Traverse06 はじめに
インド洋大津波の当日(2004年12月26日)、スリランカのゴールに居て命拾いした。その時のことは求められるままに書いたが、世界史的事件だったといっていい。スリランカなど、地震など全くなく、7世紀に編まれたという『マハーヴァムサ』という古文書に依れば、紀元前2世紀頃、王女が波にさらわれたという伝承が記されているだけだという。それが津波だったとすれば、実に2200年ぶりだったことになる。
ゴールで400人、周辺で2000人、スリランカ全体で33000人が亡くなった。何かできることはないかということもあって、7ヶ月にインド・スリランカの津波被災地を訪れてきたのであるが、特に、スリランカの場合、未だに津波の爪痕が生々しい。海岸線から100m以内に建築禁止令が出されたせいである。しかし、それにしても津波の力は相当のものである。
コロンボ周辺は死亡者こそ少なかったものの、海岸部に居住していた不法占拠者たちが大きな被害を受けた。各国のNGOがまるで援助を競うようにプロジェクトを打ち上げつつあるが、応急仮設住宅建設の段階は終わり、復興住宅建設が今後の大きな課題である。仮設住宅地は、共同施設もそれなりに用意され、コミュニティもしっかりしていて、独居老人が人知れず亡くなるといった状況には全くない。
坂茂、セシル・バルモンドといった有名どころが、復興住宅を手がけるというが具体的なプロジェクトについては不明であった。今のところ日本の影は薄いように思われた。何かうまいプロジェクトが組めないものか。
振り返って日本で、信じられないような電車事故が起こった。電車というのがかくもひ弱なボディをしていたとは。経済的合理性のみ求める管理運営体制がしきりに問題にされたが、早さを求めて軽量化を追求してきたその方向に同じような問題はないのか。
改革、改革のスローガンが叫び続けられてついに総選挙である。改革の実は果たして上がっているのか、正直わからない。確かなことは世代交代が確実に進行しつつあることである。(布野修司)
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