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2023年5月22日月曜日

未来の読者は無数,建築雑誌,200801

 未来の読者は無数,建築雑誌,200801


未来の読者は無数

布野修司

 成功も失敗もない、どの号にも全力投球したから、「成功した一冊」と言われるといささか考え込むが、印象深いのは2002年1月号「建設産業に未来はあるか!?」であろうか。いきなりメガトン級の批評が寄せられた。その記事を取り上げるについて、理事会で問題にされかけるなど、不愉快な思いもしたけど、実にうれしかった。反応があるということは読まれているということである。いきさつは「編集長日誌(ブログ)」に全て書いたー以降の編集長が「編集長日誌」を引き継がないのは遺憾であるー。

1月号から「カラー頁」を導入したーこれは編集長の意向というより事務局の強い要請であったー、「顔写真」はやめた、短い文章に「はじめに」「おわりに」はやめた、「ニュース欄」の頁数を大幅に削減した、「総合論文集」なるものに一号分差し出した、「月初めに届く」ように締め切りをどんどん早めた・・・まずやったのは紙面刷新であった。

 もうひとつ印象に残っているのは、1200??●号記念のアジア特集{20032月号●?}であろうか。第4回ISAIA(アジア国際学術交流シンポジウム、重慶)に乗り込んで、座談、対談と自らかなりの記事をつくった。

 根っからの編集好きである。『同時代建築通信』『群居』『京都げのむ』と編集に携わり、今も『traverse 新建築学研究』に関わる。9.11が起こり、小泉内閣が船出した、そんな時代に、3万数千部の雑誌の編集長になれたのは実に光栄であった。とにかく楽しんだ。

 だらだらと編集会議はやらない。会議は二時間と決めて、あとはビールを片手に、建築をめぐって色んなことを話した。議論は弾み、多くを学んだ。編集委員が第一に楽しむこと!が編集方針であった。

 ジャーナリズムは所詮その日暮らしのジャーニー(旅)である。しかし、その日暮らしをしっかりと記録するのが最低限の役割である。読者は未来にも無数にいるのだから。





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