2023年度上半期読書アンケート
①土居義岳、空想の建築史、左右社。②石井翔太、恣意と必然の建築 大江宏の作品と思想、鹿島出版会。③本間利雄+自伝編集委員会、建築家・本間利雄 風土に根ざした建築を求めて、鹿島出版会。④戦後建築研究会、戦後空間史 都市・建築・人間、筑摩書房。⑤磯達雄・文 山田新治郎・写真、日本のブルータリズム建築、トゥー・ヴァージンズ。⑥青井哲人、ヨコとタテの建築論、慶応義塾大学出版会。⑦松村淳、愛されるコモンズをつくる 街場の建築家たちの挑戦、。
コロナ禍がわれわれの拠って立つ足元を改めて問い、歴史を大きく振り返る時間を与えてくれたのであろう。陸続と新著が手元に届く。①はフランス建築史をベースとするヨーロッパ建築史の第一人者による建築論集。「古代ギリシアから現代までをひとつの同時代として」を副題とするように、その切口は常に現代に向けられている。②、③は日本の近代建築の歴史を生きた建築家の仕事を丹念に跡づける。戦後建築をリードした丹下健三の同級生であった大江宏はその裏の深みを生きた。磯崎新と同い年の本間利雄は山形を拠点として生きた。④~⑤は戦後建築に焦点を当てる。いずれも建築の歴史を振り返る著作である。⑥は④にも執筆するが(第一章 民衆・伝統・運動体-冷戦と復興、文学と建築、リアリズムとモダニズム)、理論家として知られる著者の東京芸術大学の講義をもとにした初の建築論である。⑦は「建築家の解体」を宣言した前著を受けて、街場の建築家への期待を綴る。
ウクライナ戦争が世界史の転換を告げて予断を許さない。⑧坂内徳明、女帝と道化のロシア、京都大学学術出版会は、「ノヴゴロドは父、キエフは母、モスクワは心、ペテルブルグは頭」というロシアの歴史観、世界観を教えてくれる。
布野修司(建築批評)




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