23 北京の変貌,おしまいの頁で,室内,199911
北京の変貌
布野修司
国際交流基金と日本建築家協会共催の「現代日本建築一九八五-一九九六展」が中国を巡回中で、それに合わせた講演(「日本建築の発展と日本文化」)を外務省から依頼された。『日本当代百名建築師作品選』を中国で出版した(一九九六年)縁である。
北京、西安、広州を駆け足で回ってきたのだが、建国五〇周年を迎えた中国都市の変貌ぶりには心底驚いた。その象徴が北京随一の繁華街、王府井(ワンフーチン)だ。四年前にはまだ以前の面影が残り、赤いマクドナルドの店が目立つ程度であったが、そこに巨大なショッピング・センターが建っている。今では一体何処の国の街だかわからないほどだ。
天安門の前を東西に走る長安街の変貌も著しい。中国風の屋根を載せたかってのビル(帝冠様式!)に変わって、石貼りとミラーグラスを組み合わせたポストモダン風のオフィスビルが建ち並ぶ。ほとんどがアメリカ人建築家の手になる。
伝統的な住居、四合院の残る地区はほぼ消えつつある。旧城内では二カ所が保存地区に指定されているだけだ。「大雑院」と呼ばれる建て詰まった低層の四合院地区が再開発を待っている。
交通渋滞は相当深刻だ。住宅建設の最前線は郊外へと展開中で車を持つ層が増えている。いくつかモデルルームを訪れて、びっくりしたのは広さだ。一五〇平米が標準で、三〇〇平米を超えるものもある。三人家族でこれだけ必要なのか、と思わず尋ねた程だ。なんと、投機!?のために買う層が多いのだという。中国には、安置工程(四三平米)、安居工程(七〇~八〇平米)、小康住宅(一二〇平米)という区分があるが、政府は昨年末、賃貸住宅を廃止し、住宅建設分野に市場原理を導入することを決定したのだ。その結果が空前の住宅建設ブームである。日本では「億ション」といっていいオートロックの高級住宅が次々に建っている。
『室内』おしまいの頁で199801~199912
◎01百年後の京都,おしまいの頁で,室内,199801
◎02室内と屋外,おしまいの頁で,室内,199802
◎03英語帝国主義,おしまいの頁で,室内,199803
◎04 アンコ-ルワット,おしまいの頁で,室内,199804,
◎05 ヤン・ファン・リ-ベック,おしまいの頁で,室内,199805
◎06 秦家,おしまいの頁で,室内,199806
◎07 木匠塾,おしまいの頁で,室内,199807
◎08建築家と保険,おしまいの頁で,室内,199808
◎09桟留,おしまいの頁で,室内,199809
◎10 インド・サラセン様式,おしまいの頁で,室内,199810
◎11 ヴィガン,おしまいの頁で,室内,199811
◎12カピス貝の街,おしまいの頁で,室内,199812
◎13ダム成金の家,おしまいの頁で,室内,199901
◎14 J.シラスのこと,おしまいの頁で,室内,199902
◎15 ジベタリアン,おしまいの頁で,室内,199903
16西成まちづくり大学,おしまいの頁で,室内,199904
17 スラバヤ・ヤマトホテル,おしまいの頁で,室内,199905
◎18京都デザインリ-グ構想,おしまいの頁で,室内,199906
◎19 ジャングル,
おしまいの頁で,室内,199907
◎20 大工願望,おしまいの頁で,室内,199908
◎21日光,おしまいの頁で,室内,199909
◎22ヴァ-ラ-ナシ-,おしまいの頁で,室内,199910
◎23北京の変貌,おしまいの頁で,室内,199911
◎24群居,おしまいの頁で,室内,199912
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