このブログを検索

2022年9月16日金曜日

建築家は働きすぎ?,ゆとりを許さない建築界,日経アーキテクチャー,日経BP社,19920706

建築家は働きすぎ?,ゆとりを許さない建築界,日経アーキテクチャー,日経BP社,19920706

建築家は働きすぎ?                              布野修司

             

 一般に働き過ぎだと思う。バブル華やかなりし頃には、今忙しくないなら設計事務所をたたんだ方がいい、などと歓迎されたものだが、バブルが弾けてもこうした問いが発せられるところを見ると、その余波は相変わらず続いているのだろう。周辺の建築家をみてもみなさん結構忙しそうだ。

 建築家というのは本質的に忙しい人種ではないか。建築をつくりあげるためには無限の決定が必要であり、意欲的に取り組めば仕事はいくらでもあるからである。にもかかわらず、忙しすぎるのは決していいことではない。所員が昼間の町を知らないといった某有名建築家の仕事ぶりなどやっぱり常軌を逸している。映画を見たり、コンサートを聞きに行ったりする余裕がなくて、いい建築ができるわけがない。

 問題は社会全体の問題であって、ひとり建築界だけの問題ではないのだけれど、時短の問題をみてもとりわけ建築界はゆとりを許さない体質をもっているようだ。現場では、業界全体で一致した取り組みが必要なのであるが、週休2日制の実現など容易ではない。

 建築家の働き過ぎのひとつの要因として、現場離れがある。現場の技術情報に疎く、図面の不備や手戻りが時間を食うことも多いのである。とまれ、要は全体システムである。思い切ったシステム転換を行わない限り、今年の夏もあんまり休みはとれないでしょう。残念ながら。




 

0 件のコメント:

コメントを投稿