地域社会圏、コミュニティ権は如何にして成立するか?理論を整理してきた。家族システム、採集狩猟世界の組織原理、そして定住農業革、農村共同体の成立をめぐって足踏みしたのは柄谷「交換様式論」が農業革命こそ国家の成立の結果だというからである。農業革命というが相当の時間の流れがあるのだ。
農耕革命による余剰が都市=国家を産んだという発展史観は疑わしい。常識?都市と農村共同体を分けるのは分業である。都市=国家の成立には、交換様式B(略取と再分配)とC(商品交換)はともに関わる。BCは不可分離と柄谷はいう。交換様式ABCは集団の組織原理の起源に関わっているということになる。
柄谷「交換様式」論は分かりやすい。キー概念は互酬で国家の成立は、共同体と共同体の間の「互酬」が禁じられたときである、というのがポイント。コミュニティとコミュニティの間、理顕のいう「閾」であり、アレンとの言う「ノーマンズ・ランド」である。互酬、戦争・征服、交換は「閾」で行われる。
柄谷「力と交換様式論」は実に分かりやすいけれど、国家の起源をめぐって確認しておくポイントは、国家が共同体の発展によって成立することはありえない、内部から主権者はでてこない、主権者は外部(征服)から来る、しかし、共同体の内部から来たかのように見えなければならない、ということである。
柄谷・国家起源論は、共同体から国家は原理的に生まれない、しかし共同体=国家と見えなければならない、国民国家は「想像の共同体」(B.アンダーソン)として成立するというのもポイント。共同体抗争によって国家が成立するというが、都市国家は国家ではないのか。都市と国家の成立は同じではないか。
柄谷行人『世界史の構造』は、古代国家は多数の都市国家の抗争から生まれたという。都市国家と国家を区別するのは、旧来の氏族・部族共同体の神々を越えた神の出現であり、シュメールの国家は多数の都市=国家の抗争から生まれたという。都市国家は共同体なのか国家なのか?そこに整理の必要はある。
国家の起源については、農耕共同体の成立→都市国家の成立→領域国家の成立→帝国の成立という単純な整理でいいのではないか。宮崎市定の「紙上考古学」以降の、中国都市の発展過程の図式である。文字、宗教、貨幣、交換様式がそれぞれに如何に関わるかをめぐって歴史家は議論を積頭けてきたけれど・・
もうほとんど整理できたからポリス=都市国家の基本構造に移りたいが、柄谷「力と交換様式」論が心理学者ロビン・ダンバーの「社会脳」の仮説ー社会の規模が大きくなり複雑になると脳容量が増大するーと「時間収支」の仮説ー摂食・移動・休眠・・のうち社交が重要ーに触れていることを確認しておこう。
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