Traverse09 はじめに
「耐震偽装問題」に端を発した建築界の構造的問題に対する対応策として国土交通省が打ち出した「建築確認」の厳正化、そして「建築士法」の改正が大きな波紋を拡げつつある。
「厳正化」は、当然であるとして、確認に時間がかかりすぎ、住宅着工数が激減、景気そのものへの影響が懸念されてきたが、実際、それだけが原因ではないにせよ、景気は後退局面に入った。建築需要が減っていく中で、建築界が構造改革せざるを得ないことは明らかである。しかし、「厳正化」がかならずしも建築の安全や安心につながらない、すなわち、責任をとれないシステムのまま推し進められつつあることこそが大問題である。設計料も安く、責任だけ重い、というので廃業する建築構造事務所が相次いでいる。国土交通省に言わせると「淘汰」だという。
そして、何よりも問題なのは、「すぐれた」「いい」建築がつくられない仕組みと制度になりつつあることである。大学の建築学科も建築士の受験資格の問題、大学院の実務経験の問題で翻弄されつつある。「実務」「現場教育」が強調されるのは当然であるとして、大学には大学の役割がある。「耐震偽装問題」の問題もどちらかと言えば、コンプライアンス無視の現場での近視眼にある。受験資格の認定を煩瑣にして審査機関が焼け太りする。大学は大学でCOEやら外部評価やらで競争させられる。末期症状である。
つい筆が滑ったが、楽しいこともある。今年もA―Cupに参加した。2001年に第一回が開催された建築界のサッカー大会で、建築学会に次ぐ集まりに成長している。前夜祭から建築とサッカーをめぐって議論する。著名建築家たちと親しく交流できる。若者たちにとっては最高だろう。
わがチームは宮本佳明率いるチームに優勝は譲ったけれど、なんと準優勝である。チームキャプテンに義務づけられているPK戦で4発蹴って2発決めた。それで、ベスト・オールド・プレーヤー賞も獲得したのである。準優勝杯は、「コルビュジェ」杯と称するコンクリートのテストピースであった。
チベット暴動、四川大地震など開催が危ぶまれた北京オリンピックもどうやら大きな問題なく終わったようだ。今、パラリンピックの最中だ。
しかしそれにしても、二代続けて政権を投げ出したこの国のリーダーたちのだらしなさはどうだ。地球環境問題、地域再生、問題山積のなかで、日本は行方を見失ってしまっている。
若者たちに期待しよう。建築は楽しい、そのことを噛みしめながら、力を蓄えよう。
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