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2024年8月20日火曜日

審査後のモニタリングも必要,『日刊建設通信新聞』,20060720

◆中小事務所や若手の参加機会を確保すべき

◆審査後のモニタリングも必要

 

国のプロジェクトについては、PFI方式を採用して総合評価一般競争入札で事業者を決定する事例が、一般化しつつある。事業を長期間民間に委託できることや、説明責任を果たしやすいことなど、PFIとは発注者にとっても好都合な事業手法であり、こうしたことから地方自治体でも急速に広まっている。

PFIの課題をあげるなら、まずは地域の中小設計事務所にとっては参入しにくいスキームだということ。中小事業者でもPFIに参加できるファイナンスの仕組みを整えることが求められている。

また総合評価一般競争では技術評価で差がつかず、価格の安い者が落札するという結果に落ち着いてしまいがちだ。実験的なプロジェクトは敬遠され、提案も平均化されたものになってしまう。これまでPFI方式の導入対象となった施設も、民間の知恵を生かすといいながら、用途上民間のアイデアを採り入れにくい施設が多い。これでは思い切った評価ができないし、評価に差をつけることができない。

一方でコンペやプロポーザルであれば、良いものをひとつだけ選べばよい。大型施設であるとか、地域で類を見ないようなものについては国際コンペなど、アイデアを地域外から集めたらいい。だが小学校の校舎であるとか、比較的小規模な建築については、地域の中小設計事務所や若い建築家のために、受注できる機会を確保すべきだろう。

富弘美術館(群馬県東村)のように住民参加型の設計者選定が進められた事例もあるが、このような場合、技術提案をきちんと評価できる審査委員の存在が重要となる。その意味で、結局鍵を握るのは審査委員のそのものかもしれない。少なくとも建設が完了するまで審査委員はプロジェクトを見届けるとか、完成後に継続してモニタリングするシステムなども必要になるだろう。

 

 




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