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2022年3月23日水曜日

『図書新聞』読書アンケート 2017上半期 下半期

『図書新聞』読書アンケート 2017上半期 下半期  


207年度上半期読書アンケート

 

①平良敬一、平良敬一建築論集 機能主義を超えるもの、風土社。

②松隈洋、建築の前夜 前川國男論 、みすず書房。

③種田元晴、立原道造が夢見た建築、鹿島出版会。

①は、『国際建築』『新建築』『建築』『SD』『都市住宅』『住宅建築』など、戦後の主要な建築雑誌の発刊、編集のほとんど全てに関わってきた建築ジャーナリズムの「神様」、平良敬一初の建築論集である。今年、91歳。一線を退いたとは言え、建築界の問題をめぐって発言を続けている。初の建築論集とは意外であるが、編集者に徹してきたということである。大論文は少ないが、編集や特集に寄せた小論考は鋭く、戦後建築の初心を生き続けてきたその主張には驚くべき一貫性がある。②は、戦後建築をリードし続けた前川國男の戦前戦中を丹念に問う。前川國男の戦前戦後の連続・非連続、転向・非転向をめぐってはこれまでも議論されてきたが、その実相に深く迫っている。③は、夭折の詩人であり建築家であった立原道造の「建築の夢」を問う。立原道造もその日本浪漫派との関係が議論されてきたが、昭和末期生まれの若い建築家がその夢の可能性を問う。いずれも戦後建築の基層をさらに深く問う真摯な信頼すべき論考である。時代が要請しているのである。

布野修司(建築批評)








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