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2026年2月5日木曜日

traverse07 前記, traverse, 2006

 Traverse07 前記

 

 

 9.11(同時多発テロ)以降の激動する世界において、5年の長きにわたって続いた日本の政権が変わった。日本の社会がどういう方向に向かうかは不明であるが、再び、転換の時を迎えつつあるように思える。traverseを創刊して7年、短い期間ではあるけれど、とにかく世界はめまぐるしい。

この間の政治改革、規制緩和路線は、IT企業関連のヴェンチャー・ビジネスの跳梁跋扈を招来し、新たな潮流を作り出したかに見えたが、ヒーローたち(ヒルズ族)の相次ぐ逮捕で、勢いを失ったように見える。そして、前政権が残した「負の遺産」(格差社会の拡大)の方がより強く指摘されつつある。

 建築界にとって、この間の「耐震偽装問題」(姉歯事件)は致命的であった。確認審査の民間への開放、「第三者検査機関」の導入は、民営化の一環と考えられ、日本社会全体に通底する問題がそこにはある。既に、多くの議論がなされ、問題点が洗い出されつつあるが、はっきりしているのは、この問題が、個人のモラルや能力の問題にとどまるものではなく、建築界全体のシステムの問題であることである。そして、この日本の建築界全体の構造的問題は、既に「阪神淡路大震災」によって決定的に明らかになっていたことである。建築界の構造転換は遅々として進んで来なかったのである。資格制度の強化、保険制度の導入など、これを機に制度的な枠組み設計に向かうチャンスともみるが、前途多難のように思える。

 昨年は前川國男生誕百周年、今年が没後二十回忌ということで、展覧会が各地で行われ、大変な観客を集めているという。昨年の「吉村順三展」も万単位の観客を集めた。来年には「白井晟一」展が開かれるというから、ちょっとした建築家回顧ブームである。これも時代が大きく変わっていく感覚を強めているのであろう。『建築の解体』『神殿か獄舎か』をどう読んだかの特集もあり、70年代回顧の様相もある。

 来年は『2007年問題』の年である。団塊の世代が大量退職する。この世代が、どうするのか、こそが問題である。若い諸君は、この巨大なマーケットを大いに活用すべきだと思うけれど、如何。

 

布野修司/編集委員会

 

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布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...