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2021年2月21日日曜日

アジアの都市住居 発展途上地域の大都市における居住地モデルに関する研究 Urban Housing in Asia Research on Community Model of Metropolis in Developing Regions (Humid Tropics), traverse03

traverse03 2002 新建築学研究03 
Urban Housing in Asia Research on Community Model of Metropolis in Developing Regions (Humid Tropics) 
Shuji Funo 
アジアの都市住居 発展途上地域の大都市における居住地モデルに関する研究 
布野修司

  はじめに

この20年余り、発展途上地域の大都市の居住地について考えている。具体的に焦点を当て研究対象としてきたのは湿潤熱帯(東南アジア)の大都市であり、続いて南アジアであり、それぞれの気候風土に相応しい居住地を構成する都市型住居モデルの開発を主題としてきた。

21世紀を迎えて「地球環境問題」がますます深刻なものとして意識されつつある。そこで、グローバルに大きな焦点となるのは、発展途上地域の大都市の居住問題である。今後ますます人口増加が予想されるのは熱帯地方の発展途上地域であり、人口問題、食糧問題、エネルギー問題、資源問題など地球環境全体に関わる様々な問題は既に先進諸国よりもアジア、アフリカ、ラテン・アメリカの大都市においてクリティカルに顕在化しつつあるのである。発展途上地域の大都市の居住問題に対してどういう解答を与えるかは、都市計画・地域計画の大きな課題であり続けていると思う。

とりわけ熱帯の発展途上地域が問題なのは、そこで先進諸国と同じように人工環境化が進行しつつあるからである。すなわち、問題は、先進諸国の住居がモデルとされ、目標とされ、エネルギー消費を考慮しないアクティブな技術が専ら導入されつつあることである。

問題設定は、単純に次のように要約される。

もし、熱帯地域の全ての住居がクーラー(空気調和設備)を使うようになると、地球はどうなるのか。

そこで大きな課題となるのは、湿潤熱帯の気候に相応しいパッシブ技術を基本とする「環境共生」型の住居モデルおよび居住地モデルを開発することである。

1979年以降、20年以上にわたってインドネシアを中心とする東南アジアの居住問題に関わってきた。その最初の成果は、『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究』(学位請求論文、東京大学,1987.日本建築学会賞受賞、1991)にまとめたが、そのハウジング計画論を基礎に生まれたのがJ.シラス教授(スラバヤ工科大学)による積層住宅(ルーマー・ススン)モデルである。居間、バス・トイレを共用空間とするその集合住宅はインドネシア版の都市型住宅として注目を集め、ジャカルタなどでも建設されつつある。そして、その集合住宅モデルをもとに、地域産材の利用(ココナツの繊維を断熱材に用いた)、輻射冷房のための井水の利用、太陽電池など様々な「環境共生」技術を導入する実験住宅(「スラバヤ・エコ・ハウス」)を設計建設する機会を得た。

以上のような経験を踏まえた現在の関心は居住地モデルの開発である。住居が集合する形式によって涼しく風通しのいい居住地の提案は可能である。事実、アジア各地においてもそうした形式が伝統的につくられてきた。各地の都市型住宅については、ラホール、アーメダバード、デリー、ジャイプル、カトマンドゥ盆地、ヴァラナシ、台湾、北京などで調査を展開してきた。

 スラバヤ・エコ・ハウスの開発過程で、「日本ではクーラーを無制限に使いながら、原初的な技術を押しつけようとしている!」という批判を受けた。本質的に突きつけられる問いである。モデル開発が先進諸国の側から一方的になされるとすれば、極めて傲慢と言わざるを得ないだろう。モデル開発は、基本的に日本の都市型住居モデル、居住地モデルの問題でもある、というのが前提となる。

日本においては、発展途上地域の居住地モデル、都市型住宅モデルについての研究が極めて少ない。また、発展途上国においても、独自の居住地モデルを開発しようという動きは希薄である。一般的に理想とされているのは先進国モデルである。また、「環境共生」技術、「環境共生」建築というテーマは、今のところ、北欧など寒冷の地域のみで問題にされ、熱帯についてはほとんど等閑視されているように思われる。以下、これまでを振り返って、今後の展開について考えたい。

 

1. 都市コミュニティ・モデルとしてのカンポン

 カンポンkampungとは、インドネシア(マレー)語でムラのことである。今日、行政単位の村を意味する言葉として用いられるのはデサdesaであるが、もう少し一般的に使われるのがカンポンである。村というより、カタカナのムラの感じだ。カンポンと言えば、田舎、農村といったニュアンスがある。カンポンガンkampunganとは田舎者のことである。

しかし一方、都市の居住地も同じようにカンポンと呼ばれる。発展途上国の大都市の居住地は、農村的な特性を保持し続けるのが特徴とされるが、カンポンはまさにそうである。一般的には、都市村落Urban Villageと呼ばれるが、都市でも農村でも同様に用いられる居住地の概念として、インドネシア(マレーシア)で固有に用いられてきたのがカンポンである。

 実は英語のコンパウンドcompoundの語源がこのカンポンである。オックスフォード英語辞典(OED)に明解に書かれている。もともとバタヴィアあるいはマラッカのある特定の民族によって占められた一画をいい、英領インドでも、都市の囲われた一画をカンポン=コンパウンドと呼ぶようになった。そして、大英帝国の支配が拡がる過程で、カンポン=コンパウンドはアフリカの原住民の居住区についても使われるようになった。そして、鉱山労働者のための囲い地などもコンパウンドと呼ばれるようになったというのが有力な説である[1]

 ところが、しばしば、カンポンはスラムの同義語として用いられてきた。確かに、そのフィジカルな環境条件を見ると、都市のカンポンはスラムと呼ぶに相応しいようにみえる。生存のためにぎりぎりの条件にあるカンポンも多い。スクオット(不法占拠)することによってできあがったカンポンも少なくない。しかし、それにも関わらず、カンポンは決してスクオッター・スラムではない。


 カンポンは地区によって極めて多様である。そして、それぞれが様々な人々からなる複合的な居住地でもある。カンポンは、民族や収入階層を異にする多様な人々からなる複合社会である。異質な人々が共存していく、そうした原理がそこにはある。

 日常生活はほとんどがその内部で完結しうる、そんな自律性がある。様々なものを消費するだけでなく、生産もする。ベッドタウンでは決してない。相互扶助のシステムが生活を支えている。つまり、居住地のモデルとして興味深いのである。

 カンポンは、ジャワの伝統的村落(デサ)の「共同体的」性格を何らかの形で引き継いでいる。ゴトン・ロヨンGotong Royong(相互扶助)、そしてルクンRukun(和合)は、ジャワ人最高の価値意識とされるのであるが、それはデサの伝統において形成されたものだ。そして、それは現在でも、カンポンの生活を支えているのである。その特性を以下にまとめよう。

 

    多様性

カンポンは極めて多様である。地区によって居住密度が異なり、居住者層も異なる。民族毎の棲み分けがなされ、それぞれに特有な性格をもつ。重要なのはどんな所得階層に対してもそれなりのカンポンが存在することである。

 

    複合性: 異質なものの共存原理

 カンポンに生活する人々は実に多様な人々である。民族的にも階層的にも異なった人々が複合的な社会をつくりあげてきた。複合社会、多民族社会であることがカンポンの大きな特性である。カンポンがそれぞれに多様であると同時に、カンポンそのものが多様な構成員から構成されているのである。住居の規模には同一のカンポンでもかなりの違いが見られる。すなわち、所得階層は多様である。また、カンポンの社会は他民族からなる複合社会である。異質な人々が共存するのがカンポンである。

 

    全体性:消費と生産の結合 職住近接

 住居が多様であるのみならず各種の店舗や工場など様々な機能をもった施設が含まれていることもカンポンの複合的特質である。職住近接、生産と消費が一体化した居住地がカンポンである。経済的な意味でカンポンが自律的であるわけではない。カンポンの経済生活は都心の機能に寄生することによってなりたっている。ただ、それぞれのカンポン共通にいえるのは、仕事場が極めて近いことだ。就業地は一キロとかせいぜい二キロ以内に収まってしまう。カンポンの生活圏はその意味で閉じているといっていい。歩く範囲で、せいぜいベチャを利用する範囲で、日常生活は完結しうるのである。仕事場に近いということは、カンポンの経済基盤そのものでもある。そもそも、仕事をもとめて集まった人々によって形成されたのがカンポンである。雇用の機会の多い都市に立地することでカンポンの経済生活は成立する。集まることにおいて仕事が生み出される。そして、その仕事を分かち合う。カンポンでつくったものはカンポンで消費される。一見そうした閉じた循環がカンポンの生活を支えている。

 

    高度サービス社会:屋台文化

カンポンには、ありとあらゆる物売りが訪れる。ロンボンrombong(屋台)とピクランpikulan(天秤棒)の世界である。カンポンに一日座っているだけで、日常生活に必要なものはほとんど手にいれることができる。実に高度なサービス社会である。カンポンの人々の生活が身近な圏域で閉じうるのは、こうした屋台を中心としたサービスのシステムがあるからである。




 カンポンの生活に学ぶべきことは多いが、そのひとつが廃物利用だ。例えば、玩具は全て廃物を利用してつくられる。写真フィルムのケースや塩化ビニールのパイプを組み合わせて笛がつくられる。古新聞紙など様々な廃棄物を実に見事に再生するのである。物も大事に使う。だから修理屋さんも多い。靴、鞄、傘の直し、鍋やかんの鋳掛け、自転車修理などだ。

 

    自立性:相互扶助組織

カンポンのコミュニティー組織は、ルクン・ワルガ(エル・ウェー RW:Rukun Warga 町内会)とその下位単位であるルクン・タタンガ(エル・テー RT Rukun Tetangga)からなる。RTは、通りgangを挟んで向き合う形でつくられるのが一般的である。各RTには、RT長(ketua)がいて成員の把握、町会費の収集などを行う。また、集会所の建設などに関わる事業部門、PKK(ピカカ)と呼ばれる婦人部(seksi wanita)、青年部(seksi pemuda)、葬儀を行う部門(seksi Kematian)などいくつかのセクションをもつ。ポス・ジャガ(見張り小屋)は、コミュニティーの安全保護に関する夜回り組織(seksi Keamanan)のためのスペースである。RT長を中心にカンポンの生活は運営されるのである。

 この町内会(RW)と隣組(RT)のシステムは、日本軍によって持ち込まれたと言われる。日本の町内会という全く異なった社会の仕組みが受け入れられたのは、それ以前のインドネシアにおける共同体組織の伝統と共鳴することにおいてである。

 ゴトン・ロヨンGotong Royongと呼ばれる相互扶助の精神と慣行はインドネシアの国是とされる。もともとはデサの慣行であるが、カンポンの生活を支えるのも、ゴトン・ロヨンの慣行である。

 最も一般的にみられるのが溝掃除である。特に、独立記念日(八月一七日)の直前の日曜日には、カンポン総出で溝や川がさらわれる。実に壮観である。まるでお祭り騒ぎである。少し大きな水路だといっせいに入って作業をするのである。また、道路を補修するのはゴトン・ロヨンである。MCK(共同浴場・便所)やバトミントン・コートをつくるのもそうだ。危険な箇所があれば共同で柵をつくる。要するに、カンポン全体に関わることはゴトン・ロヨンで行われるのである。

 

    固有性:伝統文化の保持

 カンポンには農村における生活様式がそのまま持ち込まれることが多い。また、伝統的文化も一般的に保持される。カンポンのお祭りではそれぞれの民族舞踊や音楽が演じられる。

 

    重層性:権利関係の複雑性

 カンポンの調査で一番わからないのが権利関係である。土地と住宅を借りるにしても何年契約なのか、だれから借りているのか、相当複雑である。所有しているのが、ハク・ミリクHak Milik、月単位の賃貸がセワsewa、年単位の賃貸がコントラクkontrakが一般的に区別されるが、二年契約、三年契約もあるし、寄宿となるとなにがなんだかわからない。権利関係の重層性はカンポンの大きな特性である。

カンポンの住民組織の自律性が高いのは、この権利関係の重層性にも理由がある。ディベロッパーやブローカーが手を出そうにも、カンポンの組織を通さなければどうしようもないからである。行政当局にとっても、固定資産税など徴税をする上でも権利関係の把握が困難なことは大きな問題であるが、投機行動には抵抗力となるのである。

 

2. カンポン・ハウジング・システム

 カンポンをめぐって興味深いのが、カンポン・インプルーブメント・プログラムKampung Improvement Programme(KIP)である。KIP(キップ)とは、フィジカルな居住環境整備の手法として、住宅地のインフラストラクチュアである歩車道、上下水道、ゴミ処理設備等、最小限の基盤整備を行い、住宅の改善については、居住者およびコミュニティーの相互扶助の活動に委ねるというものである。この手法は、大きな成果を挙げ、同じように居住問題に悩む発展途上国を中心に、世界的にも注目されてきた。

そのKIPの手法に学び、『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究』(1987年)において、カンポンの実態調査をもとに組み立てたカンポン・ハウジング・システムの基本理念は以下のようである。

 

 ①総合的アプローチ:Integrated Approach

 システムがシステムとして体系性、全体性をもつのは当然であるが、具体的なプロジェクトにおいても、常に全体性は意識されなければならない。ハウジングという、極めて複雑で広範な広がりをもつ領域は決して単一のシステムによって規定されるわけではない。ハウジングは予め諸システムの複合であり、その諸システムの統合システムがあるとすれば、それは個々の生活の全体性である。ここでカンポン・ハウジング・システムという時も、それは諸システムの重層したものとしてイメージされている。そして、計画的提案が可能なのは、ほとんどの場合、部分系のシステムである。常に全体性が意識されねばならないのは、それ故基本的なことである。

 強調されねばならないのは、フィジカルなシステムのみの提案は、それ自体で決して完結しないということである。それを支えるソフトなシステムが合わせて考えられる必要がある。また、それ以前に、生活の全体性が常に配慮されて、フィジカルなビルディング・システムも位置づけられる必要がある。総合的アプローチは、そうした意味でも欠かせない。

 しかし、総合化という課題は、机の上ではなし得ても、現実には極めて難しい。諸矛盾は、明らかに顕在化しない場合でも、潜在的には常に存在する。大きな問題は、多くの場合、そうした矛盾が社会的弱者に集中し、必ずしも拾い上げられないことである。計画の実施における諸矛盾は、究極的には、ダイナミックな計画-実践のプロセスにおいて解かれなければならない。そのためには、計画をフォローし、そのインパクトの評価を持続的に行うシステムが保証されなければならないだろう。

 

 ②主体としてのコミュニティー:Community Initiative

 カンポンのハウジング・システムを担う主体は、カンポンのコミュニティーである。これはある意味では自明のように考えられるのであるが必ずしもそうではない。ここでカンポン・ハウジング・システムという時には、住民のハウジング活動の全体を全体システムをイメージしているから、明らかにその主体は、カンポンの住民およびそのコミュニティー自身である。

 しかし、具体的なプロジェクトの計画主体、あるいは個々の住宅選択行動や住宅建設活動における主体とカンポンのコミュニティー組織との関係となると、コミュニティー組織が唯一の主体として考えられるかどうかには極めて大きな問題がある。

 カンポン・ハウジング・システムが一般的に問題となるのは、個別のカンポンだけではなく、全体としてカンポンのハウジングを問題する視点においてである。一般的には公的な主体、具体的には自治体と個々のカンポンのコミュニティーの関係が問題となる。カンポンのコミュニティーにおいて全てが解決されるわけではない。都市全体に関わる都市計画的な問題については明らかにそうである。どんなハウジング活動においても、公と私あるいはコミュニティーとの関係が存在するのだ。

 カンポン・ハウジング・システムを具体化する個々のプロジェクトにおける計画主体も、KIPと同様、様々なケースが考えられよう。しかし、どんな場合も、コミュニティー組織を無視してはあり得ない。今のところ、住宅の供給システムや生産システムも、カンポンのコミュニティーによってコントロールされており、その意味でもベースとなるのはカンポンのコミュニティーである。また、システムを維持し、プログラムの全体性を保証するのはカンポンのコミュニティーであるという本質的な意味で、カンポン・ハウジング・システムを担うのはコミュニティーそれ自身である。

 

 ③参加:Participation

 カンポン・ハウジング・システムを最終的に担うのがカンポンのコミュニティーそれ自身であることが基本であるとすれば、他の主体によって発案されるプロジェクトにおける住民の参加は不可欠である。

 それは、KIPにおいて参加の度合が強ければ強い程、居住環境が良好に維持されるという決定的な一点においても支持さるべきであろう。また、参加が不可欠なのは、カンポンのコミュニティーのもつ調整機能が他にかえがたいという点もある。KIPの実施にあたって権利関係の調整を中心として、合意形成に大きな役割を果たしてきたのは、カンポンのコミュニティーである。また、場合によっては、施工の監理まで担う能力を持っているのである。カンポンのハウジング計画にとっても、参加は大きな前提である。

 参加という概念をめぐっては、広範な議論があるのであるが、第一には、計画の全体性の問題として位置づけることができる。計画の策定にあたって、生活の様々な局面から、いくつかの概念や原理、システムが引き出される。計画のためには、そうした概念化や抽象化は不可避である。そして、引き出された概念や原理は、どんな場合でも生活そのものの現実とは別の物であり、多くの場合、その変形である。参加は、少なくとも、引き出された概念や原理の妥当性や現実とのずれを確認する上で要請されるのである。 しかし、参加の問題は、単に計画主体の側からの手続きの問題ではない。手続きとしての参加であれば、全体性は保証されるわけではない。計画は具体的なプロジェクトとして現実へ投げ返されることにおいて意味をもつのであり、その時の全体性を受けとめる主体の参加が不可欠なのである。

 

 ④段階的アプローチ:Step by Step Approach

 参加を前提とする場合、計画は必ずしも計画化されない。スケジュール化された参加は、形式としての参加であって、ここでいう参加ではない。計画は、参加を不可欠のものとして取り入れることにおいて、アンヴィヴァレントな色彩を帯びる。

 参加を前提とするということは、計画そのものが非決定の部分をもつということである。非決定の部分を含むということは、フレキシビリティーをもった計画論であり、ダイナミック(動態的)な計画論である必要がある。その確立のためには、段階的なアプローチが不可欠である。

 まず、第一に、プロセスにおけるステップ、ステップがはっきりと保証されることが計画において必要である。ステップ、ステップを保証することは、必ずしも時間的な問題ではないのであるが、合意形成のために時間がかかることは現実的な条件とされねばならない。動態的計画論にとっては、そうした時間を前提としない計画は、無効と言えるであろう。

 

 ⑤スモール・スケール・プロジェクト:Small Scale Project

 段階的アプローチの前提となるのは、プロジェクトの規模が小規模であるということである。また、小規模性は、カンポンのハウジング・システムにとって、様々な理由から要請される。

 まず第一に、カンポンの居住者の生活構造を大きく変えないことが基本であり、大規模プロジェクトはなじまないということが挙げられる。また第二に、プログラムの合意形成にとって、小規模なプロジェクトの方がはるかに容易であるということが挙げられる。さらに第三に、極めて高密度なカンポンの再開発を行う場合、プログラムの実施期間中の仮住宅のための用地やころがし方式のための種地が必要とされるが、大規模になるとそうした用地を確保することが困難となることが挙げられる。そして第四に、事業費の調達といった財政的な面からも、小規模なプロジェクトであることは支持される。また第五に、ハウジングの技術に関する限り、必ずしも巨大な技術は必要とされないということも挙げられる。

 

 ⑥自力建設・相互扶助によるハウジング:Self Build, Housing by Mutual aid

 参加の問題とも大きく関係するのであるが、ハウジング計画の実施、具体的な住宅建設において、自力建設あるいは相互扶助による建設が基本とされる。発展途上地域において、そうした方法はむしろ一般的に追求されている。

 自力建設あるいは相互扶助による住宅建設が極めて広範に行われつつある背景には、極めて現実的な理由がある。居住問題に対する公的な対応策としての直接的な住宅供給には、財政的に大きな限界があり、居住者の自助に期待せざるを得ないという理由である。また、人的資源を有効利用するという積極的な位置づけもなされている。

 こうした公的機関による自助建設あるいは相互扶助によるハウジングに対する批判は根強い。公的機関はその責任を放棄し、負担を居住者に押しつけているという批判である。また、自力建設によるハウジングは、現実の諸矛盾を覆い隠し、それを強いる社会構造を補完するものでしかないという批判である。そうした側面は確かに存在している。しかし、現実には、それがベースとならざるを得ないという事実は変わらない。また、そのポジティブな側面を評価する必要もある。自力建設あるいは相互扶助によるハウジングは、むしろ伝統に根ざした方法である。フィリピンのバヤニハン(Bayanihan)のように、インドネシアのゴトン・ロヨンだけでなく、相互扶助の精神や活動が都市において生き続けているのは、発展途上地域の大都市において共通である。それをベースとするのはむしろ自然なのである。

 その基本理念は、カンポン・ハウジング・システムを担う主体がコミュニティーであるという基本理念と密接に関わる。自力建設、相互扶助によるハウジングは、コミュニティーの能力、責任、創造性にその基礎を置くということである。自発的な創意工夫によって、多様なハウジングが展開されるために、居住者自らの手による住宅建設活動は基本とされていいのである。

 

 ⑦地域の生態系に基づくハウジング・システム :Housing System based on Eco-System 

  産業化以前の社会においては、地域毎に固有な住居・集落の構成原理、ハウジング・システムがそれぞれの生態系に即して多様に存在していたのであるが、カンポンのハウジング・システムを考える上で、そうしたあり方は一つの理念とされる。もちろん、産業化以前の仕組みがそのままモデルとなるということではない。産業化、都市化の波をかぶることにおいて、その仕組みは全く異なったものとなる。

 しかし、地域地域における固有な価値や原理に基づいたハウジング・システムが多様に生み出されるような方法は基本理念とされる必要がある。カンポンの固有な特質、それを保持するカンポンのコミュニティーをベースとするという理念は、そうした理念と密接に関わっている。

 また、大きな柱とされるべきは、地域産材の利用といった理念である。ローカルな建設材料の利用や開発といった視点は、資源の有効利用といった観点からも要請される筈である。地域産材のあり方は、大きく地域の自然生態系によって規定されている。そうした意味で、地域の生態系のあり方は、カンポン・ハウジング・システムを考える上での大きな手掛りである。また、一般的に、地域の気候や自然は、住まいのあり方に密接に関わる。そうした意味では、自然環境や生態系への適応のかたちを様々に蓄積している、伝統的な住居のあり方は大きな手掛りである。

 

 ⑧適正技術によるハウジング:Appropriate technology for Housing

 住宅建設に関する技術として、必ずしも高度な、巨大な資本や組織を必要とする技術が要請されるわけではない。カンポンのハウジング・システムを支える建設技術は、それに見合った適正なものである必要がある。そこでイメージされるのは、いわゆる中間技術(Intermediate Techno-logy)、代替技術(Alternative Technology)、適正技術(Appropriate Technology)と呼ばれる技術のあり方である。

 例えば、プレファブ住宅の工場を供与するといった援助や、先進諸国の技術をストレートに移転することがよく行われるのであるが、ほとんどの場合、混乱を引き起こすだけである。一般的に資本集約型の技術ではなく労働集約型の技術でなければ、すなわち多くの労働力を吸収する形でなければ受入れられないのが発展途上地域の現状である。

 住宅の生産技術のあり方も社会(産業)構造のあり方によって異なる。それぞれの社会のあり方に即したシステムが考えられる必要がある。カンポンの住宅供給や住宅生産のあり方をベースとした上で、建設技術のあり方が提案されねばならないのである。インドネシアの場合、一般の住宅生産システムは未確立といっていい。また、民間企業による供給も限定されている。カンポン・ハウジング・システムの確立と住宅生産システムの確立はある意味ではパラレルである。カンポン・ハウジング・システムを具体化するプロジェクトが積み重ねられる中で、適正な技術が選択され、一定の住宅生産システムとして根づいていくことが目指されていると言えるであろう。

 

 ⑨プロセスとしてのハウジング:Housing as a Process

  ハウジングは、ダイナミックなプロセスであって決してスタティックなものではない。住居そのものも、決して固定的なものではない。家族の成長や変化に応じて、それは変わっていくのが自然である。あるいは住居が生活様式と合わなくなれば、住替えられていくのが自然である。徐々に増改築が繰り返されて変わっていく、カンポンの住居の変容プロセスは、まさにハウジングがプロセスそのものであることを示している。


 カンポン・ハウジング・システムは、そうしたプロセスとしてのハウジングを許容するものでなければならないであろう。プロセスとしてのハウジングを許容するためには、フィジカルには、ビルディング・システムが問題となる。フレキシビリティーをもったビルディング・システムによってハウジング・プロセスに対応する考え方が一つある。また、ハウジング・プロセスの各段階に応じて、一定の住居形式をある割合で用意して、住替えのシステムによって対応しようという考え方もある。基本的には、カンポンの住居の更新プロセスを個々が展開しうることが前提とされるべきであろう。

 

 ⑩多様性の許容:Variety of Space

 カンポンの生活構造を大きく変えないこと、そのコミュニティーをベースとすることは、多様性をどのようにハウジング・システムに取り入れるかというテーマと結びつく。均質なコミュニティーではなく、多様な階層が共存するコミュニティーであるカンポンの特質は、カンポン・ハウジング・システムにおいても前提である。

 日本のニュータウンや計画住宅地がそうであったように、ある特定の階層に限定された居住地は、コミュニティーのあり方としてはむしろ不自然である。多様な層が共存するかたちのハウジング計画の手法は、日本においても求められていると言えるであろう。

 カンポンの特質としての多様性は、単に居住者層が多様であるということだけではない。様々な生産機能をもつところにもカンポンの特質がある。具体的なプロジェクトにおいては、そのためのスペースや施設が有機的に配される必要がある。多様性を許容するためには、少なくとも多様な空間が用意されていることが前提である。様々な住居タイプが必要とされる。また、フレキシビリティーをもって多様に使われる空間も必要であろう。

 

3. ルーマー・ススン・モデル Rumah Susun Model

 カンポン・ハウジング・システムの基本理念は理念として、具体的な空間の形式をどう考えるかが大きなテーマとなる。

カンポンにはカンポンの住居形式がある。また、その形式にはいくつかの類型がある。そして、その住居形式の形成については一定のルールが見られる。すなわち、各住居類型はお互い関連がある。

カンポン住居の標準型、そして、その類型、また、その更新プロセスについては『カンポンの世界』[2]に譲りたい。

問題は、カンポンの住居形式が今後も有効かどうかである。特に、世界史的に経験したことのない巨大都市の住居モデルとして、カンポン住居が相応しいかどうかである。

そこでひとつの集合住宅のモデルが考案され、実際に建設された。ルーマー・ススン・デュパッ、続いてルーマー・ススン・ソンボである。インドネシア語で、ルーマーは家、ススンは積み重なった、という意味である。すなわち、積層住宅、ということだ。ルーマー・ススンを縮めてルスンRusunという言葉が定着しつつある。カンポンが次第に建詰まり、二階建て、三階建ての住居が増えていく中で、立体的な住居のプロトタイプが必要となる、要するに、集合住宅モデルをどう考えるかが、問題なのである。

 インドネシアで1960年代末から70年代にかけて行われてきたKIPは、1980年代には、大都市のほぼ全域をカヴァーするに至った。それに伴い、高密度の都心部カンポンの再開発が大きな課題となり、いくつかのプロジェクトが実施された。その最初期のプロジェクトがジャカルタのクボン・カチャン Kubon Kacang のプロジェクトである[3]。しかし、このプロジェクトは多くの問題を露呈するものであった。最大の問題は、カンポンの従前居住者が移住を余儀なくされたことである。また、カンポンでの生活を許容しない空間形式が採用されたことである[4]

 それに対して、基本的にカンポンの従前居住者が居住することを前提とし、カンポンの生活様式がそのまま展開できることを理念として計画されたのが、スラバヤのデュパッデDupak団地であり、ソンボSombo団地であった[5]

 ソンボ・プロジェクトは、従前住居の居住環境調査から地元住民との交渉、全体計画、スケルトンの設計に至るまで、スラバヤ工科大学(ITS)のJ.シラス[6]教授が中心となって行ったプロジェクトである。都市型住宅のモデルとして見れば、一連のプロセスおよびその基本理念には多くのことを学ぶことができる。また、インドネシアに限らず他の発展途上地域に対しても多くの示唆を含んでいる。

 ソンボ団地はスラバヤ市の北部クルラハン[7]・ソンボに立地する。敷地面積1.74haAK棟の合計10の住棟と小学校、モスク、広場(D棟建設予定地だった)からなる。JK棟は遅れて建設され、調査時には未入居であった。各棟は4階建ての鉄筋コンクリート造で、各平均75戸全体で750戸が計画戸数である。計画主体はスラバヤ市土地住宅局 Dinas Tanah Dan Rumah dan Masyarakat で、スラバヤ工科大学がそれを支援する形がとられた。建設費用の分担は、中央政府25%、州政府15%、スラバヤ市55%、民間5%である。


 住棟内の共用空間は、各棟でそれぞれ違った形をしているが、共用中廊下は全体に39mの幅で変化しながらアルコーブをつくり、住戸部分に比べて面積的にかなり広めの設計になっている。共用空間の両端は吹きさらしのテラスになっており、中廊下に面していくつかの共用の設備が設けられている。どの住棟にも各階の中廊下の真ん中部分に入口を開くかたちで、共用(2戸に1つ)のカマル・マンディ kamar mandi(トイレ・シャワー室)とダプール dapur(台所)がある。また位置は棟ごとに違うが、ムショラ mushola(イスラーム教の礼拝室)も各階に1つづつ設けられている。

 各戸は3mx6m18㎡に3mx1.5mのヴェランダが設けられている。11階の住戸のみは1.5mx1.5mのテラスとカマル・マンディが設けられている。家賃は月Rp2500*10で居住者には永久賃借権が与えられている。ソンボ・プロジェクトに先立って、デュパック・プロジェクト(敷地面積約2000 3階建て6棟、全150戸)が実施されている。基本的に同じ理念であるが、ダポールが各戸に区切られていないこと、1階にワルン(店舗)等が別個に用いられていたことなど設計は異なっている。デュパックの経験を踏まえて計画がなされている。

 ソンボ団地の建設は5期に分けて行われ、順次入居する形が採られた。1期(AE棟)が着工したのは19898月、完成したのは19949月である。

 入居住戸の決定は抽選で行われたが、住民相互の調整(交換)は自由であった。また、従前に建て替える必要のない住居を所有していた世帯には優先的選択権が与えられた。従前住宅の規模に応じて住戸ユニット(18㎡)が与えられ、最低1/2ユニット(9㎡)の世帯から最大7ユニットまでの幅があった。G棟を例にとると、2ユニットを使用するのが、住戸番号1021031111122世帯、3ユニットを使用するのが1081091101161171182世帯、1/2ユニットと11/2のユニットが3013022世帯が分け合う以外は1ユニットである。基本的には1ユニットが割当てられている。内装(インフィル)は居住者に委ねられる。二段階供給方式である。

プロジェクトの特徴を一言で言えば、共用スペースが主体になっているところにある。具体的に、リビングが共用である、厨房が共用である、カマール・マンディ(バス・トイレ)が共用である。もう少し、正確に言うと、通常の通路や廊下に当たるスペースがリッチにとられている。礼拝スペースが各階に設けられている。厨房は、各戸毎に区切られたものが一箇所にまとめられている。カマール・マンディは二戸で一個を利用するかたちでまとめられている。まとめた共用部分をできるだけオープンにし、通風をとる。




 設計理念はコアハウスの理念に近い。立体コアハウス、マルチプル・コアハウスである。コアハウスが立体化している、という意味である。コアハウスとは、サイタン・サーヴィス・sites and servicesプロジェクトでよく用いられるが、スケルトンと水回りのついた一室程度のみを供給し、内装、増築を居住者に委ねるというものである。あるいは、共用部分を最大限持つという意味では、インドネシア版のコレクティブ・ハウスと呼んでもいいかもしれない。

J.シラスは、マルチ・ディメンジョナル・ハウジングという。シェルターだけつくっても仕方がない、経済的な支えもなければならないし、コミュニティの質も維持されなければならない。マルチ・ディメンジョナル・ハウジングというのは、経済的、社会的、文化的、あらゆる次元を含み込んだハウジングという意味である。

  デュパッやソンボを訪れてみると随分活気がある。コモンのリビングというか廊下がまるで通りのようなのである。そこに、カキ・リマ(屋台)ができ、作業場ができ、人だかりができるからである。二階であろうと三階であろうと、すぐにトコ(店舗)もできる。カンポンの生活そのままである。カンポンでの生活を展開できるそうした空間、そして仕組みを創り出すこと、そのモデルはカンポンである。というのがJ.シラスの持論である。従って、カンポン・ススン(カスン)とも呼ばれる。

 RT(隣組)が基本になって棟が構成される。あるいは、棟がコミュニティの単位となる。各層にコミュニティの核としてのムショラ(礼拝室)が置かれる。また、集会あるいは結婚式などの祭礼が行える広さをもった共用空間が置かれる。ダポール(台所)、カマール・マンディ(浴室・トイレ)は1ヶ所にまとめられ、共用空間に置かれる。施設を共用することによって、共用空間の広さを確保している。共用空間では、商業活動、生産活動が認められている。職住近接が基本とされる。また、様々なアクティビティがコミュニティのルールの範囲で認められている。共用空間は、基本的には屋内街路の性格ももっている。住戸は単純なユニットの組み合わせによって構成されている。住戸の内装は居住者のセルフ・エイドによる。供給方式としては二段階供給方式である。

 このソンボをモデルとするルーマー・ススンは、その後、ジャカルタのプロガドンやクマヨラン・プロジェクトでも用いられることになった。ソンボの設計理念の評価と各地域におけるさらなる展開が目指すところである。

 

4. スラバヤ・エコ/ハウス

こうしてインドネシアのスラバヤで、ひとつのモデル集合住宅の建設が先進的に試みられたのであるが、その後、さらなる展開の機会を得ることになる。きっかけは、PLEAPassive and Low Energy Architecture)の釧路会議であった。パネルディスカッションに出席して、「暑いところの方がモデルが必要じゃないか」と発言したところ、「そんならやってみろ」、ということになったのである。

具体的には、建設省(当時)から社団法人国際建設技術協会に委託された「途上国建設技術開発促進事業」を実施することになる。仕掛け人は、PLEAの日本代表である小玉祐一郎(神戸芸術工科大学)である。プロジェクト名は、「パッシブソーラーシステム技術の試験施工の実施」である。インドネシア共和国を相手国として、カウンターパートとして僕の長年の共同研究者であるJ.シラス教授の主導するスラバヤ工科大学Institute of Technology Sepuluh Nopember(ITS)が選ばれた。

プロジェクトの当初の構想はおよそ以下のようであった。

() 1995年度 ①資料収集、整理・国内のソーラーシステムに関する資料を収集、整理する。②試験施工技術内容の選定・ソーラーシステムの適用可能な対象建築物を検討する。・国内のソーラーシステムの中から対象建築物に導入可能な技術を想定し、試験施工建物の概念設計を行う。③事業実施体制の検討・相手国政府の関係機関に対し事業内容を説明し協力を依頼する。・相手国の学識経験者に試験施工設計に対し協力を依頼する。・事業実施体制案を作成する。

() 1996年度 ①事前調査および設計 インドネシアの既存建築技術の中からパッシブソーラーの範疇に属する技術を抽出すると共に、我が国のパッシブソーラーシステムがインドネシアにおいてどのように適用可能かを検討し、実験施設の設計をする。②実験施設の建設 パッシブソーラーシステムを導入した実験施設を建設する。

(3) 1997年度 ① モニタリングおよび評価 実験施設のモニタリングを行い、インドネシアにおけるパッシブ・ソーラーシステムの有効性を評価し、発展途上国における有効性を分析する。②パンフレットの作成。

 基本設計の前提としたのは、ルーマー・ススン・ソンボである。すなわち、集合住宅のモデルとすることが前提である。共用スペースを囲む個室群という構成がすぐさま浮かんだ。また、以下のようないくつかの基本コンセプトが提案された。



 ①パッシブクーリング:冷房なしで居住性向上(ミニマム熱取得+マキシマム放熱)

 ②ストック型工法:長寿命(スケルトン・インフィル分離)、リニューアブル材料、リサイクル材料、地域産材利用

 ③創エネルギー:自立志向型システム、PV(太陽電池)活用(循環ポンプ、ファン、共用電力他)

 ④水処理システム:補助的ソーラー給湯

 ⑤ごみ処理:コンポスト

もちろん、様々な現実的制約があるから何でも出来るわけではない。④、⑤などは実現しない。

結果として、実験住宅の設計提案に取り上げることができたのは以下のような技術である。

a 屋根をダブルルーフとし排熱効果を促進。

b ココナツの繊維の断熱材利用。

c 屋根に通風と採光を考慮したガラスルーバーを設置。

d 軒の出を大きく取り、直射日光による外壁の受熱量を軽減。

e 輻射冷房として居室の壁面に水循環パイプを設置。

f 共用空間、吹き抜けによる水平、垂直方向の通風確保。

g 2階外壁を木造とし、排熱効果を促進。1階はRCラーメン構造にし、レンガブロック壁で遮熱・蓄冷効果を促進。

 基本的には熱を遮断して通風を採るという当たり前の設計である。大掛かりな提案は⑤くらいであろうか。ソーラー・バッテリーでポンプを稼働し、井戸水の循環によって輻射冷房を行うのである。これは当初うまくいかなかった。井戸水の温度が28℃(年平均気温)もあるのである。もう少し温度を下げて循環する必要がある。日陰に池を掘り、気化熱利用で2℃ばかり下げるアイディアが追加された。ココナツの繊維利用はグラスウール並みの断熱性能があり大成功であった。ココナツはインドネシアではほぼ無限の材料である。他に、風力発電や半地下にして夜間冷気を蓄冷しようというアイディアもあったが建設費の都合で断念せざるを得なかった。

 

5. アジアの都市組織

カンポン・ハウジング・システムおよびルスン・モデルの提案と平行して、アジア各都市の都市組織(urban tissue)の研究を展開してきた。

まず、格子状(グリッド)パターンの都市に焦点を当て(チャクラヌガラ(インドネシア))、続いてヒンドゥー都市(ジャイプル(インド)、バクタプル、パタン(ネパール))とイスラーム都市(ラホール、アーメダバード、デリー)の街区構成の差異をテーマとしてきた。また、東アジアの都市(北京、台北)についても都市住居と街区組織を問題にしてきた。それぞれの地域に、それぞれの都市型住宅が成立していることを明らかにすることが研究の大きなベースになっている。また、近年展開した田園都市計画思想に関する研究は、ますます、アジアの諸都市のそれぞれに応じた独自の居住地モデルの必要性を痛感させることになった。

これまでにまとめた論文を都市毎にあげると以下のようである。

 

チャクラヌガラCakranegara

     布野修司,脇田祥尚(島根女子短期大学),牧紀男(京都大学),青井哲人(神戸芸術工科大学),山本直彦(京都大学):チャクラヌガラ(インドネシア・ロンボク島)の街区構成:チャクラヌガラの空間構成に関する研究 その1,日本建築学会計画系論文集,491,p135-139,19971

     布野修司,脇田祥尚(島根女子短期大学),牧紀男(京都大学),青井哲人(神戸芸術工科大学),山本直彦(京都大学):チャクラヌガラ(インドネシア・ロンボク島)の祭祀組織と住民組織 チャクラヌガラの空間構成に関する研究その2,日本建築学会計画系論文集,503,p151-156,19981


ジャイプルJaipur

     布野修司,山本直彦(京都大学),黄蘭翔(台湾中央研究院),山根周(滋賀県立大学),荒仁(三菱総合研究所),渡辺菊真(京都大学):ジャイプルの街路体系と街区構成-インド調査局作製の都市地図(1925-28)の分析その1,日本建築学会計画系論文集,499,p113~119,19979

     布野修司,山本直彦(京都大学),黄蘭翔(台湾中央研究院),山根周(滋賀県立大学),荒仁(三菱総合研究所),渡辺菊真(京都大学) 沼田典久(京都大学):ジャイプルの住居類型と住区構成ーインド調査局作製の都市地図(1925-28)の分析その2,508,p121~127,19986

     布野修司,黄蘭翔(台湾中央研究院),山根周(滋賀県立大学),山本直彦(京都大学),渡辺菊真(京都大学) :ジャイプルの街区とその変容に関する考察ーインド調査局作製の都市地図(1925-28)の分析その3, 日本建築学会計画系論文集, 539,p119-127,20011


カトマンドゥKathmandu Valley

     Mohan PANT(京都大学),布野修司:Spatial Structure of a Buddhist Monastery Quarter of the City of Patan, Kathmandu Valley,日本建築学会計画系論文集,513,p183~189,199811

     黒川賢一(竹中工務店),布野修司,モハン・パント(京都大学),横井健(国際技能振興財団):ハディガオン(カトマンズ,ネパール)の空間構成 聖なる施設の分布と祭祀,日本建築学会計画系論文集,514,155-162p,199812

     黒川賢一(竹中工務店),布野修司,モハン・パント(京都大学),横井健(国際技能振興財団):ハディガオン(カトマンズ・ネパール)の空間構成 その2 住居、ダルマサール、辻と住区構成,日本建築学会計画系論文集,526,p191-199,199911


     Mohan PANT(京都大学),布野修司:Social-Spatial Structure of the Jyapu Community Quarters of the City of Patan, Kathmandu Valley, カトマンドゥ盆地・パタンのジャプ居住地区:ドゥパトートルの社会空間構造 ,日本建築学会計画系論文集,527, p177-184, 20001

     Mohan PANT(京都大学),布野修司:Ancestral Shrine and the Structure of Kathmandu Valley Towns-The Case of Thimi, カトマンドゥ盆地の町ーティミの空間構成と霊廟に関する研究 ,日本建築学会計画系論文集,540, p197-204, 2001530日年2

     Mohan PANT(京都大学),布野修司:Analysis of Settlement Clusters and the Development of the Town of Thimi, Kathmandu Valley  カトマンドゥ盆地のティミの街区組織の段階構成に関する研究 ,日本建築学会計画系論文集,543, p177-185, 20015

  ラホールLahore

     山根周(滋賀県立大学),布野修司,荒仁(三菱総研),沼田典久(久米設計),長村英俊(INA):モハッラ,クーチャ,ガリ,カトラの空間構成ーラホール旧市街の都市構成に関する研究 その1,513,p227~234, 199811

     山根周(滋賀県立大学),布野修司,荒仁(三菱総研),沼田典久(久米設計),長村英俊(INA):ラホールにおける伝統的都市住居の構成:ラホール旧市街の都市構成に関する研究 その2,日本建築学会計画系論文集,521,p219226 ,19997


アーメダバードAhmedabad

     根上英志(京都大学),山根周,沼田典久,布野修司:マネク・チョウク地区(アーメダバード、グジャラート、インド)における都市住居の空間構成と街区構成,日本建築学会計画系論文集,535, p75-82, 20009

     山根周(滋賀県立大学),沼田典久,布野修司,根上英志:アーメダバード旧市街(グジャラート、インド)における街区空間の構成,日本建築学会計画系論文集,538, p141-148, 200012


 バンコクBangkok

     布野修司,田中麻里(京都大学):バンコクにおける建設労働者のための仮設居住地の実態と環境整備のあり方に関する研究,日本建築学会計画系論文集,483,p101-109,1996.05

     田中麻里(群馬大学),布野修司,赤澤明,小林正美:トゥンソンホン計画住宅地(バンコク)におけるコアハウスの増改築プロセスに関する考察,日本建築学会計画系論文集,512,p93-99,199810

     田中麻里(群馬大学),布野修司:住宅供給の変遷からみたバンコクの都市住宅類型Urban Housing Types based on Housing Supply in Bangkok,日本建築学会計画系論文集,548, pp. 237-242, 200110

ヴィガンVigan

     山口潔子、布野修司、安藤正雄、脇田祥尚、柳沢究: ヴィガン(イロコス、フィリピン)の街区構成に関する考察、Block Formation in Vigan, Ilocos, the,日本建築学会計画系論文集,553, pp, 20023


台湾

     闕銘宗(京都大学),布野修司,田中禎彦(文化庁):新店市広興里の集落構成と寺廟の祭祀圏,日本建築学会計画系論文集,521,p175181,19997

     闕銘宗(京都大学),布野修司,田中禎彦(文化庁):台北市の寺廟、神壇の類型とその分布に関する考察,日本建築学会計画系論文集,526,p185-192,199912

     闕銘宗(京都大学),布野修司:寺廟、神壇の組織形態と都市コミュニティー:台北市東門地区を事例として,日本建築学会計画系論文集,537, 219-225,200011


  北京

     トウイ(京都大学),布野修司:北京内城朝陽門地区の街区構成とその変化に関する研究,日本建築学会計画系論文集,526,p175-183,199912

     トウイ(神戸大学),布野修司,重村力:乾隆京城全図にみる北京内城の街区構成と宅地分割に関する考察,日本建築学会計画系論文集,536,p163-170, 200010


  京都

     竹内泰(三菱地所),布野修司:「京都の地蔵の配置に関する研究」,日本建築学会計画系論文集,520,263-270p,19996

     正岡みわ子(京都大学)),丹羽大介,布野修司:京都山鉾町における祇園祭と建築生産組織,日本建築学会計画系論文集,535, p209-214, 20009

     渡辺菊眞(京都大学),布野修司:「鳥辺野」(京都阿弥陀ケ峰山麓)の空間的特質に関する考察 A Consideration on Spatial Quality of Toribeno Area (Mountainside of MtAmidagamine) in Kyoto,日本建築学会計画系論文集,543, p187-194, 20015

  個々の都市の都市組織と都市住居の型については以上の論考に譲りたい。ジャイプルのハヴェリ、台湾の透天などそれぞれに興味深い型がある。

 

西欧にモデルを求めるのではなく、アジアにもある多様な都市住居の伝統を明らかにし、その基礎の上に新たなモデルを構築するのが現在の最大の関心である。

まず、どのような立地で、どのような住居類型を開発すべきかを明らかにしたい。インドネシアのカンポンについては既にかなりのスタディを積んで来た、という自負がある。第一に、東南アジアの諸都市を対象としてモデル住宅地を選定したい。中高層モデル、低層モデルのそれぞれについて、各都市に具体的な敷地を設定し、住宅地計画、住戸計画を立案する。マレーシアには、ケン・ヤングによる高層のモデルがある。また、実現していないがインドの建築家チャールズ・コレアによる中層モデルがある。東南アジア各地に見られるショップハウスの建ち並ぶ居住地モデルも検討したい。各都市ごとに居住地モデルを検討するのが第一段階である。続いて、それぞれの都市について、利用可能な「環境共生」技術を収集検討し、体系化を計りたい。地域の生態系に基づいて建設されてきた住居の技術の集大成を基礎とし、現代的に利用可能な素材、技術を明らかにすることが目指される。最終的には実践が必要である。機会を捉えてモデル設計が可能であればと思う。最も実現性が高く、影響力が想定できるケースについて実験住宅を建設し、具体化の道をさぐりたい。

「スラバヤ・エコ・ハウス」という極めて具体的な実験住宅を建設した経験を住宅地レヴェルに展開したい。アジアの各大都市で求められているのは、生態学的に自立循環する単位としての居住地モデルである。

 

 


Urban Housing in Asia

Research on Community Model of Metropolis in Developing Regions (Humid Tropics)

 

 

Shuji Funo

 

 

 

 

 

 

 

Introduction

Human settlements of developing regions have drawn my attention for the past twenty years. The major focus has been on the large cities of South and Southeast Asia, and how and what we design as the model of urban dwelling unit that functions favorably to the local climate has been the primary theme in my research of Housing studies of this region.

Now, at the very beginning of 21st century, we are deeply aware of the global environmental issues that are becoming more and more acute by the passing of time. One of the major focuses related to the environmental issues is on the approach to the solution of housing problem in developing regions. The problem of world population, food supply, energy consumption and other resources related to the global environmental crisis are more critical in developing countries, i.e. in the regions of Asia, Africa and Latin Africa than in the developed countries, because the population growth will occur mainly in the tropical regions. Finding the right solution to the problem of housing will continue to be the primary task in the field of urban and regional planning.

The particular aspect related to the environmental issue in the housing development is that air conditioning technologies are gradually being introduced in the torrid zones. The problems that will accompany this development is that when every house will be equipped with air conditioning machine, we will then soon run on a rock that will capsize the boat of environmental balance.

The answer to this problem is straight and simple—that saving of the energy consumption is our common and immediate task. For this we need certain model of dwelling as well as that of the settlement that responses favorably to the local environmental conditions.

The first outcome in this direction of my search is the doctoral dissertation titled “A Study on The Transitional Process of Kampung and The Evaluation of Kampung Improvement Program: Considerations on The Methodology of Housing Strategies”(1987, AIJ Prize 1991). The dissertation was a study on the kampung neighborhoods of Surabaya city, Indonesia. Following the analysis and recommendations of the thesis, ‘Rumah Susun’ model was proposed and implemented by Prof. Johan Silas (ITS, Indonesia). This model of a collective house where living room, bathroom and toilet are shared in common by the residents has attracted a great deal of public attention, and Prof. J. Silas was invited to Jakarta to design a project based on the same concept of ‘Rumah Susun’. And I later did have the opportunity to design and work on the project known as ‘Surabaya Eco house’-- a Model for the multistory flats based on passive environmental technology.

In the past recent years, I have extended the area of concern in the development of the model settlement that draws on the above experiences. Within a dwelling, it is possible to build the cool and airy living environment without the employment of energy consuming machine. On the other hand, the form of human settlements that fit the local conditions has been created in traditional cultures in all the regions of the world. Instances are there from our own field works on urban tissues of Lahore, Ahmedabad, Delhi, Jaipur, Kathumandu Valley, Taiwan, Beijing and so on.

In the process of planning of Surabaya Eco house, I was often condemned by being said “Why you compel low technologies to developing countries? You should first stop in using air conditioning system in your own house and workplaces”. Severe criticism is necessary to get to a new solution of the old problem. It is needless to say that developing a model settlement responsive to the environment is the same urgent task in Japan too. However, research works on model settlements based on the premises of ecological balance are few in Japan not to talk of the modern built environments. The models of western countries are still held in respect with the neglect of the diversities that are found in the vernacular environments. In this paper, reflecting on my past experiences, I will give a brief introduction of both the research works and experimental projects that give considerations on the existing community structure and housing development works of the tropical regions of the developing countries.  

 

1. Kampung as a Model of Urban Community

Kampung in Indonesian means village or country. In earlier times, an administrative unit of village was called ‘desa’, while kampung is a more generally used term in present times. It is one unique feature of Indonesia that urban settlements are also called kampungs. It is often said that human settlements in developing regions continue to preserve the characteristics of rural village, and such a concept applies to kampungs. It is well known that the term ‘compound’ in English is derived from kampung, which originally indicated the quarter occupied by the same ethnic group in Batavia and Malacca. Englishmen later began to use the word to indicate the enclosed quarter in India and then afterwards in Africa as well.

Most of the kampungs are now in poor condition physically and economically, but are not necessarily poor socially. It should be emphasized that kampung is not a slum. Kampung shows a different appearance from the urban settlements in western cities. Destruction of social structure and crimes are rarely seen in the kampung. It is also not a discriminated settlement but a community that has its own social system and values. Kampung as an urban settlement has its special characteristics as an autonomous community model, which can be outlined as follows:

 

(1) Varieties of Kampungs:

Each kampung has its own characteristics, which varies with its location, constitution of income groups, migratory backgrounds of inhabitants, history, spatial pattern and so on. As there are certain difficulties to make a generalization on Kampung, we classify kampungs at least into three categories: urban kampung, fringe kampung, and rural kampung, which are made according to their location. Urban kampungs are scattered widely in the city.

It is very important that distribution of various kampungs provide alternatives for the people to choose a place to live. Even the poorest income group can find some kampungs to live in. As John Silas points out, variety of kampungs is only a solution to the housing problems at the moment.

Residential areas in Japan, in contrast to kampungs are rather monotonous and homogeneous everywhere and are losing their localities and identities.

 

(2) Heterogeneity:

Kampung is not a homogeneous community.  Rich people use to live next to the poor people.  Complexity of inhabitants is one of the characteristics of kampung. It is generally found that people from the same region tend to live in the same area, but relationships between different groups are naturally not of exclusion. It should be noticed that rich people support the life of the poor even in the poorest kampung.

 

(3) Kampung as an Autonomous World:    

Kampung is not only a residential area. New town in Japan is often called Bed town because it has no other functions except sleeping (staying). But kampung produces many things through its home industry. Kampung has both functions of production and consumption, which is different from Bed towns of Japan that only consumes goods.

Circulation system of goods is not so simple but a circle of production and consumption exists that can be seen as a closed system within a kampung. Living place is close to workplace, which means that all the activities can be carried out within the kampung neighborhoods.

While Kampung itself depends upon various service facilities, and work places of the city that provide the source of income to kampungs, yet, to a great extent, kampung life is autonomous.

 

(4) Kampung as a Highly Serviced Society—The Rombong Culture:

Everybody can get almost all kinds of foods and other daily goods within the kampung, which are supplied by Rombong (pushcart) and street peddlers. Similar kinds of vendors did visit down town area of Tokyo before, but Japan already lost such Rombong culture of the past.

It is because opportunities of getting formal jobs are very few that we can see many rombongs and vendors in the kampung. But to the inhabitants, kampung is a highly serviced society.

 

(5) Mutual Aid System—Gotong Royong, Arisan:

Kampung has a hierarchical administration system. RT-RW system looks like a top-down system, and it is said that Japanese armies introduce that kind of system (Tonarigumi or Chounaikai) to Indonesia.  But on the other hand, it is also pointed out that traditional society of Indonesia has such kind of community organization system. In any case, the spirits of mutual aid characterize kampung community. Such Gotong Royong activities and Arisan system are indispensable to support the kampung life.

 

 (6) Preservation of Traditional Culture:

It is often seen in kampung that newcomers build the same style of house as that in rural village from where they come. People tend to preserve the traditional way of life, which is also one of the characteristics of the kampung. The standard type of kampung house is found related to the traditional rural house in East Jawa. Kampung should be considered to be a settlement that has its own vernacular values of Indonesia.

 

(7) Complexity of Ownership Relations:

It is one of the major characteristics that ownership relations are complicated. Modern land laws introduced by Dutch and traditional laws (Adat) coexist in kampung.  Relations between primary right and secondary right are not easily comprehensible to foreigners.  

 

2. Kampung Housing System

Kampung Improvement Programme (KIP) has proved to be successful in upgrading the living conditions of kampung. The reason de’etre of its success are supposed to be as follows.

a.       KIP is an on-site programme, which never causes drastic change to the kampung life of the inhabitants. Low cost housing projects often kick out people because he cannot afford to pay the cost of the development. But KIP is a strategy to preserve the community base and structure of the kampung.

b.       Effectiveness of investment is higher than providing new dwelling units after clearance. The range of its influence is greater and the financial cost of the programme is cheaper.

c.       Comprehensive approach to the development is taken in KIP. It not only seeks physical improvement but also undertakes works to upgrade educational and vocational training programs. KIP is carried out as a process of building a community organization.

d.       Popular participation or the involvement of the resident inhabitants is the basic principle of KIP undertakings. It invites people to take part in the project positively, and this is one of the major reasons to its success. In some instances, people themselves supervise the construction process of the improvement project.

e.       Flexibility of the programme is an important characteristic of KIP. It is a principle that trimming of the house should be minimized when the road is to be widened. It often happens that construction work is stopped until negotiation or coordination with the residents is established.

f.        Local government initiated program is important, but KIP emphasizes the bottom—up process in developing the program instead of the top—down bureaucratic decisions.

Drawing the above features of KIP, the basic idea behind the kampung housing system as outlined in my thesis is as follows:

 

 Integrated Approach

 Comprehensive approach is needed to construct kampung housing system. Building construction system is important but not all. The introduction of kampung housing system is to support the kampung life in its totality. What is to be emphasized is that KIP realizes that physical planning alone cannot solve all the issues of inhabitants that have important bearing in the livability of the kampungs.

Integrated approach is indispensable but not always easy to implement. There is a need to monitor all the process of implementation and constantly evaluate the impact of the projects.

 

 Community Initiative

 Kampung housing system is basically managed by kampung community. Community initiative is always given an important priority. However, it is not that each and every problem should be addressed by only the kampung community. The intimate relations between local government and the kampung are necessary in the implementation of the project

 

 Participation

 People participation is important and indispensable since kampung-housing system should be basically managed by kampung community. Residents should be involved in the whole process of the projects related with their kampung.

 The necessity of community participation is supported by the fact that the more inhabitants in the kampung take part in the process, the better the environment has been maintained. No other organization except kampung community cannot coordinate the conflicts among inhabitants related to mutual rights and duties. Kampung community has been playing an important role in building consensus, and has shown the ability in supervising the improvement program of the kampung environment.

 

 Step by Step Approach

 Housing is a process, so complete house need not be built at one time and all the area need not be renewed at one time. Step by step approach is better to avoid drastic change though it takes much longer time and amount of work to complete. The ultimate plan cannot be decided beforehand if we stand on the premise that people participation is essential. Scheduled participation is a participation in form but is not a real participation. The concept of planning becomes ambiguous here. What we need is the idea of flexible planning or dynamic planning, which allows reconsideration of planning at each stage of the project development.

 

 Small Scale Project

 The scale of the project inevitably becomes small if we adopt step-by-step approach. Small-scale projects are necessary for a number of reasons. Firstly, big projects tend to change the people’s life drastically. Secondly, small-scale projects are more acceptable for the inhabitants because it is easier to achieve the consensus. Thirdly, preparation of land for the inhabitants to live temporarily during the period of construction is more feasible in case of small renewal projects than in that of large scale developments. Fourthly, small-scale projects are financed without much difficulty. And finally, there is no need of sophisticated technology in small-scale housing projects.

 

 Self-help Building and Housing by Mutual Aid

 People participation requests self-building or mutual help at the stage of implementation of the housing projects. Since the resources are limited, self-help housing is widely being introduced in developing regions.

 We recognize the limitations of self-help housing. It is often criticized that the approach such as that of KIP is only a supplement to the lack of public housing, which utilizes human resources more effectively. It is also said that self-help building sometimes oppresses people’s creativity. However, housing by self-help and by mutual aid must be based on capability, responsibility and creativity of the community and in no way should deter, but encourage, the creativeness of the inhabitants.

  

  Housing based on Eco-System 

In the Pre-Industrial Societies, house form was mainly decided by natural conditions and therefore was variegated from region to region. Houses were made of indigenous materials produced in the region by local community, and had its own form, design and details fitted to the climate, geography and culture. In these societies we can find ecological balance between the housing system and the nature. Housing system of the Pre-Industrial Societies can be one of the models to kampung housing system, but as we cannot go back to the previous times, we should be able to adapt the traditional system under the new conditions of industrial societies.

In solving the modern housing problem, one has to recognize the limits of natural resources, and for this, we have to seek a housing system that is based on the Eco-system. The proper utilization of local materials is the fundamental principle in this approach of housing development.

 

Appropriate technology for Housing

 We do not necessarily need to use high technology and bureaucratic organization for housing. High rise flats and huge housing development projects are thought not to be the best solutions. We are aware of the limits of modern technology and mass housing system. Every region or country has its own architectural tradition based on its native technology. Most of human dwellings still continue to be built in traditional ways though modern high technology is changing the way of building construction and utilization of materials. Nowadays we constantly seek new technologies to solve our increasing problems. The building technologies that support kampung-housing system should be appropriately selected. Such selections are the so-called ‘Intermediate Technology’, ‘ Alternative Technology’ or ‘Appropriate Technology’.

Modern industrialized building system transferred directly by granting factories for prefabrication brings a confusion in the conventional house production system. Housing system depends on the industrial structure of the country. To establish kampung housing system is to establish the appropriate housing production system in the case of Indonesia. Housing technologies based on labor-intensive system in place of capital-intensive system still have the roots in other developing countries.

 

 Housing as a Process

  Housing is a process and not a final product. It is natural that house is transformed according to the growth and changes of family. People sometimes move when the space does not fit the lifestyle of inhabitants.

 Kampung housing system should allow the development of various housing process to meet the diverse needs of the inhabitants. For this there arises a need of the building construction system that has the flexibility that allows and supports housing as a process.

 

 Variety in Spatial organization

 Kampung housing system should allow varying forms of spatial organization to cater the needs of different community groups and individuals of the kampung so that there is minimum disturbance to the kampung life and the base of the community. Characteristics of kampungs where various ethnic groups live together should be preserved in kampung housing system.

The living quarters of the such as those of Japanese New Towns where only certain specific class live is unnatural as a community form. We need certain model community where diverse communities can come to live together.

 

3. Rumah Susun—A Model Housing Project, Indonesia

Kampung Improvement Program (KIP) has been a well-known project for the improvement of the living environment in urban residential area of Indonesia. One of the most important concerns that have come about as a result of KIP is the realization of the need to establish a new urban model as the redevelopment plans for kampungs are being carried out.

  Before it is possible to develop a model type for the housing in kampung, it is necessary that one studies and evaluates the existing house forms of the kampungs. In part this groundwork has been done in my dissertation. This study classifies houses of kampungs into several types, identifies the standard type of kampung house and discusses its transformation process in detail.

The problem of the kampung house is that of its lower density. There is also the need of other types of kampung house in the form of multi story apartments to meet the requirement of high-density development. This was done in the project called Rusun (Rumah susun, which means layered house) Dupak and Rusun Sombo by Prof. Johan Silas (ITS) as one of the future urban housing model. One of the central features of this model is the idea of communal spaces for the collective use of the residents. 

The dwelling units in Rusun Dupak and Rusun Sombo were provided in two steps using the skeleton-infill system. The inhabitants decide how to use the inside of their dwelling unit after moving in and construct the infill walls themselves. It was totally a unique approach and was adhered through the whole process of the project including the planning of the buildings. 

The total area of Rusun Sombo is 1.74ha. It comprises ten four storied apartment building blocks marked from A to K, an elementary school building, a mosque, and a playground. Each block is composed of 75 dwelling units on average making a total of 750 dwelling units. The project, the first stage of which started in 1989 and completed in 1994, was implemented by housing and land board of Surabaya municipality (Dinas Tanah Dan Rumah dan Masyarakat) supported by ITS.

In the floor layout, kamar mandi (bathroom) and dapur (kitchen) are not attached to each individual apartment unit. Both of the utilities are grouped together in a common space. There is also mushola (a prayer room for Muslim) on each floor. Compared to individual dwelling unit area, the common space of the double-loaded corridor is rather large. At each end of the corridor is small terrace. The width of the corridor ranges from three meters to nine meters depending on the building.

 The area of each unit is 3m x 6m (18) with a veranda of 3 m x 1.5 m. The house on the ground floor has its own small garden and a kamar mandi.

 The dwelling units were distributed by the drawing of lots but the priority was given to those who did not have to reconstruct their houses. The sizes given vary from half a unit to 7 units depending on the size of previous houses the residents owned. Readjustment is entrusted to the inhabitants themselves.

The characteristic of Rusun project is, in a word, the maximum utilization of the common (or communal?) space. The inhabitants share dapur, kamar mandi, and living. The apartments may be called multiple core houses, which is one room, equipped with piped water, which is often supplied in the case of ‘site and service’ projects. Thus Rusun might be called an Indonesian collective house. The model of Rusun Sombo is Kampung Sombo itself. It is perhaps for this semblance that the model apartment is also beginning to be known as Kasun (Kampung Susun).

  Rusun Sombo model is now being accepted also in Jakarta. Several projects have already been constructed on the same concept as that of Rusun Sombo.

 

4. Surabaya Eco-HouseAn Experiment on Passive Design in Tropical Climate

Entrusted by the Ministry of Construction, the Infrastructure Development Institute (IDI) Japan launched an experiment on energy- and resource-saving collective housing for the purpose of making contribution to the improvement of living environment and energy conservation in developing countries. 

The objective of the project is as follows.

“In order to build a sustainable and recycling-based society, it is essential to improve performance of buildings themselves in the light of regional climate and create favorable indoor environment with less dependence on energy-consuming technologies. This requirement must be fulfilled at an early date in developing countries, where energy consumption is expected to rise sharply.

Kyoto University and the Institute of Technology Sepuluh Nopember (ITS), Surabaya, the Republic of Indonesia, were invited to carry out the project drawing upon their long-term joint research and experience. This latest project is thus formulated to be a case study of an energy and resource-saving collective housing in developing countries with tropical climate characterized by high temperature and humidity.

The program envisaged the development of Rusun model of KIP to a new stage. As mentioned earlier, KIP (Kampung Improvement Program), which started in the late 1960’s, is regarded as one of the most significant programs for housing improvement in Indonesia. The main purpose of KIP was to provide infrastructure to achieve better sanitary conditions in the Kampungs. As KIP, by the latter half of 1980's, obtained sufficient results in Surabaya, it came up with the further task to find a solution to high-density residential development. One of the successful solutions to this requirement was the construction of the Rumah Susun Sombo. While undertaking the design of new climate responsive Eco-house in Surabaya, it was decided that we would adopt Rusun Sombo as a basic model and combine it with the ideas of passive design for further improvement. From Rumah Susun Sombo as a model for the post-KIP period to Surabaya Eco-house became our slogan.

Both architectural and mechanical methods are available for creation of favorable indoor environment.  The former, called passive design, is a designing and systematic design approach to utilize natural energy, such as sunshine, changes in temperature, winds and terrestrial heat, while considering regional climatic conditions. The latter is a method relying on air-conditioning mechanical devices.

Dependence on air-conditioning is growing fast in developing countries with tropical climate.  It is important to develop and apply passive design, particularly passive cooling technology, not only in view of global environmental problems and possible energy exhaustion but also with a view to building a resident-participating community with consideration given to regional characteristics.

Surabaya Eco-house is designed as a prototype collective housing model that is appropriate for the local conditions in Surabaya. On the basis of the results of the long-term research, the project is intended to build collective housing which incorporates passive cooling technologies conforming to regional and natural conditions and to promote the use of locally produced building materials. The project should be regarded as a prototype of the Indonesian-type of collective housing aimed towards the achievement of a sustainable environment. The characteristic features of the Eco-house project is as follows:

 

(1) Skeleton-Infill-Type Construction

The main structure (skeleton) of the building is of concrete construction with long-term durability, and partitions and exterior (infill) are subject to change according to the needs of the residents, which also forms as one part of their participation in the decision-making process.

 

(2) Floor plan fit for regional lifestyles

 With importance attached to regional lifestyles, common corridor of collective housing is wider in comparison with conventional collective housing, giving a feeling of spaciousness.  In the meantime, maximum privacy is ensured in areas intended for the exclusive use of individual family.

 

(3) Passive Cooling Technology

3-1) Commonly Shared Open Space Arrangements, Ventilation and Natural Lighting

The commonly shared free and open air space has been utilized to secure horizontal and vertical ventilation channels. Windows have been installed on the top roof to facilitate ventilation and heat discharge, and to get natural lighting. A three story high void space has been built at the center of the building to serve for the vertical ventilation.

 

3-2) Double-Roofing

To effectively break heat due to sunlight, the roof has been designed as a double-layered-roof with a heat-insulating layer and a layer for the circulation of air. The heat-insulating material has been developed from the local product—the coconut fiber. The air-layer is placed on the outer-side of the heat-insulator, intending quick spontaneous discharge of sunlight heat.

 

3-3) Windows and Outer-walls for Insulating Sunlight Heat

A big roof with deep eaves has been built to cut the direct sunlight striking the wooden outer-wall system not to absorb sunlight heat. (The outer-walls system will be introduced in a future plan.)

 

3-4) Ventilation Channels in Private Sections

To facilitate cross ventilation in the private unit, an arrangement of openings and operating system have been designed. Two openings have been installed on the outer-wall, and a vent window onto commonly shared open space. The operating system has been designed to allow ventilation not only during daytime but also at night.

 

3-5) Cold Storage by Night Ventilation

Concrete floor slab with big thermal capacity is utilized as a cooling system. Cool air is led into rooms by the night ventilation to store the coldness in the concrete floor. This provides a coolant for the next daytime.

 

3-6) Radiant Cooling System by Circulating-Water

A polyethylene pipe is buried in the concrete floor slab to circulate well water for radiant cooling effect. The well water is kept in an underground tank beneath the ground floor and is circulated by a solar-driven pump. The circulated water is re-used for flushing toilets or sprinkling.

The design concept that utilizes natural resources and energy is simple and clear. A little bit advanced technology we used is Radiant Cooling System by Circulating-Water (3-6). The use of coconut fiber for heat insulation is successful. Coconut grows abundantly in the tropics.

 

5. Urban Tissues in Asia

I am doing a field research on urban tissues in Asia with the research on kampung housing system.

We are firstly interested in gridiron city because we live in Kyoto, which preserves gridiron pattern from the ancient period. It is lucky for me to find Cakranegara in Lombok Island to study gridiron city. The little-known existence of a grid-based city in Indonesia is also worthy of note and exploration. The street patterns in Cakranegara resemble those in ancient Chinese cities and Japanese cities such as Kyoto.

Lombok is attractive in several ways. First, the well-known Wallace Line, which runs between Bali and Lombok Island, marks the boundary of the Australian and Asian bio geographic areas. Bali has the marine climate of the east Pacific, while Lombok belongs to the Australian climatic zone. Lombok is also interesting in terms of religion. Most Balinese are Hindu, although more than 80 per cent of the population in Indonesia is Muslim. Islam is the predominant religion on Lombok, but Balinese Hinduism has had a strong influence in the western part of the island. The peaceful coexistence of Hindu and Muslim people on this small island is worthy of investigation.

Our study is the first to document Cakranegara in a historical context and to highlight its importance in the history of Indonesian cities. The Balinese Karangasem kingdom built Cakranegara as a colonial city in the early 18th century. We analyzed the block pattern, streets system, residential forms and neighborhood structure.

Although Cakranegara was in the Far Eastern area of Indian civilization, we hypothesize that the construction of Cakranegara was based on the ideals of ancient Hindu cities. It is very interesting that the Nagara-Kertagama, the lontar (coconut leaf) document that describes the Javanese Majapahit kingdom in the 14th century, was discovered within the Kraton (palace) of Cakranegara. A comparison of the configuration of Cakaranegara and the description of the capital of the Majapahit kingdom in the Nagara-Kertagama may give us some clues to its history.

Our field of study widened after the study of Cakranegara city. We decided to pick up Jaipur City to compare its basic concept of town planning with that of Cakranegara, both of which are thought to be Hindu Cities. Jaipur with its streets firmly laid out in gridiron pattern is well known as a fine example of a planned city in India. Jaipur was planned according to Maharaja Jai Singh II (1688-1743) who was not only a progressive politician and a warrior but was also an astronomer and a mathematician. The basic framework of the city is considered to have been completed by the first half of 18th century. Cakranegara was constructed during the same period as a colonial town by the king of Karangasem of Bali. That the two cities, one at the east end and the other at the west end of the Hindu cultural sphere were built according to strict principles is of great significance to make a comparative study on the regional developments of the Hindu city planning principles.

While the study of Cakranegara analyzed the space structure, there are not yet similar works on Jaipur done on the same level. Accordingly, in this study, basic data on the physical dimensions of the streets, the street system and on the distribution of the dwelling units has been collected.

In this stage of our study, we also did field research in Cities in Kathumandu Valley, Nepal, like Kathumandu (Hadigaon), Patan, Baktapur and Thimi, which are Hindu or Buddist Cities, and Taipei, Beijing in East Asian Cities.

As the third stage of the study, we enlarge our study to Islamic cities in the long run. Lahore, Ahmedabad and Delhi are the target cities so far.

One conclusion derived from research literature on Islamic cities is that there are no definite characteristics that embody the ideal concept of an Islamic city.  In particular, it is to be noted that no definite common relationship exits among the cities and neighborhoods of such countries as Indonesia, which has the largest Islamic population of the world, and the cities of Arabian countries. However, certain characteristic principles of the capital cities (in particular, cities that had been the seats of ruling governments, and in which were built necessary defensive fortifications, such as city walls) of Asia, Europe and Africa, and the cosmology that guided the building of these cities and city life, may be outlined as follows.

A. There are two types of cities. The first mirrors a cosmology that enshrines the seat of royal power at its pivot; and the second is not governed by such cosmology. In East, South and Southeast Asia, there are planning ideologies and classical literature prescribing the features of the capital cities that are the seat of a ruling power. But in western Asia, no such documentation can be found.

B. On one hand, there are ideal city models, and they serve as metaphors for the planning and construction of real cities. On the other hand, there are cities that are governed more by the way of life and functional relationships than by ideals. There are only a few instances where cities have been built according to the concept of the ideal city formation. We also see that there is a changing relationship between the city form and the concept of the ideal city in the history of city development.

C. The concept of the ideal city form is more developed, and adherence to it is stronger, in the periphery than at the center of a given civilization. For example, cities that are thought to reflect the ideals of Arthasastra or Manasara, Hindu classics that describe the forms of royal cities, are places like Angkor Wat and Angkor Thom in Southeast Asia, at the east end of the Hindu cultural sphere.

D. The relationship of the prevailing cosmology and the formation of settlements provide a broad framework in which to study the diversity of the cities that results from temporal and physical particularities. Thus it may be assumed that Cakranegara, as a colonial city of a Hindu-Bali kingdom, reflects the concepts of ideal Hindu city planning and the traditions of Hindu society.

 

Anyway, how and what we can propose as prototypes of urban tissues and house in each city is the ultimate objective of our study.  We need not necessarily seek the model in western countries but we discover the new models from the tradition of each city. We need so called Eco-Cycled house and settlement model.

 



[1]  椎野若菜、「「コンパウンド」と「カンポン」-居住に関する人類学用語の歴史的考察-」、『社会人類学年報』、Vol.262000

[2]  パルコ出版、1991

[3]  プロジェクトに関わった横堀肇がその概要をまとめている。「住宅・都市整備事業ージャカルタの例をもとに」、柴田徳衛・加納弘勝編、『第三世界の都市問題』、アジア経済研究所、1986

[4] その問題点については、布野修司『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究』(東京大学学位請求論文、1987年)「第V章 カンポン・ハウジング・システム 1.カンポン・インプルーブメント・プログラム(KIP)の評価 (1)クリアランス型再開発の問題点」で詳細に論じた。また、布野修司『カンポンの世界』(パルコ出版 1991年)参照。

[5]  その概要は『群居』38号「特集 J.シラスと仲間たち」に紹介されている。また、神吉優美、『インドネシアの都市小規模住戸におけるルアン・タムの確保と重視に関する研究』、京都大学修士論文、1993年、 Budi Prayitono,"The Continued Living Adaptability from Traditional Kampung to Multi-story",Master thesis Kyoto University,1993などがある。・布野修司,脇田祥尚(島根女子短期大学),牧紀男(京都大学),青井哲人(神戸芸術工科大学),山本直彦(京都大学):チャクラヌガラ(インドネシア・ロンボク島)の祭祀組織と住民組織 チャクラヌガラの空間構成に関する研究その2,日本建築学会計画系論文集,503,p151-156,19981

[6] The Kampung Improvement Programme of Indonesia, in Low-Income Housing In The  Developing Countries G.Payne (ed), John Wiley and Sons London (1984)KIP, One Decade of Implementation in Surabaya 1976-1986; City Govenrment of Surabaya(Limited edition 1988)など多くの論文がある。また、著書に、"Kampung Surabaya Menuju Metropolitan",Surabaya Post, 1996がある。

[7]  インドネシアの行政組織は、30戸から100戸で構成されるRT(エル・テー  Rukun Tetanga ルクン・タタンガ 隣組)をコミュニティーの最小単位とし、→RW(エル・ウェー Rukun Warga ルクン・ワルガ 町内会)→クルラハン(連合町内会)→クチャマタン(区)という構成をとる。

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