京都大学建築系教室
地域生活空間計画講座―生活空間設計学講座
布野研究室
OBOG関係者諸君へ
京都大学建築系教室離脱について
布野修司
前略 ご無沙汰しております。
諸君諸嬢、元気にご活躍のことと思います。
突然ですが、この2005年3月末をもって、1991年9月から13年半お世話になった京都大学建築系教室を辞することになりました。縁あって、4月以降は、滋賀県立大学にお世話になることになります。
布野研究室に在籍した諸君諸嬢には、京都大学の拠点を維持することが出来ず、誠に申し訳ない気持ちで一杯なのですが、以下、この間の事情をいささか踏み込んで記して、とりあえずの報告とさせてください。新天地からは、改めて挨拶する予定です。
修論の審査、博士課程への入学をめぐって(あるいは研究室への配属、予算、人員配置をめぐって)嵐のような時代があったのは、山本麻子、渡辺菊真、森田一弥前後数年の時代でしたが、この間の、外部(第三者)評価、改組、JABEE対応、桂移転、独立法人化、さらには学会選挙などが絡んで、また教室の雰囲気がおかしくなったのは四年ほど前ぐらいからでした。小生は2001年から2003年にかけて、『建築雑誌』の編集長を務め、対外的には華々しく?動いていたのですが、実は、様々な問題で教室は火の車のようでした。諸君がお世話になった秘書の皆さんは一人やめ(させられ)、一人やめということで誰もいなくなってしまいました。
裏事情をいくら書いても愚痴のようになりますが、また、対外的に書けない非道いことも多いのですが、離脱を決断する直接のきっかけとなったのは、昨年の新人事です。とりわけ、古阪秀三先生の上に一歳しか違わない教授、大崎純先生の上に二歳しか違わない教授が配されたことです。これまで、「こんなことまで、やるのか」という眼には度々あってきましたけれど、これには絶句しました。われわれはJリーグというのですが、助教授7人で『traverse新建築学研究』という研究誌を出しているのですが、これに関わるものは上げない、ということのようです。京都大学建築教室はおかしい、と学会やお隣の土木系教室から言われてきたのですが、これはちょっと非道すぎる、動いてメッセージを伝えるべきだというのが今回の決断の一つのきっかけになっています。
より具体的には、まず、学位論文の審査の問題があります。これまで、苦労しながらも、牧、青井を先駆に、脇田、パント、山本直彦、田中麻里、佐藤、トウ・イ、そしてぎりぎりで朴、山根とセットしてきましたが、常に綱渡りの状況でした。これからこの状況が改善する見込みは薄く、新たに留学生を含めた人材を育てる時間がありません。柳沢、山田、ナウィット、丹羽哲矢、下平先生(さらに、必要なら山本麻子、菊真、森田・・・)の学位論文は側面援助ということになります。
さらに、大学院修士の枠は来年度から一人ということがあります(助教授は全てそうで、布野だけではありません)。また、校費は独法化と桂移転で、これまでの半額、年40万円が当初配当となります。こんなことをわざわざ書きたくないのですが、桂の空間を含めてこれまでのように教育研究を展開する環境ではなくなった、という判断があります。
在籍学生は、M2が6人(修了)、M1が4人、新M1が2人、Dが5人、悩みましたが、いくつかの大学からお誘いがあるなかで、新天地の熱意(公募です。誤解なきよう)に感じるところがあって、決断した次第です。学生たちは大パニックでしたが、なんとか理解してくれ、それぞれアフターケアの目処も立ちつつあります。
かなり歳をとりましたが、布野は布野で気だけは少しも変わってないつもりでおります。後ろ向きにやめるのではなく、前向きに動いているつもりです。幸い山本直彦(立命館大学)が同時に動くことになりました。また、山根周(滋賀県立大学)が講師に昇格します。アジア都市建築研究の一大拠点を目指してはりきっています。学生たちも元気が良さそうで楽しみにしております。
京都大学はすばらしい大学です。ただ、建築系教室にはかなり非道いところがあります。変な噂が流れると嫌なので、実際のところを具体的に以上のように書きましたが、14年の大半は楽しい思い出で充ちています。特に海外調査は最高です。これだけはやめられません。また、諸兄のおかげで14年で相当の仕事をすることが出来たと自負しております。つい2月末には、『近代世界システムと植民都市』(布野修司編著、京都大学出版会)を上梓しました。続いて『世界住居誌』が5月頃出ます。
大学のすぐ近く(彦根)に既に宿舎を確保しましたが、当面京都を拠点にすることは変わりません。京都CDLは菊真、佐藤、柳沢、高橋俊也・・・を中心とする新体制でやります。また、木匠塾も持続する中で、京大の学生たちとはつきあうことになると思います。また、建築系ではないのですが、防災研究所の巨大災害センターの助教授として牧が赴任します。布野は、助教授どころか助手ですらつくれなかったのですが、布野研初代でもある牧がなんらかの精神を京大に繋いでくれることを期待したいと思っています。マイケルもこの四月から武蔵野大学人間関係学部環境学科講師になります。また、将来、流れがかわるでしょうし、布野スクールから京大に戻る諸君諸嬢が出ることを夢見たいと思います。
諸君諸嬢の今まで以上の活躍を期待しています。また、これまで以上におつきあい下さい。
草々
様
前略
ご無沙汰しております。
この度、『近代世界システムと植民都市』(布野修司編著、京都大学出版会)を上梓いたしました。1998年度から続けてきました「植民都市研究」も一段落となります。ご批判いただければと思います。
本のあとがきにも書きましたが、昨年末の大津波の折、スリランカのゴールというオランダが造った要塞都市に居て命拾いいたしました。悪運が強いというか、九死に一生、その場ではそうでもなかったのですが、帰国して様々な情報を得てぞっとした次第です。
ところで、死んでいたかもしれない命というわけではありませんが、心機一転、この三月末で京都大学を辞することに致しました。1991年9月から13年と6ヶ月、丁度東洋大と同じ年数勤めたことになります。この間、孤軍奮闘ということでもなかったのですが、この間の親しい同僚に対する相次ぐ理不尽な対応に、さすがの小生もこれ以上耐えられない、と判断した次第です。学生たちは大パニックですがなんとか理解してくれ、それぞれアフターケアの目処も立ちました。
何人かの弟子も育ち、おかげさまで多くの仕事をすることができました。本書に続いて上梓する予定の『世界住居誌』が京都大学での最後の仕事ということになります。
この4月からは、縁あって滋賀県立大学(環境科学研究科・環境計画学専攻)にお世話になります。連絡先等あらためてお知らせしますが、今後ともよろしくお願いいたします。もう一仕事も、二仕事もするつもりで張り切っています。面白い仕事、プロジェクトあれば、お声をかけていただければと思っております。
しばらくは京都に住む予定にしております。お越しの折にはお声をおかけください。積もる話を聞いていただければという心境でもあります。
草々
京都大学大学院工学研究科
建築学専攻:生活空間設計学講座
Dr.Shuji Funo
Department of Architecture and Environmental Design
Faculty of engineering
Kyoto University
funoshuji@aol.com
吉田キャンパス 研究室 京都市左京区吉田本町 〒606-8317
tel=fax +81-(0)75-753-5755
京都市左京区高野玉岡町1-144 Res. tel=fax 075-712-3829
Dr. Shuji Funo 布野修司
The University of Shiga Prefecture
2500 Hassaka-cho, Hikone City, Shiga
Prefecture
滋賀県立大学大学院環境科学研究科・環境計画学専攻
環境科学部・環境計画学科・環境建築デザイン専攻 滋賀県彦根市八坂町2500 〒522-8533
京都大学大学院工学研究科
建築学専攻:生活空間設計学講座
吉田キャンパス 研究室 京都市左京区吉田本町 〒606-8317
tel=fax +81-(0)75-753-5755
京都市左京区高野玉岡町1-144 Res. tel=fax 075-712-3829
Dr. Shuji Funo
布野修司
The University of Shiga Prefecture
2500 Hassaka-cho, Hikone City, Shiga Prefecture
滋賀県立大学大学院環境科学研究科・環境計画学専攻
環境科学部・環境計画学科・環境建築デザイン専攻
滋賀県彦根市八坂町2500 〒522-8533(代表)
0 件のコメント:
コメントを投稿