このブログを検索

2022年9月20日火曜日

ISO9000Sは品質を向上させるか,「建築」の質とは関係ない,日経アーキテクチャー,19960701

 ISO9000Sは品質を向上させるか,「建築」の質とは関係ない,日経アーキテクチャー,19960701

「建築」の質とは関係ない!?

布野修司

 

 ISO9000についての認識はほとんどない。あわてて分厚いマニュアルを読む羽目になったけれど、読んでもよく分からない。以下の解答は従って頓珍漢かもしれない。

 とにかく言えるのは、日本の社会が国際的に開かれて行くのは必然だということだ。ISO9000への対応が遅れていることが問題となること自体それを示している。国境を越えて人やものが交流する場合、一定のルールと基準は不可欠であり、ISOのような機関が必要となるのは当然だと思う。まずは、日本の建築界、建設業界の閉鎖性を厳しく見つめ直した方がいい。とかく、ひとりよがりで、自分のことしか考えない日本は評判が悪い。

 建築家の組織(建築士事務所)のことを考えてみる。アーバンアーキテクト制を考えると、その資質認定にISO9000が問題になるに違いない。しかし、アーバン・アーキテクト制を考えるときには個人がベースだ。

 しかし、建築の品質管理を個人で行えるかというと、それは無理だろう。議論の立て方として、それは前提にした方がいい。しかし、組織が品質を保証するといっても、それがISO9000のようなものだとすると、いささか疑問が沸いてくる。

 大手設計事務所をとって見る。ISO9000でも何でも基準をみたしたとする。しかし、それで建築の「質」は保証されるであろうか。ここでもちろん建築「質」とは何かが問題なのであるが、同じ組織でもAチームとBチームが同じプロジェクトにのぞむとしたら、当然「質」の違うものができる筈だ。要するに、ISO9000の「質」はそうした次元とは関係ないのではないか。




0 件のコメント:

コメントを投稿