講演:アジアの都市型住宅をめぐって,住環境研究所,19971031
第三期JKKハウジング大学校 シンポジウム
記念講演
『アジアの都市型住宅をめぐって』
布野修司(ふのしゅうじ)
京都大学工学部助教授
●略歴
1949年 島根県出雲市生まれ/松江南校卒/1972年 東京大学工学部建築学科卒
1976年 東京大学大学院博士課程中退/東京大学工学部建築学科助手
1978年 東洋大学工学部建築学科講師/1984年 同 助教授
1991年 京都大学工学部建築系教室助教授
●著書等
『戦後建築論ノート』(相模書房 1981)
『スラムとウサギ小屋』(青弓社 1985)
『住宅戦争』(彰国社 1989 )
『カンポンの世界ーージャワ都市の生活宇宙』(パルコ出版199107)
『見える家と見えない家』(共著 岩波書店 1981)
『建築作家の時代』(共著 リブロポート 1987)
『悲喜劇 1930年代の建築と文化』(共著 現代企画室)
『建築計画教科書』(編著 彰国社 1989)
『建築概論』(共著 彰国社 1982)
『見知らぬ町の見知らぬ住まい』(彰国社 199106)
『現代建築』(新曜社)
『戦後建築の終焉』(れんが書房新社 1995)
『住まいの夢と夢の住まい アジア住居論』(朝日選書 1997)等々
○主要な活動
◇ハウジング計画ユニオン(HPU) 『群居』
◇建築フォーラム(AF)
『建築思潮』
◇サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)
◇木匠塾
◇中高層ハウジングプロジェクト
◇京町家再生研究会
◇アジア都市建築研究会
◇
●主要な論文
『建築計画の諸問題』(修論)
『インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究』(学位請求論文)
はじめに
自己紹介 吉武51C→東洋大→地域生活空間計画 中高層ハウジング
視点:システムを問いたい。一戸一戸建てていくことと基本的空間構成原理
型こそ問題である 型こそが残る? ステレオタイプでいい??
→戦後住宅は型を生みだしたか yes and/or no
no→阪神淡路大震災と戸建て住宅の型:都市型住宅
yes→nLDK
but→nLDKという型のみでいいのか。画一原理
多様性こそ問題:多様性を生み出す原理とは
Ⅰ.戦後建築のゼロ地点
わが住居遍歴・・・プロセスとしての住居
nLDKという共通体験?→変わる変わらない
nLDK家族モデルの成立
公共住宅の住戸形式の変遷
思考実験:ex 都市に寄生せよ:東南アジアのハウジングプロジェクト
多様な住み方 多様な共同生活を可能にする型 型破りの型
一旦、原点に帰って、組立直す必要はないか。
変わるものと変わらないもの
→住宅は保守的 惰性 慣性
農家住宅 床の間 続き間
起居様式 「椅子座」にせよ!というスローガン
ある指針を提示したものが生き残る 定着する?
東南アジアの民家
プリミティブだけれど創意工夫に期待 先進諸国とは別の道
Ⅰ.東南アジアの都市居住
a.東南アジアの都市の特質
○発展途上国の都市化の特質
○発展途上国の都市化過程とその構造
b.インドネシアの都市
○都市形成過程とその類型
○植民地支配と過剰都市化
○ジャカルタの都市形成過程とその構造
c.都市カンポンの構成:スラバヤについて
○スラバヤの都市形成過程とその構造
○カンポンの構成
○カンポン住居の類型と変容プロセス
Ⅱ.東南アジアのハウジング・プロジェクト
○東南アジア各国の住宅政策
○セルフヘルプによるハウジング
○インフォーマル・グループの試み
Ⅲ.東南アジアの伝統的住居
○地域の生態系と住居・集落
○東南アジアの住居の特質
木造住居
高床式住居
切妻転び破風の屋根形態
双系的親族原理
都市住居の伝統の希薄性
分棟形式
○住居空間の構成原理
Ⅳ アジアの都市型住宅
○エコサイクル・ハウス・イン・スラバヤ
○アジアの都市型住宅
日本の住宅 戦後50年
変わるものと変わらないもの
これからの日本の住宅
布野修司(ふのしゅうじ)
京都大学工学部助教授/工学博士
はじめに
自己紹介 吉武51C→東洋大→地域生活空間計画 中高層ハウジング
・『日本の住宅 戦後50年』(資料5)というテキストをもとに話したい。
建築雑誌『戦後家族とnLDK』(資料6)
戦後日本の住宅とはどのようなものであったのか。・・・今後どうあればいいのか。
日本の住宅を歴史的に相対的に位置づけて見たい(戦後50年と阪神淡路大震災)
・具体的な課題は個別に解くしかない・・・直接的に役に立つことはない。
農家住宅 市街化調整区域 Bシステム
大和棟の農村集落景観
→施主とのやりとりのなかから新しい空間を生み出す
システムの適用ではなく、現実からの提案を期待したい
→それぞれの案は、戦後考えられてきた作品の系列にすっぽりと収まっているのではないか。但し、それからはみ出たものは評価されないとしたら問題
思考実験:
ex 都市に寄生せよ、逆噴射家族・・・ 資料7
家族の形と空間の形との基本原理 素材、構造もフリーに考えて問いたい
視点:
システムを問いたい。一戸一戸建てていくしかないけれど、
①基本的空間構成原理、型こそ問題である 型こそが残る
しかし、ステレオタイプでいいということではない。
→戦後住宅は型を生みだしたか yes and/or no
no→阪神淡路大震災と戸建て住宅の型:都市型住宅
yes→nLDK
but→nLDKという型のみでいいのか。画一原理
多様性こそ問題:多様性を生み出す原理とは
多様な住み方 多様な共同生活を可能にする型 型破りの型
一旦、原点に帰って、組立直す必要がある
標準型と変化型 伝統の型と地域の型 型の維持と新たな型の創出
②変わるものと変わらないもの
→住宅は保守的 惰性 慣性
農家住宅が原型(都市型住宅の未成立)
床の間 続き間はなくならなかった
戦後住宅の指針と起居様式 資料8
「椅子座」にせよ!というスローガン 洋服に下駄履きは笑えぬ 文化生活の理想
畳の否定 最もぶざまな下宿屋スタイル 最新!?「住宅読本」 追放された土間
・『日本の住宅 戦後50年』の構成と解説
戦後日本の住宅ベスト10 日本の集合住宅ベスト10・・・資料9
ある指針を提示したものが生き残る 定着する?
1.戦後建築のゼロ地点
わが住居遍歴 資料10・・・プロセスとしての住居
vs 藤森照信の住宅遍歴
若い世代:集合住宅育ち 多様な空間を経験していない
nLDKという共通体験?→変わっていかざるを得ないのではないか
nLDK家族モデルの成立
公共住宅の住戸形式の変遷
思考実験+自己紹介:東南アジアのハウジングプロジェクト スライド
プリミティブだけれど創意工夫に期待
別の道
2.戦後住居と建築家
・・・・・・・戦後住居の指針と未決の問題
建築家と住宅の戦後史
① 床の間追放論 玄関廃止論 最小限住居 ワンルーム モダンリビング
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
1.初期住宅問題と建築家
●新しい目標としての都市と住宅ーーー住宅改良雑感(後藤慶二)/社会 改良家としての建築家/市街地建築物法
●文化生活運動の展開ーーー住宅改良と文化住宅の理想/文化生活運動の 位相/
●民家研究の出自ーーー今和次郎のことなど
●戦争と住宅ーーー西山夘三の国民住居論攷
2.戦後建築の課題としての「住宅近代化」
『戦後建築論ノート』より
●ヒューマニズムの建築ーーー機能主義と素朴ヒューマニズム/近代建築 論争/計画化
●住宅の近代化ーーーこれからのすまい/日本住宅の封建性
●伝統論争と住宅
3.住宅産業と建築家
●都市への幻想ーーー小住宅作家万歳/住宅は芸術である
●マイホーム主義と住宅デザインーーー「都市住宅」派
●都市からの撤退--- 最後の砦としての住宅 自閉の回路
近親相姦の住宅設計
●住宅デザインの商品化ーーー商品化住宅の様式化
3 これからの住まい:日本の課題
日本の都市 その死と再生(This is 読売 199602) 資料11
住宅の問題=都市の問題
nLDKの意義と揺らぎ
nLDK家族モデル 空間化 容器 商品化=工業化
→画一化
戦後住居の論理が欠落させてきたもの
多様性の原理:
家族形態の揺れ=多様化 女性の社会進出
高齢化・・・単身者 コレクティブ・ハウジング
外国人・・・
集住の原理:所有と集合
積層形式における共有空間
歴史の原理:ストック 街並み景観
フローからストックへ
地域性の原理・・・地域住宅生産システムの展望:
直接性の原理
循環性の原理
環境共生
自律性の原理・・・
●棲み分けの構造
地域に生きる建築家と住宅メーカー
メーカーに期待すること
先端モデルの開発・・・ 点ではなく、面のモデル
先端技術:環境共生技術の開発
Ⅴ.住まいと町づくりをめぐる基本的問題
●論理の欠落ーーー豊かさのなかの貧困
◇集住の論理 住宅=町づくりの視点の欠如
建築と都市の分離
型の不在 都市型住宅
家族関係の希薄化
◇歴史の論理
スクラップ・アンド・ビルドの論理
スペキュレーションとメタボリズム
価格の支配 住テクの論理
社会資本としての住宅・建築・都市
◇多様性と画一性 異質なものの共存原理
イメージの画一性 入母屋御殿
多様性の中の貧困 ポストモダンのデザイン
感覚の豊かさと貧困 電脳台所
◇地域の論理 大都市圏と地方
エコロジー
◇自然と身体の論理
人口環境化 土 水 火 木
建てることの意味
◇生活の論理
「家」の産業化
住機能の外化 住まいのホテル化 家事労働のサービス産業代替
住宅生産の工業化 住宅と土地の分離 物の過剰
◇グローバルな視野の欠如 発展途上国の住宅問題
◇体系性の欠如(住宅都市政策)
◇住宅問題の階層化 社会的弱者の住宅問題
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