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2025年3月8日土曜日

みんな、偉くなった!? M.A.P工作集団「鯨の会」通信 連載⑥  1988

 みんな、偉くなった!? M.A.P工作集団

                                               「鯨の会」通信 連載⑥  1988

                                        布野修司

 

 いま、研究室は、合宿の準備で大忙しだ。今年は、群馬県川場村で布野研究室、芝浦工大藤沢研究室、千葉大学安藤研究室の三大学合同合宿である。千葉大とは三年連続。安藤先生は遠くロンドンの空の下なのだけれど、鬼の居ぬまに何とやらである。総勢40人を超える。

 それに今年は、井出建さんが参加、HOPE計画のための調査を手伝うことになった。7月28日には、川場村村長をはじめ、村の重鎮が大勢参加でレクチャー。建設省や建築センターからも何人か参加するという。7月29日~30日は川場祭り。29、30日は調査である。もうどうなることやら。行く前からしっちゃかめっちゃかである。何かが絶対おきる。乞御期待だけれど恐ろしい。

 産経新聞で6月から毎週一回コラムの連載を始めた。月曜日の朝刊、「周縁から」というタイトルでとりあえず半年ということだけど、どうなりますことやら。「中心から」とかにしたっかたのだけれど、似合わないという、そうかもしれない。結構楽しんで書いてるのだけれど、ネタちょうだい。産経では、一年前から月曜日に建築だけで一頁作っている。しらなかったんだけれど、建築界にとっては画期的なことかもしれない。例によって村田憲司さんという担当者に出会って意気投合したのが始まりだ。三回ぐらい夜明けまで飲んで、OKしたのだ。最初からやりますと言えばいいものを、酒飲みたさに返事を延ばし延ばしして・・・・悪い癖だ。もっと素直になれば、原稿依頼ももっとくるのにと思うけどどうしょうもない。

 ここまで書いていて、扇風機を今年初めて回した。ガタガタとすさまじい音がする。止めてみると羽根が一枚欠けている。誰だ!。壊した奴は!。この前の扇風機もやっぱり羽根が壊れて、去年買ってもらったばかりだ。もう買ってもらうわけにはいかない。もうクソ暑くて頭にきた。壊した奴は、こっそり買って研究室に返しなさい、88年度卒業生諸君、特に北川君責任をとること。今年の夏、扇風機がないと大変なことになるのだ。クーラーは依然としてわが研究室にはないのである。

 さて、連載を続けよう。

 80年についての一つの思い出は、工学祭だ。工学祭には、あんまり参加したことはないのだけれど、研究室としてシンポジウムを行った。

 タイトルは、

'80 SYMPOSIUM

 いま建築に何が可能か」である。プログラムは以下の通りだ。

 

 Ⅰ REPORT       10:0012:00

  1.「建築における実と虚」  M.A.P工作集団

     -いま、都市をみることから何かが始まる-

 

  Ⅱ LECTURE            13:0016:00  1.「建築の無限」               毛綱毅曠

     -宇宙と建築-

   2. 「和風、技能、亜細亜」        石山修武

     -現実と建築-

   3. 「装飾、記号、平面」          伊東豊雄

     -コミュニケーションと建築-

   4.「制度、文化、商品」           宮内 康     -同時代と建築-

 

    DISCUSSION      16:0017:00     テーマ「制度と空間」      司会 布野修司    毛綱+石山+伊東+宮内+M.A.P+・・・・

 

 11月16日、日曜日のことだ。東洋大学工学部106講義室(今の114番教室)。 入場料 500円。そして主催がM.A.P工作集団

 M.A.P工作集団とは何か?何故、M.A.Pという名前なのかは忘れた。何でだっけ。当時も聞いてないような気がするんだけど、教えて欲しい。とにかく、布野研究室が全員、主体となって取組んだ筈だ。今、手元に、その時の記録「見聞録」というのがある。大事にファイルしてる。中味は、石山、毛綱、伊東、宮内へのインタビューの全記録が中心だ。関係者で、なつかしく読みたい人はコピーをあげるから連絡ちょうだい。

 しかし、なかなかよくやったと思う。建築家の書いた文章を集め、作品を見て回り、会って話を聞いて、それをまとめて発表したのである。大変なエネルギーがかかっている。それにひきかえ、最近の学生は・・・・なんて言わないけれど、熱気があったなぁと思う。もうあれから10年になるのである。

 と、ここまで書いて、今、川場村だ。7月30日、ほぼ合宿のスケジュールを終えた。これから川場祭りのハイライト、花火大会だ。花火を見ながら後を書くことになる。最高である。民宿は、岩田渡(いわたど)。打ち上げパーティーをしながら花火が目の前にみえる特等席である。

 この合宿について4年生の誰かが書いた方がいいと思う。なかなかのプログラムであった。これまでの合宿で初めて、本格的な調査を行った。また、二日目の晩は、韓国の仮面劇(風物ノリ、マダン劇)をみることができた。最初の日は、シンポジウム「若者がつくる未来農村」を聞くことができた。そして、今日は川場祭りでみこしが町中練り歩いていた。千葉大、芝浦工大は、今朝、次の予定地に出発。今日は、東洋大だけだ。夜、M2の中村君(音響)が来るという。千客万来、大歓迎である。今日は、午前中、調査の続きを行って、午後は恒例のリクレーション。今年は、マスのつかみとりだ。ナント、20匹つかんだ。そのうち8匹は僕だ、エヘン!!すぐに焼いて、清流で冷やした缶ビール(千葉大の加賀さんからの差入れだ)で乾杯。

 これから、花火を見て、川場祭りのクライマックスへ皆で出かける。オートバイやビデオがあたるクジをもらった。誰かが当たる、そんな予感が今している。

 川場はいい村だ。しばらく通うことになりそうである。

 ところで、 M.A.P工作集団が呼んだ、ゲストはどうだ、当時は、まだそう作品のなかった建築家が、今はみんな偉くなった。シンポジウムの後、皆でカラオケやったり、楽しく酒を飲んだのだけれど今、呼ぶとなるとギャラが大変かもしれない。M.A.P.のめのつけどころは大したものだったのである。4年生の諸君またこういうのやったら。どんな大物でも電話ぐらいかけてあげますよ。来るか来ないかは別として。君達の熱意とやる気があれば、何でもできる筈だ。 M.A.P工作集団も、もう全員、三十路(みそじ)を超えた。みんな頑張っているとつくづく思う。

 今、最初の花火が上がった。

 

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布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...