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2025年8月8日金曜日

岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』 彰国社 2016年1月10日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(4月ー6月)

 書籍紹介 岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』 彰国社 2016110日/前田昌弘『津波被災と再定住 コミュニティのレジリエンスを支える』京都大学学術出版会 2016229日/応地利明『トンブクトゥ 交界都市の歴史と現在』臨川書店 2016131日/いるか設計集団編著『よみがえった茅葺の家』建築ジャーナル 2016131日:布野修司 | 2016/04/01 |『建築討論』 008号:2016年夏(46月)


『建築討論』008号 201641日刊行

  

◎書籍紹介 布野修司 書籍紹介008号(2016年夏号(4-6月))

20160110 著者:岩本弘光『ジェフリー・バワの建築 スリランカの「アミニズム・モダン」』彰国社

 先だって、隈研吾・山口由美『熱帯建築家: ジェフリー・バワの冒険 』(新潮社(とんぼの本)  20151127日)も上梓されている。ジェフリー・バワ(19192003)が亡くなったのは10年以上も前であるが、学位論文、高取愛子『ジェフリー・バワの建築思想に関する設計論的研究』(2012年、京都大学)もあり、時ならぬバワ・ブームの感がある。Robson, David (2002): Geoffrey Bawa: The Complete Works, Thames & Hudsonが出版されたのは死の直前であるが、その後、財団Geoffrey Bawa Trustが出来て(2010年)、ジェフリー・バワ賞も創設され、ジェフリー・バワに関するアーカイブも充実し、Robson, David  & Daswatte, Channa(2011) ,Geoffrey Bawa1919-2003”,Geoffrey Bawa Trustがまとめられたことが大きいのであろう。

 オランダ植民都市研究を展開するなかで、スリランカには随分通った。主要なターゲットとしたのはコロンボであり、ゴールGalleである。その成果は、布野修司編(2005)『近代世界システムと植民都市』(京都大学学術出版会)にまとめたが,その直前のインド洋大津波当日(20041226日)にはゴールに居て危うく難を逃れ、さらに復旧支援ということでしばらく通った。京都大学で同僚であったモラトゥア大学のサミタ・マナワドゥ教授との縁である。ジェフリー・バワの作品は、従って、折に触れて見る機会があった。ゴールには「ライトハウス・ホテル」(199597)があり、コロンボからゴールまでのインド洋沿岸には、ベントータ周辺などにいくつかホテルがある。特に、遺作と言っていいブルーウォーター・ホテル(199698)には行き帰りに度々依った。インド洋と一体化するような水の扱いが巧みなホテルである。「熱帯建築家」というレッテルが貼られるが、いずれも、自然と一体化する実に素直な良質の心地いいモダニズム建築という印象がある。

 本書は、石窟寺院で著名なタンブッラ近くの「カンダラマ・ホテル」(199194)でダワ作品に出会ったという著者による独自のジェフリー・バワ論である。

 バワはもともと建築家を志したわけではない。ケンブリッジで学んで弁護士となり、その後、AAスクールに入学するのは35歳である。断面図も描けず、いわば素人建築家として出発するのであるが、そのバワを支えたのが10歳年下のパートナー、デンマーク人建築家ウルリック・ブレスナーである。本書をユニークなものとしているのは、第一に、現在テルアビブに住むウルリックへのインタビューをはじめ、バワ事務所の関係者へのヒヤリングを試みていることである。

 中心となるのは、著者が選定する25の作品である。ジェフリー・バワ財団から入手した図面は貴重である。その作品リスト、年表なども添えられ、バワへのアプローチのための基本資料は得ることができる。

 バワのAAスクールの同級生には、K.フランプトン、C.プライス、D.S.ブラウンが要るという。遅い学生だから一回り以上歳は違う。世代を異にし、スリランカをホームグラウンドとしたバワをどう位置づけるかは興味深いテーマである。

 著者は、「バワ建築を理解するための10の視点」として、その位置づけを試みている。総括すれば、サブタイトルにいう「スリランカの「アミニズム・モダン」」ということであるが、読者もまたバワ建築の位置づけを試みることになる。そのための情報は本書に充分を用意されている。

 

著者紹介

岩本弘光:1954年和歌山県高野山生まれ。建築家。岡山県立大学デザイン学部教授。1978年、日本大学理工学部建築学科卒業1980年、同大学大学院修士課程修了1982-1985年、石井和紘建築研究所。1987-1988年、イタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学留学。1989年、ロータリー財団給費留学生としてミラノ工科大学留学。2010年、現職。主要作品 「casa100」(2001年 旭硝子DESIGN SELECTION 2000 優秀賞)、「太田市立休泊小学校」(2001年 第10BELCA賞)、「静岡ガス研修センター」 (2003グッドデザイン賞 第35回中部建築賞入賞 建築学会作品選集)、「静岡ガス研修センター」( 2004年 グッドデザイン賞)、「静岡八幡SS」 (2004年 グッドデザイン賞 第36回中部建築賞入選)、「富士山荘」 (2005年 東京ガス第7回あたたかな住空間最優秀賞)など。


2025年8月7日木曜日

『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』彰国社 20151110/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』弦書房 20151015日/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月) 

『建築討論』007号 201611日刊行

  

◎書籍紹介

 

20151120

パトリック・ゲデス著

『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』

西村一朗訳

鹿島出版会

Patrick Geddes (1915),”Cities in Evolution  “, Williams & Norgate,  London”Cities in Evolution  An Introduction to the Town Planning Movement and to the Study of Civics”, Ernest Benn Limited, 1968.

 

 著者パトリック・ゲデスは、、スコットランドアバディーンシャイア出身の都市学、都市計画学の大家として知られる。生物学、植物学を出自とするが、その活動は地域学、都市学へ展開、具体的な実践活動を多様に展開した。その足跡は、スコットランド、アイルランド、フランス、インド、バレスチナ、イスラエルにまで及ぶ。都市学の大家L.マンフォードは。P.ゲデスは師と仰ぐ。また、20世紀の都市計画運動に最も影響力を与えたエベネザー・ハワードと共に近代都市計画の祖とも言われる。

原書の初版が上梓されたのは1915年である。1968年に再版され、その邦訳が1982年に出版されている。本書は、原書出版百周年を記念する邦訳の改訂・復刻版である。全体は18章からなるが、ベースになっているのはエディンバラの経験である。P.ゲデスの活動は、その後のインド、パレスティナでの展開を含めて実に興味深い。

P.ゲデスが徹底的に批判したのは、スラム・クリアランス型のマスタープラン主義である。オン・サイト(現場)での保存的外科的改善手法(コンサバティブ・サージェリー)には、今日猶学ぶべきものがある。それを願うのが改訂・復刻出版の企画である。

S.F.

 

著書紹介:パトリック・ゲデスPatrick Geddes(18541932)

主要著書:Life: Outlines of General Biology (1931) with J.A. Thomson, Harper & Brothers, London./The Evolution of Sex (1889) with J.A. Thomson, W. Scott, London./City Development, A Report to the Carnegie Dunfermline Trust (1904), Rutgers University Press./Cities in Evolution (1915) Williams & Norgate, London./The life and work of Sir Jagadis C. Bose (1920) Longman, London./Biology with Thomson (1925) Williams & Norgate, London.



2025年8月6日水曜日

太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』彰国社 2015年11月10日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

 書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』彰国社 20151110/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』弦書房 20151015日/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)


『建築討論』007号 201611日刊行

  

◎書籍紹介

 

20151110

太田邦夫著

『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』

彰国社

 木造建築研究に関する日本の第一人者による「ヨーロッパ木造建築」研究の集大成。事典あるいはガイドブック(旅の準備編、旅編、旅の参考資料編)のスタイルをとっているが、内容は、一級の学術書である。

木造建築の分布、気候と建築、植生の分布、土地利用の形態、民族的な背景、…ヨーロッパの木造建築の存立基盤がまず大きく説明される。そして、おすすめ12のルート(旅編)として、ヨーロッパ各地域の木造建築が順に紹介される。1.イギリス、2.ノルマンディ・ブルターニュ、3.フランス南西部・スペイン・バスク地方、4.シュヴァーベン地方・アルザス地方、5.アルプス山地、6.ヘッセン、ニーダーザクセン、ハルツ、テューリンゲン地方、北海沿岸、7.バルト海沿岸・カレリア地方、8.カルパチア山地、9.カルパチア山地、 10. オーストラリア・パンノニア平原、11.トランシルヴァニア地方・ワラキア地方、12.バルカン山地・黒海沿岸と分けて、それぞれの地域の木造建築の特性が説明される。旅の参考資料編は、木造建築研究のための永久保存の価値がある。S.F.

 

著書紹介:太田邦夫(1935年東京~)。東洋大学・ものつくり大学名誉教授。1959年、東京大学工学部建築学科卒業、現代建築研究所入社。1961年、東京大学教養学部図学教室助手。1966年、東洋大学工学部建築学科助教授。1984年、同教授。2001年、ものつくり大学建設技能工芸学科教授。2005年、太田邦夫建築設計室~。

『東ヨーロッパの木造建築-架構方式の比較研究』相模書房、1988年(1985年度日本建築学会論文賞受賞論文)/『工匠たちの技と知恵―世界の住まいに見る』学芸出版社、2007年/『エスノ・アーキテクチュア』SD選書、鹿島出版会、2010年他。

 


2025年8月5日火曜日

陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』(弦書房 2015年10月15日):布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

 書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』(トリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』彰国社 20151110日/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』弦書房 20151015日)/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)


『建築討論』007号 201611日刊行

  

◎書籍紹介

 

20151005

陣内秀信

『イタリア都市の空間人類学』

弦書房

 

 「空間人類学」の提唱と実践で知られる著者の、その原点となるイタリア都市に関する論集である。Ⅰ.空間人類学から読むイタリア都市、Ⅱ.イタリア都市論の2部から構成され、イタリア都市全体を対象とする論考と個別の都市に関する論考が分けられているが、Ⅱの末尾には、「地中海都市」として、地中海沿岸のイスラーム諸都市(チュニス、マラケシュ、アンダルシア、トルコ)に関する論考も収められている。

 「空間人類学」という学の構想と方法が具体的に示されたのは『東京の空間人類学』(1985/ちくま学芸文庫1992:“Tokyo, A Spatial Anthropologytranslated by Kimiko NishimuraUniversity of California Press1995)においてである。その学の実践は、イタリア都市、地中海都市のみならず東京、さらに北京などアジアの諸都市にまで拡大されてきた。そうした意味で興味深いのは、「「空間人類学」から都市の深層を読む―「はじめに」にかえて」である。「イタリア都市との出会い」から「東京研究から生まれた「空間人類学」の方法」、「再びヴェネツィアを新鮮な視点で見直す」…と自らの研究史が振り返られているのである。S.F.

 

著書紹介:

陣内秀信(1947北九州市~)法政大学デザイン工学部教授。イタリア建築・都市史。工学博士。1971年東京大学工学部建築学科卒業。1973-1975年ヴェネツィア建築大学留学。1980東京大学大学院工学研究科博士課程単位取得退学。1980年東京大学工学部助手、1982年法政大学工学部建築学科助教授、1990年法政大学デザイン工学部建築学科教授。著書に、『都市のルネサンス――イタリア建築の現在』(1978)、『ヴェネツィア――都市のコンテクストを読む』(1986)、『都市を読む・イタリア』(1988)、『北京――都市空間を読む』(共編著)(1998)『イタリア都市と建築を読む』(2001年)、『イスラーム世界の都市空間』(共編著)(2002)『迷宮都市ヴェネツィアを歩く』(2004)、『南イタリア都市の居住空間――アマルフィ、レッチェ、シャッカ、サルデーニャ』(編著)(2005)『地中海世界の都市と住居』(2007)、『興亡の世界史(8)イタリア海洋都市の精神』(2008)他


2025年8月4日月曜日

鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015年9月25日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

 書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』(パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会)/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』(彰国社 20151110日)/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』(弦書房 20151015日)/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)


『建築討論』007号 201611日刊行

  

◎書籍紹介

 20150925

鈴木哲也・高瀬桃子

『学術書を書く』

京都大学学術出版会

 大学出版会にあって、長年、学術書の出版に関わってきた著者による「学術」論、「学術書」論。

 冒頭、序章は、「Publish or PerishからPublish and Perishの時代へーなぜ、学術書の書き方を身につけるのか」と題される。「出版(発表)か、死か」から「出版しても救われないへ」、(学術)出版会の現状が鋭く分析される。また、論文発表をやかましく迫る大学や学会の問題点が指摘される。当然、殿試化時代についても触れられる。

 全体は、第Ⅰ部「考える」、第Ⅱ部「書いてみる」、第Ⅲ部「刊行する」の3部に分けられ、全7章からなる。

「企画と編成」「本文記述と見出し」「タイトルと索引」など、学術書のノウハウが懇切丁寧に説かれている。もちろん、それだけではない。学術書の今日的役割と要件(第2章「知の越境と身体化」)が力説される。

そして、「おわりにー学術書を「書く」ことと「読む」こと」によって締め括られるが、「二回り外、三回り外」へ向かって書け、 「二回り外、三回り外」のものを読め、というのがメッセージである。

研究者のみならず、書き手、読みて、編集、出版を考える全ての人にとっての必読書といっていい。S.F.

 

著書紹介:

鈴木哲也:京都大学学術出版会専務理事・編集長。大学出版部協会理事。京都大学文学部・教育学部卒業。

高瀬桃子:桃夭舎代表・京都大学理学部卒業。



2025年8月3日日曜日

隈研吾『オノマトペ建築』XーKnowledge 2015年9月18日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

 書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』(パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会)/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』(彰国社 20151110日)/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』(弦書房 20151015日)/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)




『建築討論』007号 201611日刊行

  

◎書籍紹介

 

20150918

隈研吾

『オノマトペ 建築』

X-Knowledge

 

 建築家・隈研吾、2005年~2015年、10年の自薦32作品が収録されている。

オノマトペOnomatopeとは、擬音語・擬声語のことである。全体は、「ぱらぱら」「さらさら」「ぐるぐる」「ぱたぱた」「ぎざぎざ」「ざらざら」「つんつん」「すけすけ」「もじゃもじゃ」「ぺらぺら」「ふわふわ」の11のセクションに分けられている。巻頭に、「建築を粒子化することで、世界と人間をより強く結びつける」と題されるロング・インタビューS.F.

 

著書紹介:隈研吾(1954年横浜生~)。建築家。東京第泊大学院教授(2009年~)。1979年、東京大学工学部建築学科卒業。日本設計、戸田建設、コロンビア大学建築・都市計画学科客員研究員(19851986)を経て、1990年隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学理工学部客員教授・システムデザイン工学科教授(20022009)。イリノイ大学建築学科客員教授(20072008)。2008年フランス・パリにKuma & Associates Europe設立。東京大学工学部建築学科教授(2009~)。

学位請求論文「建築設計・生産の実践に基づく20世紀建築デザインと大衆社会の関係性についての考察」(慶應義塾大学、20073月)。

受賞:日本建築学会賞作品賞 (登米町伝統芸能館)(1997)。村野藤吾賞(那珂川町馬頭広重美術館)(2001年)。毎日芸術賞(根津美術館)(2010)。芸術選奨文部科学大臣賞(梼原・木橋ミュージアム)(2011)。


2025年8月2日土曜日

アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 2015年9月5日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

 書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』(パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会)/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』(彰国社 20151110日)/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』(弦書房 20151015日)/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)



『建築討論』007号 201611日刊行  

◎書籍紹介 

20150905

アルキテクト編

『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』

建築技術

 「ことばが姿へ」(表紙1)そして「姿がことばに」(表紙4)とある。「日本はいったいどうなのだ/世界に誇れるような/廃墟をつくっているだろうか/近代文明がやがて/滅びてしまったときにも/なお歴史に記録をちどめても/廃墟としてでも/後の世に残るようなものを」と後扉(表4)に小さく記される。

 全体は、吉坂隆正(とその薫陶を受けたスクールの建築家たち)の言葉からなり、大きく、Ⅰ|私はどこにいるのか?、Ⅱ|創造の端緒は発見にあり、Ⅲ|ことばの中で育ち形の中に住みつく、Ⅳ|DISCONT:不連続統一体に分けられ、0109(章)に編まれている。巻頭に、樋口裕康「始祖鳥蘇る」、末尾に、斎藤裕子「なぜ、吉阪隆正か!」。小さな本だけれど、多くの図・写真・スケッチが収められている。

 きっかけは、樋口裕康の始祖鳥吉坂ワールドを蘇らせたいという、メモとスケッチだったという。吉坂隆正の年表も丁寧に作成されている。何よりも、建築の根源に触れる珠玉のことばが鏤められている。S.F.

 

 著者:アルキテクト

 樋口裕康、斎藤祐子、北田英治・・・・橋戸幹彦、高木秀之他


2025年8月1日金曜日

諏訪正樹・藤井晴行 『知のデザイン 自分ごととして考えよう』 近代科学社20150630:布野修司 | 2016/01/25 | 書評, 『建築討論』007号:2016年春(1月ー3月)

書籍紹介『進化する都市 都市計画運動と市政学への入門』(パトリック・ゲデス著 西村一郎訳 鹿島出版会)/太田邦夫 『木のヨーロッパ/建築まち歩きの事典』(彰国社 20151110日)/陣内秀信『イタリア都市の空間人類学』(弦書房 20151015日)/鈴木哲也・高瀬桃子『学術書を書く』京都大学学術出版会 2015925日/隈研吾『オノマトペ建築』XKnowledge 2015918日/アルキテクト編『好きなことはやらずにはいられない 吉阪隆正との対話』 建築技術 201595日/中村敏男『日記のなかの建築家たち』編集出版組織体アセテート 2015820日/監修:岡本慶一 執筆:林和久 日建設計広報室『日建設計 115年の生命誌』201561日/諏訪正樹・藤井晴行『知のデザイン 自分ごととして考えよう』近代科学社2015630日:布野修司 | 2016/01/25 | 書評『建築討論』007号:2016年春(13月)

http://touron.aij.or.jp/2016/01/125

◎書籍紹介

 

20150630

諏訪正樹・藤井晴行

『知のデザイン 自分ごととして考えよう』

近代科学社

 関連書籍

20150430

人工知能学会監修:諏訪正樹・堀浩一編 

『一人称研究のすすめ 知能研究の新しい潮流』

近代科学社

 

 帯には「情報過多な時代だからこそ、少しハードボイルドな学び論/教育論」「主体的に学ぶためには」とある。「まえがき」には、重要なキーワードとして、「自分ごと」「生活」「からだで学ぶ」「構成のループ」「デザイン」の5つのことばが挙げられる。全体は4部、11章からなる。第1部「自分ごとの欠如」、第2部「自分ごとで学ぶための方法」、第3部「自分ごとで研究するための方法」、第4部「知をデザインするマインド」という構成で、「自分ごと」が強調される。共著者二人が属する人工知能学会監修に『一人称研究のすすめ』があるが、自分で考えるというのが強いメッセージである。「生活」「からだで学ぶ」というのも、情報に振り回されるのではなく、日常生活に立脚して、自らの身体、全感覚を通じて学ぶということが重要だということである。「構成のループ」とは、問いを立て、その答えを求める過程(生成、インタラクション、分析、インタラクション、分析、創起)と手法に関わる。そして最も重要な概念として「デザイン」あるいは「デザイン・マインド」が強調されている。S.F.

 

著者紹介

諏訪正樹:慶応義塾大学環境情報学部教授。1984年東京大学工学部卒業。1989年同大学院工学系研究科博士課程修了。工学博士。1989年日立製作所基礎研究所。1997年シドニー大学建築デザイン学科主任研究員。2000年中京大学情報科学部助教授、2004年同教授。2008年より現職。

藤井晴行:東京工業大学大学院理工学研究科教授。早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学院理工学研究科建築学専攻終了。博士(工学)。一級建築士。カーネギーメロン大学大学院人文科学研究科哲学専攻、清水建設基礎研究室をへて現職。

 





布野修司 履歴 2025年1月1日

布野修司 20241101 履歴   住所 東京都小平市上水本町 6 ー 5 - 7 ー 103 本籍 島根県松江市東朝日町 236 ー 14   1949 年 8 月 10 日    島根県出雲市知井宮生まれ   学歴 196...