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2023年5月8日月曜日

住まいの豊かさとウサギ小屋の世界、第16回 3階住宅フォーラム、旭化成

 第16回 3階住宅フォーラム

住まいの豊かさとウサギ小屋の世界

                  ハウシング計画ユニオン 『群居』編集長 

                        布野修司(京都大学助教授)

 

 

 

●著書等

         『戦後建築論ノート』(相模書房 1981

                  『スラムとウサギ小屋』(青弓社 1985

                  『住宅戦争』(彰国社 1989

         『カンポンの世界ーージャワの庶民住居誌』(パルコ出版  199107

         『見える家と見えない家』(共著 岩波書店 1981

                  『建築作家の時代』(共著 リブロポート 1987

         『悲喜劇 1930年代の建築と文化』(共著 現代企画室)

         『建築計画教科書』(編著 彰国社 1989

         『建築概論』(共著 彰国社 1982

         『見知らぬ町の見知らぬ住まい』(彰国社  199106) 等々

 

 

○主要な活動

         ハウジング計画ユニオン(HPU) 『群居』

         住宅生産組織研究会

         東南アジアの都市と住居に関する研究

         日本寄せ場学会

                同時代建築研究会

         建築フォーラム(AF)

         サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)

 

 

 0.はじめにーーー自己紹介に代えて 

   

      ◇『群居』のことなど

       

   ◇研究のことなどーーー東南アジア研究と住宅生産組織研究

 

   ◇イスラムの都市性に関する研究

 

   ◇中高層ハウジングコンペ

 

   ◇ワンルームマンション 外国人労働者の居住問題

 

   ◇茨城ハウジング・アカデミー

    飛騨高山木匠塾

    

   ◇サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)

 

   ◇建築フォーラム(AF)

 


 Ⅰ.『住宅戦争ーー住まいの豊かさとは何か』をめぐって

   詐欺みたい・前半と後半・住宅一揆・

   住まいの豊かさとは何か 問題提起のみ

   自分の問題である 戦争状態として捉えるということを主張

   「それぞれの住宅戦争」

 

   住まいと町づくりをめぐる基本的問題

 

    ●住宅=町づくり

   ◇建築と都市の分離

   ◇大都市圏と地方

   ◇地域と普遍(国際化)

 

   ●論理の欠落ーーー戦後住まいの失ったもの 豊かさのなかの貧困

   ◇集住の論理

   ◇歴史の論理

   ◇多様性と画一性

   ◇地域性

   ◇直接性

 

 住まい・空間の美学  住まいの豊かさとは?

                            

 

 1。一坪一億円               ○価格  

 2。入母屋御殿                            ○イメージの画一性

 3。展示場の風景               ○多様性の中の貧困

 4。建築儀礼                              ○建てることの意味

 5。都市型住宅                           ○型の不在

 6。ウサギ小屋                        ○狭さと物の過剰

 7。電脳台所                              ○感覚の豊かさと貧困

 8。個室 家の産業化                      ○家族関係の希薄化

 9。水。火。土。風            ○自然の喪失 

10。死者との共棲                          ○歴史の喪失

 

 

   ●住まいと町づくりをめぐるトピックス

   ◇「家」の産業化

   ◇体系性の欠如(住宅都市政策)

   ◇グローバルな視野の欠如 発展途上国の住宅問題

   ◇社会資本としての住宅    国際的経済構造のなかの住宅土地問題

   ◇住宅と土地の分離 決定的な土地問題

   ◇住宅問題の階層化

   ◇住機能の外化 住まいのホテル化 家事労働のサービス産業代替

   ◇社会的弱者の住宅問題 持家主義と福祉主義

   ◇高齢者の住宅問題 ケア付住宅 ヴォランタリー・アソシエーション

   ◇二世帯住宅・・・・・

 


 Ⅱ.カンポンの世界

 

  A.カンポンの形成

 

   1.ジャワの村落

    ①デサとカンポン desa & kampung

      ②デサ、ヌガラ、パサール desa,negara,pasar

      ③デサ共同体

 

   2.インドネシアの都市形成過程

    ①ヌガラ都市、パサール都市、植民都市

    ②ジャカルタの都市形成過程

 

   3.アーバン・インヴォューション

    ①インボューションと「貧困の共有」

    ②過大都市化とそのメカニズム

    ③アーバン・インヴォューション

 

 

  B.カンポンの生活空間

 

    1.スラバヤと四つのカンポン

    ①カンポン・ウジュン

    ②カンポン・サワハン

    ③カンポン・カリルンクット

    ④カンポン・ドノレジョ

 

    2.ルーマー・カンポン

    ①カンポン住居の原型

    ②カンポン住居の標準型

    ③カンポン住居の類型

 

   3.カンポンの構成原理

    ①カンポン住居の更新プロセス

    ②カンポンの構成原理

 

  C.カンポン・インプルーブメント・プログラム(KIP)

 

   1.KIPの歴史と概要

 

   2.KIPの手法と実施プロセス

 

   3.KIPの諸問題


Ⅲ.セルフヘルプハウジング

 

  A.東南アジアの居住政策

 

   1.居住政策の基本フレーム

    ①居住政策の体系

    ②居住政策のための組織と財源

    ③居住政策と土地制度

 

   2.居住政策の展開

    ①住宅供給

    ②居住環境改善

    ③関連諸政策

 

 

  B.東南アジアのハウジング・プロジェクト 

 

   1.コアハウス・プロジェクト

 

   2.ルーラル・ハウジング

 

   3.セルフヘルプ・ハウジングの可能性と限界

    ①Building Together

       ②Freedom to Build

       ③Bali Housing Project

       ④DIAN Desa


 Ⅳ.工業化住宅と住宅設計

 

 

 1.工業化住宅とは

   

   ●産業社会の論理と工業化住宅

 

   ●住宅生産の工業化

 

   ●プレファブリケーション:マスプロダクション:オープン・システム

    部品化:

 

 2.工業化住宅の歴史

 

   ●その起源

 

   ●日本の工業化建築の展開

 

   ●日本のプレファブ住宅

 

 

 3.工業化住宅の仕組み

 

   ●工業化構法

 

   ●住宅メーカーの組織編成

 

   ●業務内容と業務プロセス

 

 

 4.工業化住宅と住宅設計

 

   ●工業化住宅とそれ以外の住宅との本質的差異はどこにあるか

 

   ●工業化住宅は全体を支配しうるか、その問題点、弱点とはなにか、

 

   ●建築家は何を武器にすることにおいて、工業化住宅の流れに対抗しうる    のか

   ●具体的な試みは?????

 


 

 Ⅴ.住宅生産の構造と建築家

 

 

 1.日本の住宅生産の概要

   

   (1)国民経済と住宅投資  GNPに占める住宅生産の比率は?

   (2)住宅建設戸数の動向 年間住宅建設戸数は? 最大は?

   (3)住宅需要の動向      世帯数と住宅総数の関係は?

   (4)住宅所有関係の動向 持家と貸家

     

      省略

 

 

 

 2.地域と住宅=町づくり

 

      ●地域と住宅あるいは住宅の地域性

 

   ・地域性とは

   ・工業化住宅と町場

   ・小規模住宅生産の可能性

 

   ●地域住宅計画の可能性と限界

 

      ・施策の概要

   ・施策の意義

   ・施策の展開

 

   ●地域住宅計画と住宅設計

 

   ・地域住宅工房のネットワーク・・・

   ・ハウスドクター

   ・タウン・アーキテクト

 

 

 

   ●ハウジング計画論の展開

 

    基本原理

 

   ●具体的提案

 

    ●回路 公的住宅供給 民間住宅供給 ... 個人住宅設計

 

    ●組織 設計 施工 ディベロッパー

       

    ●住宅イメージ

 

    ●場所


Ⅵ.都市型住宅をめぐって

 

●都市住居の現在ーーー誰もがさぼっている

 都市型住居の原型 コートハウス論 イスラム

 塔の家 雑居ビルの上の住居

 超高層マンション:複合化

 

 

 ●中高層住宅生産高度化施策プロジェクト

 住宅生産供給メタストラクチュアリング・タスクフォース

 

□プロジェクトの目的について

 

 1.国民住居論・・・住宅供給の促進、土地の高度利用、故に中高層住宅の建設という一見もっともな主旨にはいくつもの留保が必要ではないか。第一、土地の高度利用の形態、都市開発における住宅開発の位置づけがはっきりしない。第二、第一と関連して、中高層住宅という時、住宅専用の中高層住宅をなんとなくイメージしてしまうが、他の都市機能との関連でどういう形態が必要なのか必ずしもはっきりしない。すなわち、中高層住宅の建設推進という時に、どのような中高層住宅がどういう場所に必要なのかという議論がいるのではないか。国民にとって魅力的でなければ受け入れられないし、反響も呼ばないだろう。

 

 2.建築職人育成システム・・・中高層住宅について、その生産性の向上・生産合理化の問題、建設労働者の高齢化・新規参入の減少・労働力不足の問題、建設コストの高騰の問題等がプロジェクトの目的の大きな背景にあることは理解されるが、このプロジェクトにおいて、それをモデル的に解くというのは、口実としてはあっても過大すぎる目的ではないか。建設労働力の編成の問題はもう少し大きなフレームを要する問題である。建設労働力の編成と育成の問題はそれ自体大テーマである。

 

 3.工業化手法の展開・・・2.の目的を工法・構法の開発というレヴェルでのみ対応しようとするのは1.の具体的イメージがないかぎり、そう有効ではないのではないか。このレヴェルで目的となるのが、量産化・画一化手法ではなく、多様化手法、多品種少量生産手法?である。というより、中高層(住宅)建築に関する工業化手法の本格的展開というのが目的ということになろう。この場合、戸建住宅との同一尺度による比較において生産性、建設コストを問題にすることは果してどうか。

 

 4.メタストラクチュアリング・・・3.を目的とする場合、基本的問題がある。工業化手法の本格的展開を担う主体がはっきりと見えていないことである。そこで大きく浮かびあがるのが、住宅生産供給のメタストラクチュアリングという目的である。このメタストラクチュアリングについての方針が前提とならないと、プロジェクトは単なる実験、イヴェントに終わる可能性が高い。実験あるいはデモンストレーション、パイロット・プロジェクトという性格は当然あるとして、メタストラクチュアリングの戦略がなければ波及効果は期待できないであろう。

 

 5.都市住居のプロトタイプ・・・もうひとつ、少し次元をことにする目的があるのではないか。都市住居の型の創出という目的である。単に工業化手法による中高層住宅モデルというだけではなく、町並みを形成するモデルとしての都市住居を問題とする必要である。1.を建築的に問題とした場合、都市型住居のモデルが問題となるであろう。また、このレヴェルでは、都市計画的な諸規制、事業法のありかたも当然問題となろう。

 


Ⅶ.建築家と住宅の戦後史

 

 

 

 1.初期住宅問題と建築家  前史 「ハウジング計画論ノート」より

 

   

   ●新しい目標としての都市と住宅ーーー住宅改良雑感(後藤慶二)/社会        改良家としての建築家/市街地建築物法

      ●文化生活運動の展開ーーー住宅改良と文化住宅の理想/文化生活運動の        位相/

   ●民家研究の出自ーーー今和次郎のことなど

 

   ●戦争と住宅ーーー西山夘三の国民住居論攷

 

 

 2.戦後建築の課題としての「住宅近代化」

              『戦後建築論ノート』より

  

   ●ヒューマニズムの建築ーーー機能主義と素朴ヒューマニズム/近代建築        論争/計画化

   ●住宅の近代化ーーーこれからのすまい/日本住宅の封建性

 

   ●伝統論争と住宅

 

 

 3.住宅産業と建築家

 

   ●都市への幻想ーーー小住宅作家万歳/住宅は芸術である

 

   ●マイホーム主義と住宅デザインーーー「都市住宅」派

 

   ●都市からの撤退--- 最後の砦としての住宅 自閉の回路

               近親相姦の住宅設計

      ●住宅デザインの商品化ーーー商品化住宅の様式化

 

 

2023年5月7日日曜日

Eco-House Project in Malaysia (tentative)についてのメモ   2000.0925 S.Funo

Eco-House Project in Malaysia (tentative)についてのメモ   2000.0925 S.Funo

 

 9月14日 UTM(University Teknologi Malaysia Johor Bahru)で、Dr. Ho Chin Sion (13日夜会食)& Dr, Nor Haliza bte Madrosの両氏と1時間半程度議論、9月25日UM(University of Malaya Kuala Lumpur)でDR. Ahmad Bin Ramly氏と30分程度面談、若干の議論を行った。以下はその概要。

 

UTM

8月7日~11日のコーディネーター会議の招集はマラヤ大学(UM)から各大学にオープンに行われたが、立地の関係からジョホールバルー(UTM)、ペナン(USM)などからは代表一人の参加であった。

・会議での説明の後、参加者はミーティングをもったが、代表者のみの交流ということであまり魅力を感じない、という雰囲気であった(Dr, Nor Haliza bte Madros)。つまり、各大学で同様のプロジェクトを持っており、それぞれやっていけばいいという雰囲気であった。

UTMについては既にACCESS-C21プロジェクトを展開中であり、中核として是非参加したい。その場合の陣容は、以下の通りである。

  ★Director Prof. Parid Wardi Sudin(布野が20年前に会っており、先方も布野の名前を知っている。脇田先生(島根女子短期大学)、田中麻里先生(群馬大学)も会ったことがある。)

   ★Project Manager   Dr. Ho Chin Sion (何進松)(豊橋技術科学大学で学位取得 住宅政策、住宅供給。宇高の先生でもある。日本の事情には通じている)& Dr, Nor Haliza bte Madros Deputy Deen (Post Graduate Studies & Research)(照明の専門家 ケンブリッジで学位取得。)

    Social:Prof. Dr. Noor Sharifah Sutan

    Land Utilisation: Dr. Ho Chin Sion

   ☆ Neighbourhood Planning: Dr. Nooraini Yusoff

    Thermal/Design: Dr, Nor Haliza bte Madros

    Material/Building Technology/Cost Analysis: Aminudin Ali

    Facility Management: Yahya Mohamed Yatim

・いくつかの大学が一緒にやることはありえなくないが、二つまでだろう。個別に研究者をインヴァイトすることはできる(例えば、Dato Elias Salleh(Northern University Malaysia)は関係が深い)。

UTMは政府との関係は強く個別に研究費を獲得できる。具体的にRM8(第八次五カ年計画2000-2005)のための申請ができる。その場合、日本、インドネシア、インドなどとのネットワークが力になる。ACCESS-C21プロジェクトはインドの建築家チャールズ・コレアを呼ぶ予定であった。

・方法論の共有が重要。それぞれがそれぞれの国で成果を還元するのが原則。布野の二十年にわたるスラバヤ・プロジェクトを説明。学生を含めた交流を長期に行うことで基本的に合意。

 

UM

・当然のことながら、今回のプロジェクトは理解されていない。←背景を説明して前向きに検討を再度依頼。

DR. Ahmad Bin Ramlyは、Public Housingの専門家。マレーシアの住宅事情については第一人者との自負もちらり。プロジェクト・マネージメント。

・スラバヤ・エコ・ハウスについては直感的にマレーシアの住宅事情には向かない。多民族社会の問題。←しかし、多民族共生を国是とするのであれば、提示する意味はある。

・コンサルタントとしてアフォーダブル住宅の供給をやっている。しかし、DR. Ahmad Bin Ramlyは、エンジニアリングについては専門ではない様子。熱環境のスタッフはいるという。

・今回のプロジェクトについてはUSMの出方次第であまり関係ないという認識(会議には半日しか出席しなかった)。しかし、USMが何を考えているか打診はできる。いくつかの大学が組むことは原則可能。しかし、ターゲット・エリアがペナンになると、クアラルンプールでは手が出しにくい。

・クアラルンプール近郊の伝統的集落、住居を選んで分析することから始めてはどうか。DR. Ahmad Bin Ramlyは、伝統的住居に興味を戻したい雰囲気。

・問題は研究費をどうとるかである。

 

 以下は布野の意見(方針)。

 

MalaysiaCounterpartについて

Prof. WardiをトップにしてUTMチーム主体でやるのが一番可能性がある。しかし、今の段階で絞るのはリスキー。USMチームと鉾井・原田チーム(熱環境)と布野・宇高・金多とUTM(プランニング・デザイン)の二本立てになるが(宇高がサバーティカルでUSMへ2001.10~ 両チームをつなげられる)、首都のマラヤ大学もインヴォルブしておいた方がいい。意欲によって次第に選別されるであろう。

 

◎一応、クアラルンプール、ペナン、ジョホール・バルーの三カ所を拠点と考える。それぞれで調査地域を決めて出発し、それぞれでモデルをつくる。

   Kuala Lumpur--- UM   近郊伝統的集落 住居

  Johor Bahru ------UTM  ロー・コスト・ハウジング団地

  Penang-------------USM  町屋 タウンハウス

 

  鉾井チームはそれぞれ測定する。 

 

◎モデルについては、UTM、UMとも既にある。USMにもあるであろう。それを検討することから始めたら早い。UTMのモデル(ACCESS-C21プロジェクト)は面白い。また、ケン・ヤングの高層ビルモデルは検討に値すると思う。

 

◎調査項目

①住宅形態を規定する法制度の枠組み 住宅政策 税制 補助事業

②住宅市場の動向 マーケティング

③生活様式 住居観 住宅イメージ 

④住宅類型(住宅地類型)と住宅階層*住宅供給主体 ・・・どのような主体がどのような住宅(間取り、価格、立地)を供給し、どのような層が居住しているか 典型的事例の列挙

⑤住宅類型(含伝統的住居)と熱環境データ測定 地域差・・・ローコストハウスと伝統的住宅

⑥住宅類型と仕様 住宅生産システム 材料、部品、工法の実態 コスト配分

⑦利用可能なエコ・テクノロジー

 

◎いずれにせよ、日本側からプロポーザルを出す必要がある。また、国際科研など研究費を獲得する必要がある。

◎必要に応じて日本側スタッフを拡充する必要がある。

2023年5月6日土曜日

篠原修vs布野修司対談、自然景観と建築について考えるシンポジウム、鳥取県建築士事務所協会、鳥取県民文化会館、1997年12月7日

 篠原修vs布野修司対談、自然景観と建築について考えるシンポジウム、鳥取県建築士事務所協会、鳥取県民文化会館、1997年12月7日  13:00~、

 

布野修司(ふのしゅうじ)

京都大学工学部助教授/工学博士

 

 

経歴

1949年 島根県生まれ

1972年 東京大学工学部建築学科卒業

1976年 同大学院博士課程中途退学 同助手

1978年 東洋大学講師

1984年 東洋大学助教授

1991年 京都大学助教授~至現在

「インドネシアにおける居住環境の変容とその整備手法に関する研究」(学位請求論文)で、日本建築学会賞(論文賞)受賞(1991年)。現在、建築フォーラム(AF)、サイト・スペシャルズ・フォーラム(SSF)などで活動。建築同人誌『群居』編集長。

 

著書

『戦後建築の終焉・・・世紀末建築論ノート』      れんが書房新社  1995

『戦後建築論ノート』                                     相模書房      1981

『スラムとウサギ小屋』                                   青土社        1985

『住宅戦争』                                             彰国社    1989

『カンポンの世界』                                       パルコ出版   1991

『これからの中高層ハウジング』              丸善          1992

『建築・町並み景観の創造』                              技報堂    1993

『十町十色』                       丸善          1994

『戦後建築の来た道行く道』         東京都設計者厚生年金    1995

『見知らぬ町の見知らぬ住まい』(布野修司編)       彰国社    1990

『現代建築ーーーポスト・モダニズムを超えて』       新曜社    1993

『見える家と見えない家』                 岩波書店    1981

『建築作家の時代』(布野修司 藤森照信 柏木博 松山巌)   リブロポート  1987

『悲喜劇・1930年代の建築と文化』 (同時代研究会編)  現代企画室  1981

『作法と建築空間』(日本建築学会編)                     彰国社    1990

『新建築学体系1 建築概論』(大江宏編)                 彰国社        1982

『建築計画教科書』(建築計画教科書研究会編)             彰国社        1989年他

 

主な委員

1991年~        建築文化・景観問題研究会座長(建築技術教育普及センター)

1991年~        出雲市まちづくり景観賞審査委員長

1993 8月~1995 7月 滋賀県景観審議会委員

1993 8月~1997 3月 島根県しまね景観賞審査委員

                        島根県景観審議会委員

専門

 地域生活空間計画(建築計画 都市・地域計画)


 

鳥取県建築士事務所協会

自然景観と建築について考えるシンポジウム

1997年12月7日  13:00

 

  はじめに

 京都の景観問題 : 建築文化景観問題研究会

 島根県・滋賀県景観審議会委員  出雲まちづくり景観賞委員

  全国景観会議 

 

  ●テーマと結論

  アーバン・アーキテクト シティ・アーキテクト タウン・アーキテクトをアーバン・デザインの仕組みの中で位置づけたい その日本的コンテクストの中で考えたい

 

      マスターアーキテクト制

     :熊本アートポリス CTOクリエイティブ・タウン岡山 富山のまちの顔づくりプロジェクト:コミッショナー制

      シティ・アーキテクト:ベルリン

   建築市長:シュヴェービッシュ・ハル市34000

    大市長・・市長2 建築市長と財政担当市長 企画局が建築市長補佐

     ローテンブルグと違って新しいデザインも

   都市デザインコミッティー:ミュンヘン市 月一回

    フリーの建築家4 都市計画課3 建築遺産課1 州の建築遺産課1

    3年毎にメンバー入れ替え 権限は勧告のみ 否定拒否はしない

    →景観アドヴァイザー制度 景観パトロール

 

 0

    景観問題とは

  なぜ都市デザインか

  なぜ景観問題か:まちのアイデンティティーか。

   景観とは何か:landshaftlandscape 土地に固有な

       風景 風情 風水 景色 風光 ・・・

   まちのアイデンティティを消すもの:近代建築の理念

       ポストモダン 入母屋御殿

 

 1.景観形成の基本原理

      ・・・・『建築・まちなみ景観の創造』(技法堂)

 

   景観形成の指針ー基本原則

       地域性の原則

    地区毎の固有性

        景観のダイナミズム

    景観のレヴェルと次元

    地球環境と景観

        中間領域の共有

   景観形成のための戦略

    合意形成

    ディテールから

    公共建築の問題

    タウンアーキテクト

    まちづくり協議会

    景観基金制度

 

 2.景観形成の手法と問題点・・・具体的な事例を通して

 

 

 素朴な疑問

   ・京都の景観問題→高さのみが問題か

 

   ・景観条例と景観マニュアル・・・規制と規制緩和→誘導

     60年代後半 66金沢 倉敷 高山 京都     全国200→400

     1975 伝統的建造物保存地区 神戸 景観形成地区

     80年代 モデル事業 

     →伝統的建造物の登録制1996

    景観条例→地区詳細計画の日本版という位置づけ

     形態規制の問題 法的根拠 

     規制の根拠

      美観地区、風致地区は1919年より 屋外広告物取締法とリンク

      美観地区が生きているのは京都だけ 東京は条例をつくっていない

     →市街地景観整備条例 千代田区 鎌倉←法的根拠もつ

     ←専門家がどう関わるか

 

   ・公共建築の発注方式

     

     ・景観審議会は何をするのか:

    湖畔の高層建築:景観基準を守ればいいのか:視点場

      建築的配慮:立地が既に問題

      建築家の姿勢:コンセプトの稀薄性      

 

 ●SRIC DESIGN FORUM PROJECT 95 について

  『明日の都市デザインへーーー美しいまちづくりへの実践的提案』

 

意識醸成○調査

   ・デザイン・サーベイ

   ・景観評価 現状把握

    建築士によるモニター:写真撮影 記録

    町並みウオッチング 景観百選 景観記録

    ・・・ユニークな地域把握 校歌 方言 湧水分布 海からの景観

   ・景観賞  →マンネリ化

       各種イヴェント、啓発事業とのリンク

       アーバン・デザイン行政とのリンク

       顕彰委員会の構成の問題

    →アーバン・デザイン・コミッティーとのリンク

 

企画・計画

  

   ・街づくりの主体・・・縦割り行政の弊害

        駅前再開発:補助金制度:所有区分

    

 

   ・「伝統」と「地域」のステレオタイプ化

              出雲大社と古都慶州

              植民地建築・・・バタビア城と朝鮮総督府

              オーセンティシティと世界遺産

        本物 真実性 コピーとレプリカ  木造と石造

        維持管理のシステム/セッティング・周辺環境

 

   ・立体模型・・・ファーレ立川

  

    ・百年計画のすすめ・・・奈良町百年計画

                          京都グランドヴィジョン

 

実践○

 

  ○環境と建築のコラボレーション

   ・隙間のデザイン

     土木と建築 高架下のデザイン 空き地のデザイン

 

  ○工業製品

   ・景観材料・・・アジアの景観を探るーー材料の未来

    THINK GLOBALLY,DESIGN LOCALLY

        生態的側面、形式美学的側面、文化的側面、経済的側面

        PRESERVATION OF LANDSCAPE , CREATION OF URBAN LANDSCAPE

        MANAGEMENT OF URBAN SPACE

    HOLISTIC APPROACH , LONG-TERM LANDSCAPE MASTER PLAN ,

    ECOLOGICALLY SOUND AND SUSTAINABLE DEVELOPMENT(ESSD)

    VISUAL COMPLEXITY

        SENSE OF LANDSCAPE   SENSE OF PLACE

        サラダ・ボール: 一元的理論 アダプタブリー・リユース

        水の文化 アジアの多様性

 

    ○法制

      ・町家再生という課題・・・防火規制

    木造建築の再生手法

     ①文化財保護法982 833

     ②建築基準法313

     ③建築基準法672

     ④都市計画区域の変更

  ○保存

    伝健地区42箇所

       登録文化財

    美観地区・風致地区

    屋外広告物法 禁止区域 自家用広告物は除外 創意工夫がない企業がつくる

    国立公園内

 

  ○アート構築物

    ファーレ立川

 

    ○調整

 

   ・公共事業の発注方式・・・公開ヒヤリングコンペの経験

 

      ・パートナーシップ方式・・ワークショップ方式

 

 

 3.景観形成と「アーバン・アーキテクト」

 

   ・「アーバン・アーキテクト」とは

    「シティ・アーキテクト」「タウン・アーキテクト」

    「コミュニティ・アーキテクト」

 

   ・地と図・・・・何故、アーバン・アーキテクトか

 

   ・アーバン・アーキテクトの仕事

 

 

2023年5月5日金曜日

伝統建築コース,周縁から32,産経新聞文化欄,産経新聞,19900326

 伝統建築コース,周縁から32,産経新聞文化欄,産経新聞,19900326

 32 伝統建築コース                布野修司

 

 熊本県立球磨工業高校(人吉市)に全国で初めて「伝統建築コース」が設けられて一年になる。神社、仏閣、数寄屋など、日本の伝統建築を守る技能者を育成するというので全国的に大きな反響を呼んだのだが、そのユニークな試みとはどのようなものか。

 従来の建築科の定員四〇人を二分してつくられた「伝統建築コース」に新しく設けられたのは「日本建築」、「伝統技法」、「課題研究」という三つの科目である。「日本建築」では、計画・構造・施工などの基礎とともに建築様式など日本建築史を学ぶ。「伝統技法」では、規矩術や木割などの伝統的技法を実習する。「課題研究」では、自らテーマを設定し、作品制作したり、調査研究を行う。

 三年間の工業高校教育の現在のフレームのなかでできることはそう多くはない。一方でCAD(コンピューター支援設計)教育も行われる。必ずしも伝統技能一辺倒ではないのだ。数寄屋大工というより、伝統技能を深く理解した現場を総括できる技術者を養成することが目標とされているといえるであろう。

 ただ、「伝統技法」という科目は実に興味深い。まずは大工道具箱をつくる。その前に、のみ、鋸、鉋など工具の正しい使い方を学ぶ。否、その前に工具の研ぎ方の練習である。工具箱のあとは、規矩術の基本・基礎として、規矩の原理と使い方を学びながら、制作を続ける。そして、継手・仕口(つぎて・しぐち 木材をつなぐ様々なやり方)の基本を学習し、軸組(じくぐみ 柱梁の組立て)模型の制作を行う。板図(いたず 板に画く図面)の書き方の実際もそこで学ぶ。そして、一年の最後は、四方転び(四つの脚が四方に広がった)踏台の制作に至る。

 様々な試行錯誤が行われている。「伝統建築コース」のようなコースが全国の工業高校に広がりをみせるかどうかについては予断を許さない。しかし、より自由度のある大学ではどうか。この「伝統技法」のような実習科目は、伝統技能を無視し続けてきた大学でこそ行うべきではないかと、ふと思う。



2023年5月4日木曜日

便宜的なコンペ,周縁から31,産経新聞文化欄,産経新聞,19900319 

 便宜的なコンペ,周縁から31,産経新聞文化欄,産経新聞,19900319 

31 便宜的なコンペ                    布野修司

 

 つい先頃、ある市のある公共建築の設計者を選定するためにコンペ(設計競技)が行われた。審査員を引き受けたのだが、各地で同じようなコンペが無数に行われていると思うと絶望的な気分になってくる。

  屈辱的なのは、僕がこれしかないという作品案が多数決で敗れたことであった。しかし、その結果を云々しようとは思わない。その点は、自らの意見を説得力をもって展開できなかった僕の批評家としての能力を恥じるしかない。全面的に押せる案がなく、発言に迫力が欠けたことも事実である。問題は、どの案でも一緒だと平気で言うような、建築を理解しない審査員が多かったということだけにあるわけではない。何十億円という公共建築の設計が実にイージーに決定されていくプロセスと仕組みに今さらのように驚くのだ。

 コンペといっても色々ある。一定の資格があれば誰でも参加できる公開コンペの場合、審査のプロセスを公表し記録する基本的なルールが日本でも確立しつつある。だが、それには手間と時間と金がかかる。そこでよく行われるのが、何人かの設計者を指名する指名コンペである。

 この指名コンペが実に問題が多い。最もひどいのは、実際には設計者を決めているのに見かけの公平さを装うためだけに行われる「疑似コンペ」である。今回のコンペがそうだというのでは決してない。ただ、どのように指名が行われるかは、ほとんどの場合不透明なことが多いのだ。さらにひどいのは設計料の入札で決めてしまうというのもある。

 審査員として、そのプログラムの設定に関われないこと、プログラムにふさわしい建築家の選定について予め意見を言えないことは致命的である。審査員の構成以外にも、指名料が安い、予算年度との絡みから驚くほど設計期間が短い、など問題が多すぎる。

 審査だけでも、数時間の議論で終わりにせず、なぜ、もっとじっくり時間をかけないのか。もう昔から言われてきたことだけど、コンペの問題を真剣に考えないと日本の公共建築は決してよくなるまい。



2023年5月2日火曜日