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2022年5月3日火曜日

私の京都新聞評「環境再生は世界共通テーマ」,京都新聞,20060611

私の京都新聞評「環境再生は世界共通テーマ」,京都新聞,20060611

 

2006年6月10日

布野修司

 滋賀県立大学には、環境フィールドワークというユニークな授業がある。専門の領域を超えて、環境問題に教師も学生も一緒になって取り組む。今年から新しく開始された「琵琶湖集水域の生態環境」というテーマに加えて頂いて、実に新鮮である。大学近辺の江面川をまずターゲットにして、生息する水生生物を捕まえて記録する、要するに魚採りである。子どもの頃の記憶が蘇って、実に楽しいのであるが、愕然とする事実も知らされるる。滋賀県をのぞくと全国の河川からメダカがいなくなったのだという。

こんなことを書くと笑われそうなのが、「児童らいきいき活動、環境調査へ結成式」(五月二四日、22面)である。長浜市ではもう二〇年も水生生物少年小女調査隊が活動を続けているのだという。今年は九七人が隊員になった。滋賀県は環境県だとつくづく思う。同じ日の記事には、湖南市吉永の野洲川で三雲東小の生徒がアユの稚魚八〇〇〇匹を放流したとある。調査とともに環境再生の試みも盛んである。五月二七日に京滋のトップを切って愛知川でアユ釣りが解禁されたが、アユ釣りの背後にはアユ放流の努力がある。また、堰や土砂が移動を阻むことから魚道設置の試み(五月二三日)もある。大津市の喜撰川など多くの魚道が設けられているという。ただ、効果の疑わしいものが少なくないという。

授業の一環で、荒神山に上って琵琶湖を眺めた。湖岸の水が黄土色に濁っているのがよくわかる。濁水の流入である。環境への配慮も未だに多くの問題を抱えていると言わざるを得ない。「濁水や農薬、生態系に影響?」(五月二九日22)は、「見えない不安」を報告している。田植え期にはいつも黄土色になるのだというが、その影響はよくわかっていないのだという。






 

 

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