第16回 3階住宅フォーラム
住まいの豊かさとウサギ小屋の世界
ハウシング計画ユニオン 『群居』編集長
布野修司(京都大学助教授)
●著書等
『戦後建築論ノート』(相模書房 1981)
『スラムとウサギ小屋』(青弓社 1985)
『住宅戦争』(彰国社 1989 )
『カンポンの世界ーージャワの庶民住居誌』(パルコ出版 199107)
『見える家と見えない家』(共著 岩波書店 1981)
『建築作家の時代』(共著 リブロポート 1987)
『悲喜劇 1930年代の建築と文化』(共著 現代企画室)
『建築計画教科書』(編著 彰国社 1989)
『建築概論』(共著 彰国社 1982)
『見知らぬ町の見知らぬ住まい』(彰国社 199106) 等々
○主要な活動
ハウジング計画ユニオン(HPU) 『群居』
住宅生産組織研究会
東南アジアの都市と住居に関する研究
日本寄せ場学会
同時代建築研究会
建築フォーラム(AF)
サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)
0.はじめにーーー自己紹介に代えて
◇『群居』のことなど
◇研究のことなどーーー東南アジア研究と住宅生産組織研究
◇イスラムの都市性に関する研究
◇中高層ハウジングコンペ
◇ワンルームマンション 外国人労働者の居住問題
◇茨城ハウジング・アカデミー
飛騨高山木匠塾
◇サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)
◇建築フォーラム(AF)
Ⅰ.『住宅戦争ーー住まいの豊かさとは何か』をめぐって
詐欺みたい・前半と後半・住宅一揆・
住まいの豊かさとは何か 問題提起のみ
自分の問題である 戦争状態として捉えるということを主張
「それぞれの住宅戦争」
住まいと町づくりをめぐる基本的問題
●住宅=町づくり
◇建築と都市の分離
◇大都市圏と地方
◇地域と普遍(国際化)
●論理の欠落ーーー戦後住まいの失ったもの 豊かさのなかの貧困
◇集住の論理
◇歴史の論理
◇多様性と画一性
◇地域性
◇直接性
住まい・空間の美学 住まいの豊かさとは?
1。一坪一億円 ○価格
2。入母屋御殿 ○イメージの画一性
3。展示場の風景 ○多様性の中の貧困
4。建築儀礼 ○建てることの意味
5。都市型住宅 ○型の不在
6。ウサギ小屋 ○狭さと物の過剰
7。電脳台所 ○感覚の豊かさと貧困
8。個室 家の産業化 ○家族関係の希薄化
9。水。火。土。風 ○自然の喪失
10。死者との共棲 ○歴史の喪失
●住まいと町づくりをめぐるトピックス
◇「家」の産業化
◇体系性の欠如(住宅都市政策)
◇グローバルな視野の欠如 発展途上国の住宅問題
◇社会資本としての住宅 国際的経済構造のなかの住宅土地問題
◇住宅と土地の分離 決定的な土地問題
◇住宅問題の階層化
◇住機能の外化 住まいのホテル化 家事労働のサービス産業代替
◇社会的弱者の住宅問題 持家主義と福祉主義
◇高齢者の住宅問題 ケア付住宅 ヴォランタリー・アソシエーション
◇二世帯住宅・・・・・
Ⅱ.カンポンの世界
A.カンポンの形成
1.ジャワの村落
①デサとカンポン desa & kampung
②デサ、ヌガラ、パサール desa,negara,pasar
③デサ共同体
2.インドネシアの都市形成過程
①ヌガラ都市、パサール都市、植民都市
②ジャカルタの都市形成過程
3.アーバン・インヴォューション
①インボューションと「貧困の共有」
②過大都市化とそのメカニズム
③アーバン・インヴォューション
B.カンポンの生活空間
1.スラバヤと四つのカンポン
①カンポン・ウジュン
②カンポン・サワハン
③カンポン・カリルンクット
④カンポン・ドノレジョ
2.ルーマー・カンポン
①カンポン住居の原型
②カンポン住居の標準型
③カンポン住居の類型
3.カンポンの構成原理
①カンポン住居の更新プロセス
②カンポンの構成原理
C.カンポン・インプルーブメント・プログラム(KIP)
1.KIPの歴史と概要
2.KIPの手法と実施プロセス
3.KIPの諸問題
Ⅲ.セルフヘルプハウジング
A.東南アジアの居住政策
1.居住政策の基本フレーム
①居住政策の体系
②居住政策のための組織と財源
③居住政策と土地制度
2.居住政策の展開
①住宅供給
②居住環境改善
③関連諸政策
B.東南アジアのハウジング・プロジェクト
1.コアハウス・プロジェクト
2.ルーラル・ハウジング
3.セルフヘルプ・ハウジングの可能性と限界
①Building
Together
②Freedom to
Build
③Bali Housing
Project
④DIAN Desa
Ⅳ.工業化住宅と住宅設計
1.工業化住宅とは
●産業社会の論理と工業化住宅
●住宅生産の工業化
●プレファブリケーション:マスプロダクション:オープン・システム
部品化:
2.工業化住宅の歴史
●その起源
●日本の工業化建築の展開
●日本のプレファブ住宅
3.工業化住宅の仕組み
●工業化構法
●住宅メーカーの組織編成
●業務内容と業務プロセス
4.工業化住宅と住宅設計
●工業化住宅とそれ以外の住宅との本質的差異はどこにあるか
●工業化住宅は全体を支配しうるか、その問題点、弱点とはなにか、
●建築家は何を武器にすることにおいて、工業化住宅の流れに対抗しうる のか
●具体的な試みは?????
Ⅴ.住宅生産の構造と建築家
1.日本の住宅生産の概要
(1)国民経済と住宅投資 GNPに占める住宅生産の比率は?
(2)住宅建設戸数の動向 年間住宅建設戸数は? 最大は?
(3)住宅需要の動向 世帯数と住宅総数の関係は?
(4)住宅所有関係の動向 持家と貸家
省略
2.地域と住宅=町づくり
●地域と住宅あるいは住宅の地域性
・地域性とは
・工業化住宅と町場
・小規模住宅生産の可能性
●地域住宅計画の可能性と限界
・施策の概要
・施策の意義
・施策の展開
●地域住宅計画と住宅設計
・地域住宅工房のネットワーク・・・
・ハウスドクター
・タウン・アーキテクト
●ハウジング計画論の展開
基本原理
●具体的提案
●回路 公的住宅供給 民間住宅供給 ... 個人住宅設計
●組織 設計 施工 ディベロッパー
●住宅イメージ
●場所
Ⅵ.都市型住宅をめぐって
●都市住居の現在ーーー誰もがさぼっている
都市型住居の原型 コートハウス論 イスラム
塔の家 雑居ビルの上の住居
超高層マンション:複合化
●中高層住宅生産高度化施策プロジェクト
住宅生産供給メタストラクチュアリング・タスクフォース
□プロジェクトの目的について
1.国民住居論・・・住宅供給の促進、土地の高度利用、故に中高層住宅の建設という一見もっともな主旨にはいくつもの留保が必要ではないか。第一、土地の高度利用の形態、都市開発における住宅開発の位置づけがはっきりしない。第二、第一と関連して、中高層住宅という時、住宅専用の中高層住宅をなんとなくイメージしてしまうが、他の都市機能との関連でどういう形態が必要なのか必ずしもはっきりしない。すなわち、中高層住宅の建設推進という時に、どのような中高層住宅がどういう場所に必要なのかという議論がいるのではないか。国民にとって魅力的でなければ受け入れられないし、反響も呼ばないだろう。
2.建築職人育成システム・・・中高層住宅について、その生産性の向上・生産合理化の問題、建設労働者の高齢化・新規参入の減少・労働力不足の問題、建設コストの高騰の問題等がプロジェクトの目的の大きな背景にあることは理解されるが、このプロジェクトにおいて、それをモデル的に解くというのは、口実としてはあっても過大すぎる目的ではないか。建設労働力の編成の問題はもう少し大きなフレームを要する問題である。建設労働力の編成と育成の問題はそれ自体大テーマである。
3.工業化手法の展開・・・2.の目的を工法・構法の開発というレヴェルでのみ対応しようとするのは1.の具体的イメージがないかぎり、そう有効ではないのではないか。このレヴェルで目的となるのが、量産化・画一化手法ではなく、多様化手法、多品種少量生産手法?である。というより、中高層(住宅)建築に関する工業化手法の本格的展開というのが目的ということになろう。この場合、戸建住宅との同一尺度による比較において生産性、建設コストを問題にすることは果してどうか。
4.メタストラクチュアリング・・・3.を目的とする場合、基本的問題がある。工業化手法の本格的展開を担う主体がはっきりと見えていないことである。そこで大きく浮かびあがるのが、住宅生産供給のメタストラクチュアリングという目的である。このメタストラクチュアリングについての方針が前提とならないと、プロジェクトは単なる実験、イヴェントに終わる可能性が高い。実験あるいはデモンストレーション、パイロット・プロジェクトという性格は当然あるとして、メタストラクチュアリングの戦略がなければ波及効果は期待できないであろう。
5.都市住居のプロトタイプ・・・もうひとつ、少し次元をことにする目的があるのではないか。都市住居の型の創出という目的である。単に工業化手法による中高層住宅モデルというだけではなく、町並みを形成するモデルとしての都市住居を問題とする必要である。1.を建築的に問題とした場合、都市型住居のモデルが問題となるであろう。また、このレヴェルでは、都市計画的な諸規制、事業法のありかたも当然問題となろう。
Ⅶ.建築家と住宅の戦後史
1.初期住宅問題と建築家 前史 「ハウジング計画論ノート」より
●新しい目標としての都市と住宅ーーー住宅改良雑感(後藤慶二)/社会 改良家としての建築家/市街地建築物法
●文化生活運動の展開ーーー住宅改良と文化住宅の理想/文化生活運動の 位相/
●民家研究の出自ーーー今和次郎のことなど
●戦争と住宅ーーー西山夘三の国民住居論攷
2.戦後建築の課題としての「住宅近代化」
『戦後建築論ノート』より
●ヒューマニズムの建築ーーー機能主義と素朴ヒューマニズム/近代建築 論争/計画化
●住宅の近代化ーーーこれからのすまい/日本住宅の封建性
●伝統論争と住宅
3.住宅産業と建築家
●都市への幻想ーーー小住宅作家万歳/住宅は芸術である
●マイホーム主義と住宅デザインーーー「都市住宅」派
●都市からの撤退--- 最後の砦としての住宅 自閉の回路
近親相姦の住宅設計
●住宅デザインの商品化ーーー商品化住宅の様式化
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