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2025年3月10日月曜日

素裸夢物語 『群居』創刊 、「鯨の会」通信 連載⑧  1988

素裸夢物語 『群居』創刊 、「鯨の会」通信 連載⑧  1988

                                                                                                布野修司 

 鯨通信も再び間があいた。皆、忙しすぎる。どうなっているんだろうと思っていると原稿依頼がきた。今まで何を書いたんだっけ、とバックナンバーを見直したところだ。この間、僕は相変わらずドタバタである。書くことは山ほどたまってしまった。会員の動きも激しい。

  2月4日、三村淳君 (85年度7期)、4月1日、中条宏隆君(85年度7期)、4月29日、望月信男君(81年度3期)、それぞれ結婚。おめでとう。和井田(三戸)君(2期)、飯塚君(4期)、独立、それぞれ事務所開設。研究生の遠藤君(9期)は、六角鬼丈さんの所へ就職。山下設計の荒木君(5期)は、博多から東京に戻ってきた。1期の木下宏峰君は、サンコーコンサルタントへ転職。上村久君は JKKからアイザックへ転職。鯨通信もこういう会員の情報を載せて欲しい。

  ●和井田建築設計事務所             アルバイト募集

 ●飯塚設計舎             仕事下さい。

 今年の卒業式の日は(も?)、布野宅で大騒ぎ。フィアンセを連れた軍団が現れたり、千客万来。まるで幻のように誰がきたのか覚えていない。いずれにせよ、結婚ラッシュである。大学の教師にとって、このラッシュは終わることがないのだと思うと、何ともいえない気分になってくる。青春は遠く過ぎ去りにけり、だ。

 ところで、山本理顕さんの講演会では、鯨の会の軍資金をかせごうと思っていたらしのだが、そうもいかなかったらしい。暮れで忙しすぎたのか、思った程、爆発的に人が集まらなかったのである。しかし、その内容は挑発的であった。報告は、事務局に譲ろう。

 昨年から、今年にかけての出来事は、詳しく書いてる余裕がないから、電子手帳からスケジュールのみをプリント・アウトしておこう。

        建築知識で『住宅戦争』についてインタビューをうける。

            イスラムの都市性に関する研究会「アジアの都城」(オルガナイザー 応地利明)をテーマに熱海で開かれる。建築関係では、木島安史、陣内秀信、飯塚キヨ、布野修司など。

        埼玉県建築士会、指定講習会(川越福祉会館)。何故かCADについていい加減なことをしゃべる。

        家づくりの会 公開講座第四回「地域住宅計画の可能性と限界」ゲスト:山中文彦 内田祥哉先生またしても出席。

           藤澤好一、野辺公一、布野修司、熊本市職業訓練大学校、熊本県立球磨工業高校ヒヤリング。

        六角鬼丈氏の東京武道館を見学、その後対談。『建築文化』4月号参照

        山田守自邸見学

        大野タスクホースでメモ提出

        家づくりの会 公開講座 最終回「ハウジング計画論の展開」。内田先生、最後まで出席。楽しく言いたい放題、無事終了。

        住宅生産組織研究会(工学院)

        海外情報フォーラム黄氏(原研究室)「世界風景か中国風景かーーー中国全土縦横断2万5千キロ」

        連続セミナー 住居根源論「深化する建築」 渡辺豊和・小松和彦・布野修司 鼎談

        桶川生涯学習センターコンペ審査

        山谷労働者会館二階現場打ち

           出雲建築士会で講演「住まいと町づくり」。その後、出雲、松江で飲んで「出雲建築フォーラム」構想を練る。

        群居編集会議 

        山谷労働者福祉会館デザイン会議

        タスク・フォース

        卒業パーティー

        群居編集会議

        住宅生産組織研究会

        建設同友会で講演。

        群居編集会議

        同時代批評の会 国立研究会

        山陰の経済インタビュー

        山谷現場コンクリート打(3階)

        象お別れパーティー 象設計集団、北海道へ行く。

 家づくりの会の公演講座は、昨年10月から5回やった。実に面白かった。家づくりの会(会長 泉幸輔)とは、住宅の設計を主とする建築家の集まりである。内田祥哉先生(明治大学)が毎回出席(結果、第3回のみ欠席)というので、大先生の前でしゃべる何ともいえない経験をしてしまった。家づくりの会と家づくりの会に期待することについては、『住宅と木材』(1990年6月号)に書いたので、参照されたい。

 タスクホースというのは、「中高層集合住宅高度化プロジェクト」の略暗号である。昨年から5ケ年計画で、都市型住宅について本腰を入れてやろうという建設省のプロジェクトだ。建築センターの担当は、井手幸人君。偉くなったものだ。昨年は、ワンルームマンションおよびラブホテルに関する調査を研究室に委託してくてた。金額はわずかだけれど、今年も続く。研究室のOBと一緒に仕事をするのはてれくさいような気もしないでもないけど、何となくうれしいもんだ。

 職人不足については、『室内』(90年3月号)に書いた。それを山本夏彦大先生が『週刊新潮』(3月1日号)で「職人不足は誰のせい」(夏彦の写真コラム)でとりあげてくれた。「布野修司といっても知るまいが、気鋭の建築評論家で・・・・・・、大学の先生にしてはわかりやすい文章を書く・・・。」少しは文章、うまくなったのかしらん。

 茨城県では、いま職人学校を構想中だ。山谷福祉会館は、松田和優紀君が頑張ってる。奇蹟的に、3階まで建ち上がった。出雲では「出雲建築フォーラム」結成の作戦を練っている。住居根源論では、平倉直子、高橋晶子、妹島和世、後藤真理子が次々に登場、来春まで続く。また、追々、報告しよう。

 研究室は、今年は4年生が11人。M2が倉澤君、M1が五十嵐君に村上君の15人体制だ。もうじき、野球大会が始まる。素木先生も、今年一杯で定年で、素木杯も今年が最後のチャンス。とりたいけども、・・・・・ あとは言わずもがなかな。

 空前の売り手市場である。もう4月の初めから、研究室前の廊下には背広姿がうろうろ。どうしても、人材が欲しければ、前もって連絡すること。相談にのらないでもない。そのうち就職委員をやらされると思うとうんざりだよ。不況の時に、卒業した諸君、もう信じられない状況だよ。もう1~2年は続くのかしらん。

 さて、四期目(1982年度)である。16人。前に触れたけど(連載①)、アメリカ旅行へ一緒に行った学年だから、印象深い。また、この学年は、2期に続いて、設計事務所希望が多い学年だったのが特徴だ。デザインオリエンティッドの学年とそうでない学年があるのは面白いものだ。設計事務所希望は、デューダにサリダが激しい。こちらもはらはらだけど、期待も大きい。

 塙君は茨城に帰った。茨城県の仕事で度々行くから、会いたいものだ。水戸には坂本君がいる。ダンス部の望月君とのダンスは、「今夜も思い出し笑い」だ。  

 Uターン組も多い。理論家の森井君は富山、緑川君は福島、高橋君は福井、小幡君は和歌山だ。埼玉に最後までなじめなかった小幡君は設計事務所を経て家業をついでいるんだけど、うまくやっているのだろうか。町田君は埼玉だけど地元に勤めた口だ。

  今日、これを書いている最中に電話をくれた。求人である。遅い遅いといったら驚いていた、「現場が欲しいんだろう」、「行たがらないんだよ、最近の若い子は」・・・・・。

 飯塚君の独立は冒頭に触れたけど、設計事務所組は全員、入ってすぐやめた大塚君を筆頭に転職したのではないか。上原(藤野)珠ちゃんは長谷川→北川原。鯨の会のメンバーでもあるダンナの藤野君は、この5月から東工大の山下和正さんのところの助手になる。大変そうだけど、まずはめでたい。石川君はシステムホームズもやめたんだって。石渡君はずっと頑張ってるか。人をくれと言われて、いつも送れず御免。新卒がOB事務所に行くのは禁止の教育的指導の方針なのだ。辻君はGLホーム(第一大工)をやめた。ところで、阿久沢はどうしてるんだろう。行方不明だ。君の笑顔がなつかしい。

 例によって、記憶がごちゃごちゃである。この学年の最大のイヴェントは何だったんだろう。合宿は金原温泉。インドネシアから、J・シラス先生たちを招いてシンポジウムをやった年だから、東南アジア研究が研究の柱だ。八巻君がM1、井手君がM2。地域住宅研究、熊谷調査が始まった。研究室の基礎ができた年といえるかもしれない。 この年の12月、群居創刊準備号が出た。HPUもそれへ向けて、頻繁に会合をもっている。石山修武だって、渡辺豊和だって、あんまり仕事がなくて、「群居」に一生懸命だった。アメリカにも行った。不思議でしょうがない。一年で、かくも、こんなに多くの事が出来るのか、と。酒飲んでいたばかりの筈なのに。

 ということは、今の研究室はどうも密度が薄くなっているんじゃないか、といささか不安になってくる。老け込むのはまだ早い。もう少しは、走らなくちゃ。だけど、僕は今年は厄年なんだよなあ。


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布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...