このブログを検索

2026年1月27日火曜日

未来をつくる 夢をつくる, 『雑口罵乱』②(談話室,滋賀県立大学), 2008

未来をつくる 夢をつくる, 『雑口罵乱』②(談話室,滋賀県立大学), 2008

未来を創る、夢をつくる

                      布野修司

 

談話室は楽しい。

山本理顕、馬場正尊、佐藤淳、中村好文というメンバーを呼べる。居ながらにして、世界の情報を得ることができるし、本気で考えて生きることの大切さを繰り返し確認できる。

東洋大学にいた頃、まだ無名だった山本理顕さんと組んで設計演習を教えていた。二人で次々に建築家を呼んだ。磯崎新、原広司(東洋大の助教授から東大へ転進)、渡辺豊和、伊東豊雄、長谷川逸子、六角鬼丈、毛綱きこう、石山修武、元倉真琴、高松伸、妹島和世・・・・・・・・次々に来てくれた。そして次々に学会賞を受賞して、「東洋大に行ってレクチャーすると学会賞が獲れる」と噂になった。というのは冗談にしても、一線の建築家が彦根に来て、建築最前線の話をしてくれるのは素晴らしいことである。

山本理顕さんは、設計演習の合間に、俺んちを設計しなくちゃ、とスケッチを描いていた。それがGAZEBO(雑居ビルの上の住居)で学会賞を獲った。「都市に寄生せよ」という設計課題は理顕さんと創った。「愛人の家」もそうだ。ひとつだけ設計条件を外すと、建築家のイマジネーションはすさまじく膨らむ。数々の名課題は40くらい布野のストックにある。理顕さんはそのころと全く変わらない。建築家の役割は「未来をつくることである」。

馬場さんとは、初めてあった。石山修武研を出て博報堂に入社したという変り種である。高柳先生の先輩というから世の中狭い。とにかく「東京R不動産」という発想と実際にやってみせるのがすごい。談話室が馬場さんを呼ぶセンスはただものではない。

そして、馬場さんがA-Cupの首謀者だと聞いて、心底脱帽した。滋賀県立大学は3年目であったけれど、昨年に続いて参加した(200876日)。前日、東京でtraverseの座談会(竹山聖)があり、平田晃久、大西麻紀、百田有希といった人気者を拉致してつれていったのだけれど実に楽しかった。しかも、宮本佳明率いる「間取りどう?」に決勝で敗れたものの、わが「フノーゲルズ」は、なんと、準優勝である。しかも、布野はPK二発決めて、「ベスト・オールドマン賞」受賞である。

佐藤淳さんは陶器さんの伝だと思う。若手の構造デザイナーとして、可能性は無限である。そして、「建築基準法」改正を、改悪だ(構造の自由を奪う)という社会派でもある。

中村好文さんは同い年で、ドメスティックな建築の名手であり、数々の出版で知ってはいたけれど初めてであった。こういう談話室の人選も渋い。感動したのは、「自給自足」の別荘計画を本気で実現していることである。

『建築ジャーナル』誌で「現代建築家批評」という連載を始めた(20081月号~)。イントロダクションを書いて、まず安藤忠雄論は書いたら(4月号)、本人から電話がかかってきた。「いくつか間違ってる」といいながら、「こんど行くよ」という。その日(2008711日)は、滋賀県大講堂は超満員となった。題して「夢をつくるー地域を元気にー」である。話は、『雑口罵乱』03に採録されると思う。乞う御期待。

 

 


2026年1月26日月曜日

カンポンの世界から日本の住居を考える,日大理工・山本理顕「建築学特別講義」 2011年9月30日

 カンポンの世界から日本の住居を考える」,日大理工・山本理顕「建築学特別講義」 2011930

日大理工・山本理顕「建築学特別講義」 20110930:山本・布野・大月敏雄

 

カンポンの世界から日本の住居を考える
 カンポンkampungとは、インドネシア(マレーシア)語で「ムラ」という意味である。カンポンガンというと「イナカモン」というニュアンスである。都市の居住地なのにカンポンという。そして、このカンポン、実は、英語のコンパウンドcompound(囲い地)の語源という説がある。カンポンのあり方を紹介する中で日本の住居のあり方を考えたい。

 

研究経緯

Ⅰ 地域の生態系に基づく住居システムに関する研究

Ⅱ カンポン調査 (東南アジアの都市と住居に関する研究)

『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究---ハウジング計画論に関する方法論的考察』(東京大学),1987年 Ph.D Thesis:Housing Theory ハウジング計画論: スラバヤ・エコハウス→環境建築学:

Ⅲ アジア都市組織研究

    イスラームの都市性研究:『曼荼羅都市』:『ムガル都市』:Stupa & Swastika

Ⅳ 植民地都市研究

Ⅴ Town Architect CommunityArchitect)論 

  京都CDL    近江環人地域再生学

 

主要関連著書

[1] 戦後建築論ノート,相模書房,19816

[2] スラムとウサギ小屋,青土社,198512

[3] 住宅戦争,彰国社,198912

[4] カンポンの世界,パルコ出版,19917

[5] 戦後建築の終焉,れんが書房新社,19958

[6] 住まいの夢と夢の住まい・・・アジア住居論,朝日新聞社,199710

[7] 廃墟とバラック・・・建築のアジア,布野修司建築論集Ⅰ,彰国社,19985

[8] 都市と劇場・・・都市計画という幻想,布野修司建築論集Ⅱ,彰国社,19986

[9] 国家・様式・テクノロジー・・・建築の昭和,布野修司建築論集Ⅲ,彰国社,19987

[10] 裸の建築家―タウンアーキテクト論序説,建築資料研究社,2000310

[11] 曼荼羅都市―ヒンドゥー都市の空間理念とその変容,京都大学学術出版会,20062

[12] 建築少年たちの夢 現代建築水滸伝、彰国社、20116

[13] 布野修司編,『世界住居誌』,昭和堂,200512:『世界住居』胡恵琴訳、中国建築工業出版社、201012

[14] 布野修司監訳:生きている住まいー東南アジア建築人類学(ロクサーナ・ウオータソン著 ,アジア都市建築研究会,学芸出版社,19973

[15] 布野修司+安藤正雄監訳:植えつけられた都市 英国植民都市の形成,ロバート・ホーム著:アジア都市建築研究会訳,京都大学学術出版会,20017

[16] 布野修司編+アジア都市建築研究会:アジア都市建築史,昭和堂,20038: 『亜州城市建築史』胡恵琴・沈謡訳、中国建築工業出版社、200912

[17]布野修司編:『近代世界システムと植民都市』,京都大学学術出版会,20052

 [18] Shuji Funo & M.M.Pant, Stupa & Swastika, Kyoto University Press+Singapore National University Press, 2007

 [19] 布野修司+山根周,ムガル都市--イスラーム都市の空間変容,京都大学学術出版会,20085

[20] 布野修司+韓三建+朴重信+趙聖民、『韓国近代都市景観の形成―日本人移住漁村と鉄道町―』京都大学学術出版会、20105

Kampung。英語のコンパウンドcompoundkampungが訛ったものである(OED.

椎野若菜、「「コンパウンド」と「カンポン」---居住に関する人類学用語の歴史的考察---」、『社会人類学年報』、Vol.262000

樹木で覆われた屋敷地が集まって、周囲を柵や土塁で囲われた住区がカンポンである。

人類学で一般的に用いられるコンパウンド、ホームステッド、セトルメント、さらにホーム、ハウスといった言葉を検討する中で、椎野若菜は、カンポンという言葉がコンパウンドに転化していく過程に西欧諸国の植民地活動があるとする[。すなわち、バントゥン、バタヴィアあるいはマラッカにおいて民族集団毎に囲われた居住地の一画を指してそう呼ばれていたのが、インドの同様な都市の区画も同様にそう呼ぶようになり(インド英語Anglo-Indian English)、カンポン=コンパウンドはアフリカ大陸の囲われた集落にも用いられるようになったというのである。

Kampungの世界

 

 1 多様性

 2 全体性

 3 複合性

 4 高度サービス社会:屋台文化

 5 相互扶助システム

 6 伝統文化の保持

 7 プロセスとしての住居

 8 権利関係の重層性

 

Learning From Kampungの世界

 Urban Involution

 Shared Poverty(貧困の共有)・・Resources, Environment, Nature

・・・Work Sharing


Kampung Housing System

         カンポン固有の原理の維持

         参加

         スモール・スケール・プロジェクト

         段階的アプローチ

         プロトタイプのデザイン

         レンタル・ルームのデザイン

         集合の原理の発見

         ビルディング・システムの開発

         地域産材の利用

         ワークショップの設立

         土地の共有化

         ころがし方式

         コーポラティブ・ハウジング

         アリサンの活用

         維持管理システム

         ガイド・ライン ビルディング・コード

 

 

Surabaya Eco-House


日本の住宅まちづくりをめぐる基本的問題

◇集住の論理    住宅=町づくりの視点の欠如 建築と都市の分離   型の不在 都市型住宅

◇歴史の論理     

  スクラップ・アンド・ビルドの論理 スペキュレーションとメタボリズム 価格の支配 住テクの論理 社会資本としての住宅・建築・都市

◇異質なものの共存原理 

  イメージの画一性 入母屋御殿 勾配屋根

 多様性の中の貧困 

◇地域の論理 

 大都市圏と地方 エコロジー

◇自然と身体の論理

  人工環境化 土 水 火 木

  建てることの意味

◇生活の論理

 住宅生産の工業化 住宅と土地の分離

  物の過剰 家族関係の希薄化

 住宅問題の階層化 社会的弱者の住宅問題

◇グローバルな視野の欠如

 発展途上国の住宅問題

◇体系性の欠如(住宅都市政策)

 

 

51Cは呪縛か? 集合住宅の戦後~現代を探る 上野千鶴子・鈴木成文

布野・司会メモ

基本テーマ

これからの日本の(集合)住宅がどうなっていくのか(あるべきか)

日本の家族がどうなっていくのか(あるべきか)

   51Cという(標準)住居モデルが戦後日本の住居のあり方を規定してきた→それは問題ではないか?→それは何故か?

   近代家族の終焉→その行き着く先は

   型の提示を前提として、どのような住宅モデルがありうるのか。

nLDKをいかにして潰すか

基層テーマ 

   空間は生活を規定できるのか? 生活と空間の対応 空間の型 空間帝国主義 計画学批判  家族を容れるハコ 家族を超えるハコ→ハコを超える家族?

住宅は空間化された家族の規範である。

51C批判: LDK家族の崩壊・・・近代家族の成立と崩壊・・・家族像 家族形態の変遷?

近代家族はいつ成立したのか? その崩壊とは? 家族とは、 家族と世帯 家業・家名・家屋・家産・家計の共同 居住の共同(同火) 血縁の共同 →家族の多様化 近代家族のゆらぎ 女性(層)の変貌、一般化が成立しない 「家」の発明・日本型近代家族 近代家父長制 社会的構築物:核家族ではなく直系家族の形をとった 家内工業がベース 母系も末子相続もあった.家と国家 近代国民国家に適合的に形成された 忠孝一本イデオロギー 家族の民主化は達成された? 疑問 シャドウワーク:近代家族(落合恵美子)1家内領域と公領域の分離2成員相互の情緒的関係3子ども中心主義4性別分業5集団性の強化6社交の衰退7非親族排除8核家族 西川祐子9家族を統括するのは夫10この家族は近代国家の基礎単位をなす.戦前・戦後の連続性 父権支配→夫権支配 家父長制の連続性←世帯分離.ロマンス革命 母子の情緒的絆 世帯の自律性


























2026年1月25日日曜日

講演:アート・スタディーズ第5回 パネル・ディスカッション「国体明徴運動と2.26事件」 布野修司「帝冠併合様式と東京帝室博物館」,大谷省吾「北脇昇の「図式」絵画について」,飯沢耕太郎「「信仰写真」から「前衛写真」へ」他,東京国立博物館,2005年12月17日

 講演:アート・スタディーズ第5回 パネル・ディスカッション「国体明徴運動と2.26事件」 布野修司「帝冠併合様式と東京帝室博物館」,大谷省吾「北脇昇の「図式」絵画について」,飯沢耕太郎「「信仰写真」から「前衛写真」へ」他,東京国立博物館,20051217



布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...