設計ブーム後の展望,繰り返される推移と変転,日経アーキテクチャー,日経BP社,19920120
設計ブーム後の展望 19920120
布野修司
19911224
建築というものは、できるだけ長持ちするように時間をかけて丁寧にじっくりとつくるもの、という建築観からすれば、設計ブームが去ること自体は何も悲観すべきことではない。むしろ、バブルに翻弄され、じっくりと考える暇もなくただただ忙しかった、この数年が異常というべきだ。
おそらく、ポスト・モダンを標榜するだけの、そしてポスト・ポスト・モダンを口に出さざるを得ないような次元での、ペラペラ、ヒラヒラしたデザインは次第に影を潜めていくことになろう。建築をめぐる舞い上がった言説もまた、建築の生産消費の現実過程がペースダウンするにつれて、空回りを始める筈である。
一方、スクラップ・アンド・ビルドではなく、ライフサイクルを考えた建築のあり方、地球環境にやさしい技術のあり方、エネルギーや資源を浪費するタイプの建築ではなく、リサイクル型の建築のあり方が、それぞれに追求されることになるだろう。既に、そうした趨勢は、様々なスローガンとして示されつつあるところだ。エコロジーは、既にひとつのファッションである。
しかし、以上の推移、変転は、1960年代末から70年代の初頭にかけての推移、変転によく似ているのではないか。設計ブーム後を展望するには、われわれの近い過去の経験をしっかり振り返ってみることである。歴史は繰り返す?。
19911124
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