traverse5 新建築学研究第5号
イラク戦争は泥沼化し、戦争終結宣言後に、さらに多くの人命が失われた。日本人も政府高官2名、ジャーナリスト2名も犠牲となった。混乱のうちに暫定政権が発足し、ようやく国連でもイラク統治についての決議案が全会一致で採択されたけれど、予断は許されない。しかし、この一年は一体なんであったのか。帝国の傲慢のみが際立って空しい。
国内は依然として構造改革が進行中である。建設業の農業への転進、介護分野への進出、リフォーム、コンヴァージョン・ブーム、ほぼ予測されたとおりの流れが次第に大きくなりつつある。まちづくりの隆盛、地域社会の潜在力の再評価も急である。景観緑三法の成立も大きな時代の転換を示している。
ただ、新しい建築の登場という意味ではいささか寂しい。元気なのは北京オリンピックを控えた中国である。中国に限らず、海外での日本人建築家の活躍が目立つ。しかし、そこに何か、胸躍るような建築が出現しつつあるかどうかはまだわからない。
環境、環境というけれど、そう唱えるだけでは新たな建築は見えてきていないのではないか。
大きな変革への流れを見据えながら、本質的な議論をしたい。時代に対して敏感でありながら、深い思索を重ねたい。traverseの願いである。
(布野修司/編集委員会)
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