東欧

 e.南アジア f.イラン g.トルコ・バルカン h.イラク・シリア

 i.マシュリク(東アラブ) j.エジプト・スーダン k.コーカサス

 l.アンダルス・南欧 m.東アフリカ・エチオピア n.東南アジア 

 o.ドイツ p.マグリブ(西アラブ アフリカ北部) q.西アフリカ

 r.フランス s.イギリス t.インドu.北アメリカ v.中南アメリカ

 w.オセアニア x.イタリア y.南アフリカ z.ヨーロッパ

 

 3.都市の歴史をそのフィジカルな形成過程に着目してまとめよ。簡単な都市年年表を作成せよ。また、都市図などを利用してその変化をヴィジュアルにまとめてみよ。 

 4.都市の形態的特徴について箇条書きにせよ。都市を特徴づける施設、モニュメントを列挙し、その都市にとっての役割を説明せよ。街区割りパターンについて分析せよ.

 5.都市の形成史において、どのような都市計画なされたか調べて見よ。その結果がどうであったか、明らかにせよ。

 6.現在都市が抱えている諸問題を列挙し、その対策について論ぜよ。可能であれば簡単な都市計画図を作成せよ。

 A4レポート用紙 枚数自由         締切 5月25日


1996年度「都市地域論」レポート課題Ⅲ             布野修司

  わが街の地域計画

  ・・・自分の生まれた街、自分が育った街、自分が今住んでいる街・・・自分に最も親しい街、村、町、都市を取り上げ、その地域計画を立案せよ。  

 1.対象地域のスケールは、各自の問題意識、計画戦略によって、自由に選定せよ。すなわち、各自の関心で、街区、近隣住区、市町村、広域市町村圏など自由に設定していい。ただ、上位計画との関連は充分意識すること。 

 2.選択した対象地域について、文献、資料、地図を可能な限り収集せよ。参考文献のリストはレポートに付すこと。 

 3.まず、対象地域の特性について考察せよ。 

 4.対象地域の現状を分析し、問題点を明らかにせよ。 

 5.地域計画を立案せよ。 

 6.立案した地域計画について、どのような手法を用いるか、どのようなプロセスをとるか、可能な限り具体的に論ぜよ。 

 A4レポート用紙 枚数自由    

 締切日 9月末日

 提出先 布野研究室


都市地域論レポート課題Ⅱ  1997年6月4日

                                布野修司  

   近現代における「都市地域計画」の方法をめぐって、最も興味深い建築家・都市計画家(理論家)による事例あるいは理論をとりあげ、論ぜよ。  

  ●どのような事例、理論をとり上げるかは以下のリスト(授業の内容)を考慮せよ。 

  ●レポートの内容は以下のことを含むこと 

   a.選定理由 

   b.その理論家の履歴 

     ・年表、著作・作品リストを作成すること

   c.理論内容

   d.事例

     ・図面等を用いて説明すること

   e.意義 評価

   f.可能性

   g.参考文献

   ●リスト 

 ロバート・オーエン/サン・シモン/トマス・モア/エチエンヌ・キャベ/シャルル・フーリエ/アンドレ・ゴーダン/トマッソ・カンパネラ/フランシス・ベーコン/J.S.バッキンガム/ウイリアム・ペン/ヨハン・ゲオルグ・ラップ/W.モリス/J.ウッド/R.アンウィン/P.ゲデス/アディケス/伊部貞吉/ウォートルス/内田祥三/芳川顕正/エンデ、ベックマン/A.クロンビー /E.ハワード/C.アーサー・ペリー/F.L.ライト/L.コルビュジェ/T.ガルニエ/ソリア.y.マータ/カミロ・ジッテ/N.A.ミリューチン/オスマン/クラレンス・スタイン/B.タウト/G.フェーダー/C.A.ドクシアデス/ベルラーヘ/丹下健三/黒川紀章/原 広司/磯崎 新/大谷幸夫/槙 文彦/大高正人/菊竹清訓/川添 登/C.アレグザンダー/B.ヒリエ/L.クロール/ハブラーケン/K.リンチ/後藤新平/高山栄華/E.マイ/ヒルベルザイマー/サンテリア/ルドゥー/・・・・ 

  締切 1997年7月16日(水) 厳守           

  A4レポート用紙 枚数自由

 必要に応じて、図、表、図面、写真を添付すること。

  

問題集7 

Ⅰ.次の計画と関係のある用語を選び説明せよ。 

 A.明治10年代東京防火計画

 B.震災復興計画

 C.市区改正

 D.大同都邑計画

 E.銀座煉瓦街建設

 F.首都圏整備計画

 G.日比谷官庁集中計画

 H.東京市近郊町村区画整理計画

 I.市街地建築物法

 J.戦災復興都市計画

 

  1.伊部貞吉 2.ウォートルス 3.神田橋本町 4.同潤会 

 5.内田祥三 6.芳川顕正 7.エンデ、ベックマン 8.1919年

 9.100メートル道路 10.グレーターロンドン計画

 

Ⅱ.次の用語を説明せよ 

 A.アディケス法

 B.BEBAUNGS PLAN(地区詳細計画)

 C.ゾーニング(用途地域制)

 D.LOCAL PLAN(イギリス)

 E.建築線

 F.地価税

 G.日本のニュータウン計画

 H.総合設計制度

 I.権利変換

 J.公開空地

 K.特定街区

 L.建築協定

 M.風致地区

 

Ⅲ.日本の都市計画の歴史をいくつかの段階に分けて振り返り、それぞれの段階(時代区分)の特徴を簡単にまとめよ。 

Ⅳ.現代日本の地域計画をめぐる最も重要な問題を箇条書きにし、地域計画のありかたについて論ぜよ。 

Ⅴ.京都の景観問題について持論を展開せよ。


 │レポート課題

 近現代における「地域計画」の方法をめぐって、最も興味深い建築家・都市計画家(理論家)による事例あるいは理論をとりあげ、論ぜよ。                                                           締切 1992年9月9日(水) 厳守

 A4レポート用紙 枚数自由 必要に応じて、図、表、図面、写真を添付すること。

 

問題集6 

Ⅰ.次の人名と関係のある用語を選び説明せよ。 

 A.ロバート・オーエン  Robert Owen 1771-1858

 B.サン・シモン Saint Simon  1760-1825

 C.トマス・モア Thomas More  1478-1535

 D.エチエンヌ・キャベ Etienne Cabet  1788-1856

 E.シャルル・フーリエ Charles Fourier  1772-1837

 F.アンドレ・ゴーダン Andre Godin  1817-88

 G.トマッソ・カンパネラ Tomaso Campanella  1568-1639

 H.フランシス・ベーコン Francis Bacon  1561-1626

 I.ウイリアム・ペン William Pen

 J.ヨハン・ゲオルグ・ラップ  Johan Georg Rap 

  1.ファランステール 2.ファミリステール 3.ユートピア 4.パノプティコン  5.ニュー・ハーモニー 6.ニュー・ラナーク 7.フィラデルフィア クエーカー  8.ニュー・ラナーク 9.イカリア 10.アンファンタン

 

Ⅱ.次の用語と関係深い建築家(人名)を挙げ、説明せよ 

 A.田園都市

 B.近隣住区理論

 C.ブロード・エーカー・シティ

 D.パリ300万人都市計画

 E.「工業都市」

 F.線型都市

 G.ブリッツ・ジードゥルング

 H.ユニテ・ダビタシオン

 I.パリ大改造計画

 J.チャンディガール

 K.ブラジリア

 L.イスラマバード

 M.アムステルダム南地区再開発計画

 Ⅲ.近代都市計画制度の歴史についてまとめてみよ。 

Ⅳ.日本の都市計画制度を欧米のそれと比較し、特徴を述べよ 

Ⅴ.近代建築家と都市計画の関わりをめぐって、具体的な例をもとに論じなさい。

 

門題集5

 Ⅰ.次の用語を説明し、発展途上国の都市及び都市化の特質についてまとめなさい。 

 A.プライメイト・シティ

 B.過大都市化

 C.複合社会

 D.都市村落 アーバン・ヴィレッジ

 E.植民都市

 F.二重構造

 G.インフォーマル・セクター

 H.従属的都市化

 I.低開発の開発

 J.世界資本主義システム 

Ⅱ.発展途上国の地域開発方式を列挙し、その特徴を述べよ。また、その流れを整理せよ。 

Ⅲ.C.ギアツのインボリューションという概念について調べてみよ。 

Ⅳ.発展途上国の居住政策をめぐって以下の手法の評価について論ぜよ 

     ローコストハウジング         LOW COST HOUSING

    スラムクリアランス           SLUM CLEARANCE

    スラムアップグレーディング   SLUM UPGRADING

    サイツアンドサービス         SITES & SERVICES

    リセツルメント               RESETTLEMENT IMMIGRATION

    ルーラルハウジング           RURAL HOUSING 

Ⅴ.コア・ハウスプロジェクトについて自分の意見をまとめよ。また、自分が設計するとしたら、どのようなコアハウスをデザインするか考えてみよ。 

Ⅵ.地球環境と「持続的発展論」(Sustainable Development)理論について論ぜよ。

 

問題集4 

Ⅰ.次の人名と関係ある用語を選び、簡単に説明せよ 

 A.丹下健三

 B.黒川紀章

 C.原 広司

 D.磯崎 新

 E.大谷幸夫

 F.槙 文彦

 G.大高正人

 H.菊竹清訓

 I.川添 登

 

 1.「か、かた、かたち」 代謝建築論 塔状都市 海上都市

 2.『建築に何が可能か』 有孔体理論

 3.東京計画1960 美しいもののみ機能的である

 4.Urbanics試論 麹町計画

 5.ヘリックスシティ 行動建築論

 6.プロセス・プランニング論 空中都市

 7.群造形 生成建築論

 8.人工土地

 9.建築とマルクス  

Ⅱ.メタボリズムとは何か、その建築思想を説明し、その評価をめぐって論ぜよ。 

Ⅲ.日本の建築家と住宅設計のあり方について、歴史を振り返り、現状を論ぜよ。

  また、建築家は「住宅問題」にどう取り組むべきかを論ぜよ 

Ⅳ.コミュニティー計画の意義について論ぜよ 

Ⅴ.日本建築における地域主義の流れについてまとめよ 

Ⅵ.ティーム・ズーの方法論について論ぜよ

 

問題集3 

Ⅰ.次の人名と関係のある用語を選び、簡単に説明せよ 

 A.伊東忠太

 B.J.コンドル

 C.下田菊太郎

 D.辰野金五

 E.佐野利器

 F.西山夘三

 G.関野貞

 H.村田治郎

 I.藤井厚二

 J.武田五一

  K.今和次郎

 L.森田慶一

 

 1.東京駅、日本銀行、「家屋装飾論」

 2.『建築計画論』1889 帝冠併合様式

 3.鹿鳴館1883 三菱一号館1894 工部大学校造家学科 『造家必携』

 4.日本分離派建築会1920 『ヴィトルヴィウスの建築十書』

 5.『法隆寺建築論』1893『建築哲学』1892 築地本願寺 平安神宮

 6.東本願寺内侍所1923 藤井美術館1926

 7.『日本の住宅』1928 聴竹居 

 8.『東洋建築史』1957 『東洋の建築』1945

 9.考現学 バラック装飾社

10.『日本の建築と芸術』 『朝鮮の建築と芸術』

11.『家屋構造論』1916

12.『これからのすまい』 『国民住居論攷』

 

Ⅱ.日本の建築学の成立はいつ頃とみなせるか。またその出自の様相から専門分化の過程を大まかに述べ、日本の建築学の特性について論じよ 

Ⅲ.「計画」という概念をめぐって論ぜよ 

Ⅳ.「地域」という概念について論ぜよ

 

問題集2 

Ⅰ.都市の起源をめぐって論じよ。 

Ⅱ.都市の発展段階、あるいは都市の類型に関する諸説を調べてみよ。また、自分なりにまとめて論じよ。 

Ⅲ.古代文明の都市について、エジプト、メソポタミア、インダス、中国の各地域毎にまとめ、その基本的構成要素を挙げ、それぞれの特性と共通性についてまとめよ。 

Ⅳ.プラトンの『法律』の「理想都市」の記述から、その「理想都市」を復元してみよ。これまでの復元案も参照すること。 

Ⅴ.ヒポダモスについて、また、「ヒポダモス風」都市計画について調べよ。さらに、「グリッド・パターン」の特性についてまとめよ。 

Ⅵ.ギリシャ・ローマの都市計画の伝統について、具体的な都市の例を挙げながら論じよ。

  

 アテネ ザゴラ エンボリオ デロス テラ オルビア メガラ・ヒュブライア ポセイドニア メタポントゥム セリヌス アクラガス ミレトス ロドス オリュントス クニドス プリエネ ハリエイス ハリカルナッソス カッソペイア セウトポリス ゴリツア デメトリアス アンティオキア ラオディケイア ダマスコス アッソス ペルガモン ポンペイ マルツァボット コサ オスティア ヴェロナ ローマ 

Ⅶ.ヴィトルヴィウスの『建築十書』のなかから、地域計画、都市計画に関わる記述を抜き出して見よ。 

Ⅷ.ギリシャ・ローマの都市の街区構成について述べよ。街区とインスラの規模について調べて見よ。

Ⅸ.古代ローマの都市計画についてまとめてみよ。 

Ⅹ.デミウルゴスについて論ぜよ。


 

      都市地域論         試験問題               19960626         布野修司          持ち込み自由 

 

問Ⅰ 次の図について以下の問いに答えなさい(問題番号と図の頁は一致している)。 

  1 都市とは何か。都市の定義をめぐって、図を手がかりに諸説を挙げなさい。 

 2 グリッド・パターンの伝統について、特に図Aを中心に述べなさい。 

 3 図Aについて、その都市計画の背景について述べなさい。

      ヒント:新大陸の宗教ユートピア

 4 図Aとその都市計画の伝統について述べなさい。 

 5 図を説明し、インドの都市計画の伝統をまとめなさい。 

 6 図Aおよび図Bを説明しなさい。 

 7 図Aについて説明しなさい。 

 8 図Aについて知ることを述べよ。   

 9 図を説明せよ(8頁図Bも同じ)。 

問Ⅱ 以下の設問のひとつを選んで解答しなさい。 

 1.都市の起源をめぐる諸説を列挙し、簡単に説明しなさい。 

 2.次の用語をいくつか用いて、発展途上国の都市及び都市化の特質について簡単にまとめなさい。 

 A.プライメイト・シティ

 B.過大都市化

 C.複合社会

 D.都市村落 アーバン・ヴィレッジ

 E.植民都市

 F.二重構造

 G.インフォーマル・セクター

 H.従属的都市化

 I.低開発の開発

 J.世界資本主義システム 

 3.近代日本における都市計画の特質を箇条書きにし、簡単に説明しなさい。 

問Ⅲ 近代都市計画の歴史において注目すべき意味をもってきた次のA~Jの用語(計画あるいはプロジェクト、理論、概念)と最も関係のある人名、団体等を下の語群(1~10)から選び記号で答えよ。また、A~Jのうち3つを選択し簡単に説明せよ。

                                                       記号欄

 A.ニュー・ラナーク                                (  )

 B.震災(関東大震災)復興計画                      (  )

 C.ファランステール                                (  )

 D.パリ改造計画(グラン・トラヴォー)              (  )

 E.銀座煉瓦街建設                                  (  )

 F.ブリッツ・ジードゥルング                        (  )

 G.『工業都市』                                    (  )

 H.東京市区改正                                    (  )

 I.グレイター・ロンドン計画                        (  )

 J.ブロード・エーカー・シティー                    (  )

 

  1.G.E.オースマン

 2.T.J.ウォートルス

 3.シャルル・フーリエ

 4.同潤会       

 5.ロバート・オーエン 

 6.B.タウト 

 7.C.A.ペリー   

 8.E.ハワード    

 9.ル・コルビジュエ

10.T.モア      

11.サン・シモン   

12.T.ガルニエ

13.芳川顕正     

14.佐野利器     

15 アーバークロンビー

 

 共通基礎(計画 問4 都市計画・地域計画) 

 Ⅰ 都市計画・地域計画の理論と方法をめぐって、以下の(1)(2)の問に答えよ。 

 (1)以下のA~Fの人名に最も関連する用語をⅠ~Ⅱの語群のそれぞれからひとつづつ選び記号で答えなさい。 

 A パトリック・ゲデス(Patrick Geddes, 18541932

 B  後藤新平(18571929

 C  フランツ・アディケス(Frantz Adickes, 18461915

 D  ダニエル・バーナム(Danier Burnahm, 18461912

 E  C.A.ペリー(C.A.Perry, 18721944

 F  T.J.ウォートルス(Thomas James Waters

 G G.フェーダー(Gottfried Feder, 18831941

 H E.ハワード(Ebenezer Howard, 1850-1928

 I  ロバート・オーウェン(Robert Owen 17711858

 

 Ⅰ群

 1.シカゴ Chicago 

  2.台北 Taipei

  3.ニューヨーク New York

 4.カルカッタ Calcutta

 5.ニューラナーク New Lanark

 6.フランクフルト Frankfurt

 7.銀座(東京市)

  8.ベルリン Berlin

 9.パリ Paris

10.レッチワース Letchworth 

 

 Ⅱ群                                        

  あ.『都市開発』(Urban Development 1904

 い.田園都市 Garden City 

 う.区画整理

 え.『新都市』(Die Neue Stadt 1939

 お.シティ・ビューティフル City Beautiful

 か.帝都復興計画

 き.『新社会観』(1813) 

 く.煉瓦街

  け.『工業都市』(1917

 こ.近隣住区理論 Neighbourhood Theory 

 (2)上記Ⅱ群のあ.~こ.の中から二つ選んで説明しなさい。

 

共通基礎(計画 問4 都市計画・地域計画) 

Ⅱ 次の設問の内ふたつを選んで解答せよ。 

 1.都市の起源をめぐる諸説を列挙し、簡単に説明しなさい。 

 2.次の用語をいくつか用いて、発展途上国の都市及び都市化の特質について簡単にまとめなさい。 

 A.プライメイト・シティ

 B.過大都市化

 C.複合社会

 D.都市村落 アーバン・ヴィレッジ

 E.植民都市

 F.二重構造

 G.インフォーマル・セクター

 H.従属的都市化

 I.低開発の開発

 J.世界資本主義システム 

 3.近代日本における都市計画の特質を箇条書きにし、簡単に説明しなさい。 

 4.近代建築家と都市計画の関わりをめぐって、具体的な例をもとに論じなさい。 

 5.現代日本の地域計画をめぐる最も重要な問題を箇条書きにし、地域計画のありかたについて論ぜよ。

 

共通基礎(計画 問4 都市計画・地域計画) 

Ⅰ 都市計画・地域計画の伝統あるいはその方法をめぐって、下記の(1)(2)(3)の問に答えよ 

 (1)以下のA~F、6枚の図に最も関連する用語をⅠ~Ⅱの語群のそれぞれからひとつづつ選び記号で答えなさい。 

 A B C D E F 

  Ⅰ群

 1.ジャイプール Jaipur

  2.プリエネ Priene

  3.スフォルツィンダ Sforzinda

 4.チャンディガール Chandigarh

 5.チュニス Tunis

 6.ブラジリア Brasilia

 7.ガーデンシティ Garden City

  8.ミレトス Miletus 

 

 Ⅱ群                                        

  あ.マーナサーラ manasara                   

 い.フィラレーテ Filarete(Antonio Averlino) 

 う.L.コスタ Lucio Costa                  

 え.ヒポダモス Hippodamus                    

 お.ル・コルビュジェ Le Corbusier           

 か.E.ハワード E. Howard                  

 き.V.スカモッツィ V. Scamozzi            

 く.シャリーア(イスラーム法 Islamic law 

  (2)図のCと図のDを比較し、それぞれの都市計画の伝統の差異を簡単に論じなさい。

 (3)図A、図B、図E、図Fの4つの図からひとつを選び、都市計画の方法としての特徴を箇条書きにしなさい。 

 

解答欄

 (1)

          Ⅰ群   Ⅱ群  

 A    (  ) (  ) 

 B    (  ) (  ) 

 C    (  ) (  ) 

 D    (  ) (  ) 

 E    (  ) (  ) 

 F    (  ) (  ) 

   (2) 

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 (3)  選定した図の記号 ・・・・・・・・・・(  )

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  説明1 選択した記号(  )

 説明2 選択した記号(  )  

 説明3 選択した記号(  )

 

専門(計画)

  格子状(グリッド)パターンの都市の事例を知り得る限り挙げ、相互に比較しながら、その計画原理をめぐって論ぜよ。

   

2024年11月19日火曜日

真のトラバースを 横尾義貫先生インタビュー、聞き手 布野修司 大崎 純、traverse01、京都大学建築教室、2000

 真のトラバースを

横尾義貫先生インタビュー

 

                                    聞き手 布野修司

                                        大崎 純

 

                                              

--: こんど京都大学の建築系教室を中心として``TRAVERSE: 新建築学研究''を発行しようということになりました。かっての『建築学研究』の志を引き継ごうと思っております。横尾先生には今後継続的にいろいろななことをお聞きしようと思っておりますが、まずはどういうことを考えていったらいいのか、`TRAVERSE: 新建築学研究''`に期待すること、あるいは最近お考えになっていることをお聞かせ願えればと思います。

 『建築学研究』'の創刊の頃の京都大学建築学教室周辺はどうだんたんでしょう。先生が京大に入学されたのはいつのことになりますか。

 

横尾: 昭和10年です。

 

--:『建築学研究』'は昭和2年創刊ですので,先生が京大に入学された昭和10年にはすでに発行されていたわけですが,先生の学生の頃はどんな雰囲気だったんですか。

 

横尾: 学生時代は『建築学研究』'があるっていうのを知ってるぐらいでしたね。戦争気構えの時代でした。

 

 

□ 逗子から京都へ:絵は割とうまかった

 

--:そもそもどうして西(京大)に来ようと思われたんですか?

 

横尾: 東大の試験勉強したくなかったからかな()

 

--: え、そんな雰囲気があったんですか?

 

横尾: ほかの人はムキになって試験勉強やっていたけど,俺は勉強するのがいやでね。簡単にいえばそういうことです。ほかに理由といえば,.京都に知り合いがいたわけでもない。なぜでしょうね?高校は静岡。それから生まれは九州佐賀。小学校1年まで佐賀で,小学校2年から神奈川の逗子。そうとうな歳まで家の中では九州弁でしゃべってましたからね。京都ってなんで思ったんだろうなぁ?

 

--: 逗子から静岡高校というのも珍しくないですか?

 

横尾: 珍しいかもしれません。逗子開成っていう中学に行っていたんですよ。逗子開成っていうのは不思議な学校で,東京の開成中学と経営者が同じで,昔,第二開成って言っていました。逗子開成はね,東京に居にくくなった子供とか,少し体の弱いお金持ちのお坊っちゃんとか,それから土地の人間と入り混じってて,のんびりした学校でね。それから,校長先生が海軍だったということから,海軍スタイルの教育でね。うちもたまたま親父が海軍だったもんだから,その友達が経営している開成へ行くということになった。

 逗子開成の中では秀才だけど,自分のレベルがさっぱり分からない。ところが逗子開成っていうのはおもしろいもので,東大の学生でありながら逗子開成の先生をしていた人がいた。それともうひとつ,海軍は将官になると恩給で喰えるんだが,佐官(大佐以下)だと恩給ではちょっと喰えないんでしょうね。それで教師の免状をもった海軍大佐の先生がいた。おもしろい構成でね。

 僕は誰からもかわいがってもらったんだけど,英語も数学も1年分ぐらい遅れててね,よその学校に比べてのんびりやっているもんだから。そんな理由で,神田で土曜と日曜に行われている日土講習会というのに行ったら,はじめは成績が悪かったんだけれども,だんだん成績があがってきて,「俺も結構やれるな」という自信がついた。兄貴の先生に勧められて一高を中学4年で受けたけど,見事落ちた。それで5年のときは静高受けて,滑り止めで早稲田を受けようと思った。しかし,早稲田の試験の日に静高の発表があったから,結局早稲田は受けずに静岡に行った。それが昭和7年。

 

--建築をやるというのは、どうして決められたのですか?

 

横尾: 兄貴が逗子開成で剣道のキャプテンやってて,絵がうまかった。それで一高受けるっていって,剣道やりながら猛勉強してたらとうとう倒れてしまった。それで療養生活を数年続けるわけだけど,治りかけてきた頃に絵をやるといって,絵に関係する本や美術全集をしこたま買込んでいた。その美術全集ってのをふと見ると建築に関するものがあって,それを見てのがひとつの影響だったと思うね。

 

--:不躾に聞きますけど、絵はどのくらいの腕だったんですか?

 

横尾: 絵はわりにうまかった()。大学のときは美術部(絵画部)だったが,その頃の絵は1つしか残っていない。大学卒業後海軍へ就職して佐世保まで絵の道具を持っていったけど,佐世保は軍港で要塞地帯なのでスケッチできないということもあって,あまり描かなくなった。

 

--: 油絵ですか?

 

横尾: そうです。それで絵が空回っちゃって,後の掃除が面倒くさくて性小に合わないということもあって,やめちゃった。あと絵は学生のときに描いた絵がいくつかあったけど,全部どっかいっちゃった。京大へ戻った頃は絵を描く雰囲気の時代じゃなかった。戦争がすんだときに,ワン-デイ・エクササイズっていうのがあってね,それは建築の課題を出して,棚橋さんも西山さんも僕もみんな,派出所とか交番とかいう題で描きました。それからたまにはスケッチ旅行っていうのもやっていましたね。

 

--: それは教室全体で,ですか?

 

横尾: いや,それはスケッチが好きな人たちで。工芸繊維のイシヤガヤスオ君もいたね。オオギダ君なんかもいたんじゃないかな。そんな時代がちょっと戦争の後あって。それから僕は全然絵を描いていないんだよ。唯一の絵っていうとここに自画像画が残っている(退官記念文集「建築構造随想」にある自画像。)

 

 

□学生時代:課題をこなすのが楽しくてしょうがないという時期があった

 

--:どんな学生時代だったんですか。

 

どういう学生生活かっていうと,古建築を見るための吉野旅行や日光旅行に藤原義一先生と棚橋先生と行きましたが,これは非常に楽しかったですね。日光は天沼先生も一緒で,東照宮とかを見学しました。

 

--: 今年(1999年)からそのような見学旅行が復活したんですよ。

 

横尾: いいね。よかったね。

 

--: 何日ぐらいの旅行だったんですか?

 

横尾: 一週間。これまた実に楽しい思い出でしたね。それをやったのは僕らのクラスでおしまいじゃないかな。経費は自己負担だったでしょう。収入の少ない家庭の人は奨学金をもらっていましたから。

 

--: 当時はひとクラス15人くらいですから,すぐ親しくなりますね。

 

横尾: それはもう,学年の上も下も親しくなって。それで,卒業設計っていうと,製図室ひとクラス15人で1フロアだからぜいたくな話ですよ。そこにみんなでお金出し合って蓄音機とレコードを買って,そのころの流行歌とシャンソンを聞いて,覚えたりしましたね。

 

--: 先生は語学は何語を選択されたのですか?

 

横尾: 僕はドイツ語。だけどシャンソンはフランス語なので,勉強して,徹夜でシャンソンかけて,マンドリンがおいてあったからそれを弾いたりしてました。そこへ時々現れたのが西山陸軍少尉か中尉でしたね。徹夜で先輩の卒業設計を手伝っているときに来て,「よし!」という具合に強烈な絵を描いたりしていましたね。

 

--: 西山先生は横尾先生の五つぐらい上ですか?

 

横尾: だいぶ上ですよ。卒業した年でいえば西山さんは昭和7年卒かな。だから、その卒計で接点があったんだよ。でも西山さんといえば有名だった。それからその当時鈴木義孝さんがいたかな。西山さんは設計を夜な夜なやってきて見てくれたということで非常に懐かしいね。

 

--: 増田友也先生とは同期なんですよね。増田先生は設計という点ではどうだったんですか。

 

横尾: ぼくは一年休んだあと,卒業の前の年の夏ごろ溜まっていた専門をやっていたときにちょっと設計が分かった気がしたんだけど,課題をこなすのが楽しくてしょうがないという時期があった。それで,増田も何かで一年休んでいたな。 

 

--: 恋愛()

 

横尾: ()色多いからね,忙しくてね。彼と同じ下宿にいたんだよ。

 

--: どの辺りですか?

 

横尾: 田中の北白川なんとか荘っていうところだよ。それで彼(増田)は「えっ?」という所はあったけど,

 

--: 抜群というわけではなかったのですか?

 

横尾: いや,建築的感覚はあったんだろう。絵は上手くなかったけど(笑)。そして色彩も苦手だった。でも増田は建築家になろうと思っていたようだね。焼き物なんかもよく知っていた。あと僕のクラスで設計が好きだった奴は…僕がやってたかもしれない(笑)。だけど設計というのは,貧乏性ではダメなんだよ。やっぱり人のお金を使うのを何とも思わないような人でないと。僕は何か悪いような気がして,だから向かないんだよ。

 

--: それでは先生の学年で一番設計をやっていた人というと?

 

横尾: 白石(博三)さんが好きだったね。僕の二年上,実際は一年上だけど。それから西山君は建築家を志望していたんだろう。それから浦部(鎮太郎)さんもそうだろうな。それから少し前になるけど森,彼はフランスに留学していてね,あの人はフランス語ができるから森田先生と仲良くてね,森田(慶一)先生がフランスに留学した時二人で何回も車に乗ったりして,車が好きな人だったから。

 

□昭和10年の建築教室

--: 先生が入られた時の教室の構成は?

 

横尾: 構造は坂先生と棚橋先生,デザインは僕が入ってきた時はご健在でしたが,武田先生が退官されて,そして森田慶一,伊東恒治,藤井厚二,横山だったでしょうか。建築史は,天沼先生は亡くなられて,村田治郎教授。助教授はおられなくて,工芸繊維大の教授になられた藤原義一先生が講師,それから中村昌生先生。あと非常勤では,安井胃(武雄)先生とか,滝沢真弓さんとか。

 

--: 学生時代一番印象深かった先生と講義はなんですか。

 

横尾:  それぞれおもしろかったと思うけどもね。デザインの講義なんかおもしろくないけどね。まあ森田先生の建築論なんて一番ねむくていけなかったな()。建築論があったかなかったか忘れたけど。

 

--: 理屈っぽい?

 

横尾: まあ建築論なんて当たり前のことをいうようなことだからね,そもそも。まああとから聞くとおもしろいんでしょうね。ウィトルヴィウスの話なんかもう忘れたよ。

 

--: ウィトルヴィウスの本を書かれた時代ですよね。

 

横尾: そう,それは知っていますけどね。だけどラテン語みたいなのがポコポコでてきて,なんか分かったような分からなかったような。あと天沼先生が日本建築史で,村田先生からは西洋建築史を習ったね。

 

--: 東洋が専門の村田先生が西洋を教えられえたんですか。

 

横尾: ちょうど外国から帰ってこられた頃で,西洋建築史といっても様式論で,ギリシャの黄金分割というかプロポーションというか,ああいうのをやっていましたね。おもしろいなと思ってね。

 

--: 村田先生の学位論文はすごいですね。東洋建築系統史論といって,その1,その2,その3と『建築雑誌』で連載されて,それが学位論文になっているんです。満州におられたので北アジアにものすごい強いんですけど,蒙古のパオの原型がどうだとか,ドーム構造がどこでできて,アーチがどこでできてとか,考察されてるんです。.

 

横尾: おもしろい!

 

--:おもしろいと思います。アーチとか、ドームだけでなく、高床とか校倉の起源の議論もある。

 

横尾: それはおもしろいだろうなぁ。その話は聞かなかったけど,ギリシアの曲線の話をされた。関係あるかもしれないけれど,今日ぼくは木割の話をしてきたんだよ。規矩術をやる友人と話したんだけど,村田先生から規矩術やることを勧められたんだよ。なるほど,ギリシアの建築の幾何学といったものがつながっているのではないかと思ったんだよ。

 

--: 規矩術ももちろん関係しますが、学位論文では、原型がどうか,どのようにして成立するかという点に力点があります。例えばスーパというものがあって,何であれが五重の塔になるんだろうということです。伽藍配置には我々が四天王寺式や法隆寺式と呼んでいる様々なタイプがあるのですが,ではインドではそれが一体どこにあるのか,ということは誰も説明していないんですよ。先生はそれを解き明かそうとされている。そういう講義じゃなかったんですか。

 

横尾: いや。いきなりそういう話はできないから。建築史なら,斗きょうの話から,名称やどう組んでいるのかを覚えるくらいだんあ。

 

--: 三手先なんて学生に聞いても全然分からないかもしれない。構造の先生でも分からないかもしれない。この間、日本建築史のツアーにいった時,山岸先生が一生懸命説明してくれました。現場で聞くとよくわかる。でも、六四掛けなんて,それを力学的に解け,と言われるとどうでしょう。割り方だから,生産的な話もあって,それと力学的な話は繋がっている。構造も歴史も共通の議論をしたいですね。

 

 

□大きな議論を:建築の世界が見えるように・・・トラバースは「横働き」のこと

 

--:『建築学研究』の創刊の言葉は武田五一先生が書かれています。記事が少ないときには,東畑先生が翻訳を埋めていたということを聞きました。今度の``新建築学研究''に期待することというか,エールでもいただければと思うんですけど。

 

横尾: ``建築学研究''の話は,``建築学教室六十年史''にも向井正也さんが書いています。(「京大建築会会報」Vol.44の記事を転載したもの。) とにかく,最近の学会の議論は細かすぎると思うよ。いや細かい議論はいいけどさ,細かい議論は細かい人がやればいいことで。だけど世界が見えない。建築の世界が見えない。見えるようにしなきゃいけない。

 

--: 個人的に,細かいこともいいけども,京大には、もっとある種の筋のある大きな議論を発表するメディアがあったらいいんじゃないかなと思うんです。

 

横尾: どういうものトラバースの中でずっとやっていくかというと,要するに随筆めいててもいいし論文めいててもいいけれども,本当にトラバースでなきゃいけないというひとつの仕割りにしたがうことだと思うね。 要するにトラバースでないものを出す分野はたくさんある。いくらでもある。それに結構非常にいい感覚を持って書くのもいいですよ。???先生の東洋建築史原本みたいなものとか。それからもうひとつは何かすこし既存の学を網羅してやるんだったら,しっかりした文献を読んで欲しい。中身や表現は簡単でいいけれど,しっかりした文献を脚注として挙げて欲しいと思う。例えば何かテーマを決めて議論をしたり,対談をしたりというようなものがあっていいんじゃないか。これからテーマを作っていってもいいと思う。必ずしも建築の中でトラバースを組めないときには,土木と組んでもいい。

 トラバースということを,ぼくは横働きと言っているんだけれども---

 

--: トラバースっていう名称は竹山聖先生が言い出したんだけれども,確かにそういう意識があるとおもいます。

 

横尾: 片側からではなく,少したちいたって,お互いにむこうが思っていることを考える,要するに弁証法的なものが欲しいですね。少し時間はかかるでしょう。それでトラバースとは何だっていうことだけど,横並びっていうのはよくないんだよ。エンサイクロペディアのようなものは多いんだよ。全体を見通している人が何人ぐらいいるか。だからトラバースでやるという問題はコロコロ転がっている。それをチャレンジして素朴でもまじめにやって提示していくと,新しいものがでてくるんじゃないの。だけど造形の分野なんかで何があるか分からないけれど。構造造形論とか()。川口衛さんの話も面白いんだよ。

お互いにうまく対話のできるものを作らないと。デザイナーとの対話ほど難しいものはないぞ。

 

□プログラムの必要

--: 京大は構造デザインというのは伝統的に弱いんじゃないでしょうか?

 

横尾: ああ,弱い弱い。僕の責任でもあるんだけどさ。地の利を得ないね。大阪や東京だとどれだけ便利か。土木のようにお上から仕事がくるのとは違うし。学園紛争のころやらなきゃいかんなぁ,と思いながら,他のことやってしまったんだけど。大体理論家ばかりが多い。私の弟子にも。もう少し雑学をやる人がいなくては。一応雑学をやっていた松岡君が名古屋に行ってね。あと膜構造とかスペースフレームというのはやるべきだと思っていたんだけど,なかなかね。膜は結局膜の張り方という技術の面に問題がある。太陽テントとかあるからそれにくっついてやればできたと思うけど。

 

--: トラバースの編集をやる立場として、どの辺を攻めればいいんでしょう。

 

横尾: そういう問題は建設業のあたりと上手く組んでいかないとね。これは学校ではできないでしょう。大阪大学の連中は今うまく育てているんだよ。ぼくつき合いが多いから。それからフリーな発想をする奴が多い。上手につき合うとか,そういうことが要るでしょう。

 

--: 環境工学とか計画とかでですね,デザイン領域で京都大学がこうやるべきだといったようなことはどうでしょう?。例えば京都だからもうちょっと木構造などのスタッフを充実させるべきだとか。

 

横尾: オリエンテーションしなきゃダメだよ,ボスが。例えば石崎君だって地震やってたし,小堀君ははじめから地震だった。それから若林君は鉄筋コンクリートやってた。それで若林君と,坪井(善勝)先生と,棚橋先生との話し合いで,若林君がこっちに来ることになった。僕は兄貴分として付き合うことになったんだけれど,六車君と分野が重なるわね。棚橋先生は鉄骨やってたから,それで若林君は鉄骨やるということになって,そのイントロダクションは僕がつくった。大阪工大に行って,末長君という坪井さんの弟子と,若林さん向きの長柱試験機を作った。それで今も動いてますよ。それぐらいのお手伝いはした。それからあと,若林さんは鉄骨構造の仕事をやって,僕はある意味でよかったん

じゃないかと思いますよ。SRCはもちろんあの人だしね。若林さんの弟子も結構育っているしね。あの人はリーハイ大学へ行ってたんだね。あそこは1年ごとにテーマを変えるんだね。今年実験やれば次の年は理論。だから若林君は実験が得意だね。石崎さんは東大の航空出ているんだけど,地震やる人がいっぱいいてもしょうがないから,航空だから風はどうかと僕が言ったら,棚橋先生が賛成してくれた。いってみれば,棚橋先生が将軍で僕が参謀という感じかな。

 

--: そういうオリエンテーションが最近足りなくなっているということですか。

 

横尾: 完全自由競争の公募式の学校にするんだったら,いいかもしれないけど,必ずしもそうはなっていないようだし,ほとんどそれに近いことをやっている学校もあるしね。それでないとしたらやっぱり学校経営の問題だけどね。

 

--: 独立法人化ということになると、それなりのプログラムが入りますね..

 

横尾: いずれにせよ、プロフェッションとしてのシビルエンジニアリングとかアーキテクトとかストラクチャーエンジニアリングはずっと続くと思うんだよね。何が変わろうが。しっかりとした骨があればいい。

 

--: どういう人材をどう育てるのかという骨の議論がない、ということですか。

 

横尾: 社会と学校の対応を考えていかないとうまく行かないんじゃないかと僕は思うんだよ。土木の連中をかき回さないと。中川さんとか土岐さんとか。あの辺は以外とかき回しても土木社会がきっちりしてるからね,地球だ宇宙だ言ったって,なにかこう,つながってるものがある。建築はデザインというものをもうちょっと強烈に主張すべきであると思う。

 

--: デザインって言っても,もっと大きなコンセプトのことですね。

 

横尾: デザインっていう行為がどういうものか。建築が一番自由度が高いわけ。飛行機設計したって何設計したって,橋梁なんかは結構自由度あるけど。そういうデザインとは何かというデザイン論というのを議論していくと,自ずから建築家の位置づけなんかが座りよく認識できるわけだ。変なことことばかりやって,変なことほざいてるというのもあるかもしれないけど,何か持っているんだよ。だからプロフェッショナルアーキテクトと,ストラクトエンジニアとシビルエンジニアという,3つのエンジニア。シャバでものをこしらえる,社会にものをこしらえるときどういう位置づけになるか。それと先生との関係をやっぱりきちっとね。それは社会に出てるヤツを呼び返して議論したらおもしろいよ。名古屋大学の卒業生はおもしろいもので,卒業生が講義をやっているんだよね。冠講座とまではいかないけど,いろんな先生呼んで,学生たちに聞かしているんだよ。愛校心の表れだね。佐々木君が今度戻ったね。僕の弟子では豊橋の加藤史郎君かな。

 

□デザインが弱い?:

--:  京大出身の構造デザイナーがいない。

 

横尾: 京大出身でなくたっていいんだよね。非常勤とか何かの形でもいいし。京大出身で関西的の構造デザイナーっていったら,竹中の岡本達夫なんておもしろいんじゃない 久徳君はもう過去の人()。岡本君はスケールは大きくないけど結構発想する頭を持ってる。それから,構造デザインっていうのは表に出ないからなぁ。やっぱり(京大の)構造設計者は,川口さんとか木村さんとかみたいには,華々しくないよね。構造設計というのは実際にはどうだろう,関西では知らなくてね,色々なスタジアムとか設計してて,誰が構造をやっているのだろうと僕はいつも気にしているのだけど。大阪あたり結構大きなスタジアム作ってますよね。

 

--: みんな川口さんがやられているんですよ。

 

横尾: 屋根のクローズしたものなら川口君だろうけど,例えばキャンティレバータイプとか,サッカースタジアムとか

 

--: ビッグアーチとか。

 

横尾: そう,ああいうのだとどうなのか。

 

--: 岡崎先生も川口さんと組んでやってられます。

 

横尾: 川口君は福井の出身ですね。川口流もあるけど,もうちょっと大阪的なものがあってよさそうな気がするね。わりに無理のないものね。川口さんの設計でもこわいのがあるわけだよ。竹中が上手く大阪ドームと名古屋ドームを,名古屋の方が好きなんだけどね,あれも実にシンプルで構造の原型ですよ。東京ドームも竹中ですね。それからより変わったものはね,西武。あれは面白い。

 

--: あれはデザイナーが池原さんで,施工は鹿島ですね。

 

横尾: あれはすごく面白い。あれは自然換気と,それと真中を吊上げるという発想が面白い。それから鹿島で聞いたのはMウェーブかな,長野の。実はこの間東京の鹿島に行ったので,西武のドームを見ようと思ったんだけども・・・

 

--: 計画系で,京大の弱い,もうちょっとすすめていけばよい所などをお聞かせいただければと。

 

横尾: デザインっていうのは分からないな。

 

--: 大体デザイナーというかアーキテクトが育たない。

 

横尾: 理屈家が育つ(笑)。 だからどのように育てるかだよ。東大はほっておいても育つんですよ。仕事が回ってくるし。バックがいろんないい所があるし,自然に先生は研究面において手伝いができる。

 

--: 東大も安藤忠雄さんを呼ばないといけなくなったようですけど。

 

横尾: 大谷さん,丹下さんの時代と違うか。

 

--: 構造,計画全体でのネットワークは繋がらないんですか?デザイナーが出てくれば構造設計家が出てくるのでしょうか。

 

横尾: 要はみんなが建築についてどう考えているのかということだろうね。友達がいるでしょう,同級生が。

 

--: 今は細分化されてしまって,全体をみる人がいない。

 

横尾:  要するにトラバース的に,相性の悪い奴を無理にくくっつけて,結婚式をあげさせて(笑),見合い結婚じゃなくて喧嘩結婚みたいなのを。自分の仕事をしなが何か成果をあげさせればどうか。僕は昔から力学論と空間論とをやっていたんだけど,美術全集をみていて解説を読んで,力学論がでてきたのは実はそれが影響あるんだよ。

何かこう秩序感がある,その先生方に評判がいいものには。それは力学ではなくて,重力の力の流れというのが評判がいい。それからふっと思い立って,増田と僕とが議論しているうちに書き出したのが力学論だよ。

               1999621日(京都:学芸出版社 アティック)